言語空間+備忘録

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日本は財政破綻しない

2010-10-21 | 日記
三橋貴明 『高校生でもわかる日本経済のすごさ!』 ( p.23 )

 ここで再び皆様に想像力を働かせて頂きたいのですが、例えば企業なり家計が財政的に破綻する場合とは、果たしてどんなときでしょうか。この問いに対し、多くの人は、
「利益や収入が足りずに、借金を返せないとき」
 と、答えると思います。企業で言えば決算で損失を出し、家計で言えば支出が収入を上回り、家計簿の収支が赤字化したとき、ということになるでしょうか。
 実は、この回答は完璧に間違いです。
 普通の企業は、決算が赤字化しても倒産はしません。また、家計簿の収支が赤字化しただけで家計の財政が破綻するのでは、自己破産がどれほどの規模に膨らむことか。
 企業決算や家計の収支が赤字化したところで、保有する現金で借金を返せば済む話です。現金や預金が手元に充分ないのであれば、保有する有価証券を売却するなり、あるいは新たな借り入れで現金を入手し、それを返済に充てればいいのです。

(中略)

 さて、ここで先ほどの「財政的に破綻するのは、どういうときか」という問いに戻りますが、回答は以下になります。
「借金返済のための現金が、最終的に入手できなかったとき、破綻する」
 すなわち手持の現金が尽き果て、預金通帳の残高もゼロになり、現金収入が途絶え、保有する現金化可能な資産は全て売り払い、金融機関はもちろん、家族からの借金も不可能になった結果、ついに債務不履行となり、破綻するわけです。
 別に、企業決算が赤字化したり、家計簿の収支がマイナスになったからといって破綻するわけではありません。両者が破綻するのは、返済のための現金の流れ (この場合は「入り」) が途絶えたときになります。
 この「現金の流れ」のことを、会計用語で「キャッシュフロー」と呼びます。現在の企業は、損益計算書やバランスシート (貸借対照表) に加え、このキャッシュフローの統計である「キャッシュフロー計算書」を、財務諸表に含めることが義務付けられています。
 キャッシュフローの考え方が秀逸に思えるのは、現金の流れについて三つに区分し、それぞれを明確に定義していることです (表1-5参照) 。
 例えば、企業の損益や家計簿上の収支は、一番上の営業キャッシュフローに該当します。正しくは、企業損益と営業キャッシュフローは異なるのですが、本書は別に財務会計の教科書ではないので、便宜的に同じと見なします。
 繰り返しになりますが、別に営業キャッシュフローがマイナスだからといって、借金返済が不可能になるわけではありません。投資キャッシュフロー (保有資産の売却など) なり財務キャッシュフロー (新たな借り入れなど) でカバーすれば、それで済む話です。
 2008年度末時点の日本政府の借金残高、すなわち国債発行残高は、846兆円となっています (表1-4のバランスシートに掲載された政府の負債は、地方政府分の借金を含んでいます。また、846兆円の借金残高は、厳密には国債以外の中央政府の借り入れ分も含んでいます) 。
 さらに08年度における政府の税収は53・6兆円で、歳出総額は83・1兆円でした。
 この事実を捉え、
「日本は借金を846万円も抱えた家計が、毎年54万円の収入しかないのに、83万円も支出しているような状況なのです。これは、間違いなく財政破綻します。破綻したくなければ、増税をして借金を返済するしかないのです」
 などと、政府の財政を家計のやりくりになぞらえた低レベルな主張を、時たま目にします。しかし、この手の論調は、実際には二重三重に間違えていることになります。
 まず、たとえ一般家庭の収入54万円に対し、支出が83万円だったとしても、別に破綻するわけではありません。これはあくまで営業キャッシュフローの話であり、お金が足りないなら保有する資産を売る (投資キャッシュフローのプラス) なり、誰かに借りれば (財務キャッシュフローのプラス) 済む話です。
 政府の財政で言えば、支出が税収を上回り、お金が足りない際には、同じように誰かに借りれば済む話です。重要なポイントですので、しつこく繰り返します。現実には世界中の政府が、今や支出が収入 (税収) を上回っている状況ですが、どの国も破綻などしていません。理由は単純に、営業キャッシュフローのマイナスを財務キャッシュフローのプラス (借り入れ) で補完しているからなのです。


 日本が破綻するときは、「借金返済のための現金が、最終的に入手できなかったとき」である。支出が税収を上回っていても破綻しないのである、と書かれています。






区分概要
営業キャッシュフロー日常的な営業活動などにより出入りする現金の収支
投資キャッシュフロー工場新設や有価証券の売買など、投資活動により出入りする現金の収支
財務キャッシュフロー借り入れや返済など、財務活動により出入りする現金の収支

 これ (↑) が引用文中の「表1-5」です。



 著者の主張は、要は、

   収支が赤字 (=営業キャッシュフローがマイナス) であっても、
   資産を売る (=投資キャッシュフローのプラス) か、
   新規の借入 (=財務キャッシュフローのプラス) をすれば、破綻しない

ということです。

 それはわかるのですが、問題は、資産を売るだとか、新規の借入といった手段は、「いつまで続けられるのか」ということです。当座はそれで乗り切れるとしても、それを続けていれば、

   いつかは、売る資産もなくなり、
        新たに借入れたくても誰も貸してくれない状況になる

わけです。著者のいう「低レベルな主張」、すなわち、「日本は借金を846万円も抱えた家計が、毎年54万円の収入しかないのに、83万円も支出しているような状況なのです。これは、間違いなく財政破綻します。破綻したくなければ、増税をして借金を返済するしかないのです」も、そのあたりのことを考えて主張されているのであって、

   単純に、収入よりも支出が多いから破綻するなどと言っているわけではない

と思います。現状のままでは、「いつかは」間違いなく財政破綻します、と言っているにすぎないからです。



 私も、「国債の 60 年償還ルール」のところで、
私たちは、本来の実力以上に、裕福な暮らしを享受しているのかもしれません。

 景気対策などの費用として、次々に国債が発行されています。景気対策には雇用対策としての側面もあり、簡単に 「やめろ」 と言うわけにもいかないのですが、私たちは、贅沢すぎるのかもしれません。
などと主張していますが、同時に、「公共事業における 「ムダ」」で述べたように、
 私としては、収入以上の支出を行うことは、好ましくないと思います。この発想は、ごくごく常識的なもので、当然のことではないかと思います。

 しかし、「つねに」 収入の枠内で支出を行え、というのも、現実的ではないように思われます。「ときには」 収入以上の支出を行わなければならないこともあるでしょう。

 したがって、「税収 40 兆円前後であるにもかかわらず、50 兆円を超える国債が発行される」 ことは、「安心感はないものの、やむを得ないときもある」 と思います。
と考えている (考えていた) わけです。

 要は、「安心感がない」という話であって、「いつまで不況が続くのかわからない」「いつになったら税収が上向くのかわからない」という感覚が根底にあるからこそ、著者のいう「低レベルな主張」がなされているわけで、これを「会計のわからない人の低レベルな主張」などと切って捨ててしまうのでは、著者自身が「低レベルな思い込み」で批判している、ということにもなってしまうでしょう。



 日本の場合、政府の債務も巨大ですが、資産も巨大であり、資産の売却によって現金を入手する余裕が、かなりあります。また、現在の国債金利を考えるならば、新規の借入れもまったく問題ない、と考えてよいと思われます。したがって、すくなくとも当面は、日本は破綻しないと考えてよいのではないかと思います。

 問題は、これを続けていれば「いつかは」財政破綻してしまうので、「いつまで続けられるのか」ですが、すくなくとも、この先 5 ~ 10 年は「まったく問題ない」と考えてよいのではないかと思います (「政府の借金は返す必要がない」「財政再建のために残された道」参照 )。

 さらに、次の手段をも考慮すれば、もっと長期間、まったく問題ないと考えてよいと思われます。



同 ( p.32 )

 しかも、政府の場合は、さらに「四番目のキャッシュフロー」という反則技まで持ち合わせています。ちなみに、この反則技は中央政府にはありますが、地方政府にはありません (だからこそ、夕張市は破綻しました) 。
 四番目のキャッシュフローとは、ずばり中央銀行による国債の買い取りです。つまり、中央銀行、日本ならば日本銀行が通貨を発行し、金融市場から日本国債を買い取ってしまうわけです。これにより、日本政府は発行した国債の償還義務から解き放たれることになります。要するに、返済不要になるわけです。

(中略)

 この「四番目のキャッシュフロー」の存在がある限り、中央政府が自国通貨建ての国債をデフォルト (債務不履行) することなど、絶対にありえません。論理的に不可能であると言っても、過言ではないでしょう。

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