内橋克人とグループ2001 『規制緩和という悪夢』 ( p.101 )
規制緩和により、事実上、大手スーパーに対抗できない酒屋が窮地に陥っている、と書かれています。
町の酒屋が、大手スーパーと価格競争をしようとしても、事実上、できない。どうすればいいのか。これでは、だまって潰れろ、と言っているのと同じではないか。規制緩和は間違いである、と言いたいのだろうと思います。
個人酒店は個人酒店なりに、「地域で集まって組合をつくり共同仕入れをして酒を安く売り、ダイエーなどのスーパーに対抗していっている」 とはいえ、それにも限界がある。「はたして、個人酒店が共同仕入れ程度でダイエーなどの巨大スーパーに対抗していけるのだろうか?」 と思うのは、当然です。
おそらく、地域の組合でどんなに努力しても、巨大スーパーよりも安く仕入れることはできないと思います。また、かりに同じ価格で仕入れることができたとしても、商品一点あたりの利幅が小さくなれば、やっていけないと思います。地域の酒屋では、大量販売は期待できないからです。
しかし、現にいまでも、酒屋は存在しています。
競争に生き残った個人酒店がある、
と考えてよいと思います。どうやって生き残ったのか、それは知りませんが、酒屋が全滅したわけではない。競争に勝ち残る方法は、あったのだと思います。
一般に、コンビニの販売価格はスーパーよりも高い。それにもかかわらず、コンビニが消費者から一定の支持を得ている背景には、
消費者が望んでいるのは、価格の安さばかりではない
状況があるのだと思います。したがって、たとえ価格面で巨大スーパーに太刀打ちできなかったとしても、なんらかの方法で、対抗できる方法があると考えるのが、適切だと思います。具体的にどういう方法なのか、それはわかりませんが、
地域の酒屋には、巨大スーパーやコンビニにはない、有利な点があります。地域の人々とのつながり、人間関係です。そこから、小さな酒屋ならではのサービスができるのだろうと思います。
九四年十一月五日、六日と二夜連続でNHKスペシャル『どうする規制緩和』が放映された。この第一夜「今なぜ規制緩和なのか」で、売り場面積が一万平方メートル以上のスーパーに酒販免許を与えるという規制緩和がどんな影響をもたらしたかというレポートがあった。
そのレポートでは、ダイエーが国産ビールを三〇円ちかく安く売り始めたことが紹介される。問題はそれから取り上げられる個人酒店のケースである。番組では、個人酒店も、地域で集まって組合をつくり共同仕入れをして酒を安く売り、ダイエーなどのスーパーに対抗していっている、と紹介されるのである。
さて、私たちはこのVTRを見て、こんな疑問を持った。はたして、個人酒店が共同仕入れ程度でダイエーなどの巨大スーパーに対抗していけるのだろうか?
私たちは、NHKが取り上げた「石神井酒販協同組合」の市川昭治副理事長にあらためて取材をしてみた。
NHKが番組で紹介をしていなかったのは例えば市川氏のこんなコメントである。
「共同購入をすると、我々は、ダイエーさんに準じた小売り二〇〇円ぐらいまでは、何とか落とせるんです。しかし、二〇〇円で売った店は、このところアルコール類の消費が低迷しているから、損益いっぱいか、少し割っているぐらいではないでしょうか。酒屋は通常で、二割か、二割五分ぐらいしか利益をかけていませんから、それをダウンさせると、生活がなかなかやっていけない。たとえ、ダイエーと同じ値段で売っても、うちなんかチラシが入れられませんから、いくら価格競争しても駄目なんですね。会合を開くと、組合員から『これからどうしたらいいのか』という質問が多い。かりに共同仕入れをやっても駄目だとなると、その先何があるのか。規制緩和を進めようとする人たちに、どういう方法があるのか聞いてみたい」
ようするに、地域の酒屋がいくら集まったところで、ダイエーの大量仕入れ、大量販売を上回ることはできないということである。これは黒石市でも同じだ。
東京商工リサーチが、九四年十二月に発表した調査によれば、酒販免許の規制が実際に緩和された九二年から零細の個人酒店を中心に酒屋の倒産が激増している。九一年までは五十件前後で推移していた酒類販売業の倒産件数は、九二年には百八といきなり倍に跳ね上がり、九三年、百十四、九四年、百十七と倒産件数は急増している。東京商工リサーチはこれを「規制緩和倒産」と名付け、〈倒産は零細の小売店に集中している〉と分析している。
規制緩和により、事実上、大手スーパーに対抗できない酒屋が窮地に陥っている、と書かれています。
町の酒屋が、大手スーパーと価格競争をしようとしても、事実上、できない。どうすればいいのか。これでは、だまって潰れろ、と言っているのと同じではないか。規制緩和は間違いである、と言いたいのだろうと思います。
個人酒店は個人酒店なりに、「地域で集まって組合をつくり共同仕入れをして酒を安く売り、ダイエーなどのスーパーに対抗していっている」 とはいえ、それにも限界がある。「はたして、個人酒店が共同仕入れ程度でダイエーなどの巨大スーパーに対抗していけるのだろうか?」 と思うのは、当然です。
おそらく、地域の組合でどんなに努力しても、巨大スーパーよりも安く仕入れることはできないと思います。また、かりに同じ価格で仕入れることができたとしても、商品一点あたりの利幅が小さくなれば、やっていけないと思います。地域の酒屋では、大量販売は期待できないからです。
しかし、現にいまでも、酒屋は存在しています。
競争に生き残った個人酒店がある、
と考えてよいと思います。どうやって生き残ったのか、それは知りませんが、酒屋が全滅したわけではない。競争に勝ち残る方法は、あったのだと思います。
一般に、コンビニの販売価格はスーパーよりも高い。それにもかかわらず、コンビニが消費者から一定の支持を得ている背景には、
消費者が望んでいるのは、価格の安さばかりではない
状況があるのだと思います。したがって、たとえ価格面で巨大スーパーに太刀打ちできなかったとしても、なんらかの方法で、対抗できる方法があると考えるのが、適切だと思います。具体的にどういう方法なのか、それはわかりませんが、
地域の酒屋には、巨大スーパーやコンビニにはない、有利な点があります。地域の人々とのつながり、人間関係です。そこから、小さな酒屋ならではのサービスができるのだろうと思います。
かといって「おもてなし」だけ、サービス産業重視で良いかと言えばそうでもない。
土台をしっかりさせた上で+αの付加価値(サービスなど)がありえるとは思います。
ただ、こういったものは、心理的に余裕、希望がないとやりづらいような気もします。
その辺、どうすれば希望をもてる社会になるか、というのが大きな問題であると考えます。
体調絶不調(汗)、この記事をよんでだけのコメント、前後を読むと、おかしなことをいっているかもしれませんが。。
( 一部の ) 個人酒店が競争に勝ち残った、という事実そのものが、希望になりうると思います。
そもそも、競争をすれば中小・零細が負ける 「に決まっている」 と考えるところが 「おかしい」 と思います。競争の勝ち負けは、必ずしも規模の大小で決まるものではありません。
私は規制緩和を支持します。私は、規制緩和が推進される社会のほうが希望がもてると思います。