言語空間+備忘録

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コンピューターウイルス作成罪が成立

2011-06-17 | 日記
日本経済新聞」の「コンピューターウイルス作成罪を新設 改正刑法が成立」( 2011/6/17 11:07 )

 多発するコンピューターウイルスを使った犯罪の取り締まり強化のため、「ウイルス作成罪」の創設を盛り込んだ改正刑法などが17日の参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。7月に施行される予定。サイバー犯罪の防止に期待がかかる一方、捜査権の乱用によるプライバシー侵害を懸念する声も出ている。

 改正刑法は、正当な理由なくウイルスを作成、提供、供用した場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると規定。ウイルスの取得や保管も2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。わいせつ画像を不特定多数の人に電子メールで送信する行為を処罰対象に加える。

 また捜査当局が、ウイルスを作成したコンピューターと接続しているサーバーからデータを複写し、差し押さえることが可能になる。インターネットの接続業者などに最長で60日間、通信記録を保全するよう要請できるとした。

 国会審議では、通信履歴の保存が憲法によって保障される通信の秘密を侵害する恐れがあると指摘する意見などが出され、参院法務委員会は法律の適切な運用を求める付帯決議を採択した。

 ウイルス作成罪創設を含めた改正案が提出されたのは、自公政権当時から3回目。過去2回は組織犯罪対策として同時に提案した「共謀罪」創設への反発が強く、いずれも廃案となり、今回の改正案では共謀罪関連の項目は除いた。


 参院本会議で「ウイルス作成罪」の創設を盛り込んだ改正刑法などが可決、成立した。7月に施行される予定である、と報じられています。



 条文を調べました。なお、衆議院で先に審議されており、(衆議院では)すでに可決しています。



参議院」の「第一七七回 閣第四二号 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(内閣提出、衆議院送付)

(刑法の一部改正)
第一条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。

(中略)

 第二編第十九章の次に次の一章を加える。

   第十九章の二 不正指令電磁的記録に関する罪

 (不正指令電磁的記録作成等)
 第百六十八条の二 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
  一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
  二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
 2 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
 3 前項の罪の未遂は、罰する。

 (不正指令電磁的記録取得等)
 第百六十八条の三 正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 第百七十五条中「図画」の下に「、電磁的記録に係る記録媒体」を加え、「、販売し」を削り、「又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する」を「若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する」に改め、同条後段を次のように改める。
  電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

 第百七十五条に次の一項を加える。
 2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

 第二百三十四条の二に次の一項を加える。
 2 前項の罪の未遂は、罰する。


(刑事訴訟法の一部改正)
第二条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

(後略)




 これ、「正当な理由」の解釈はどうなるのでしょうね?
 (不正指令電磁的記録作成等)
 第百六十八条の二 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
  一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
 技術開発(または研究)のためにウィルスを作ることも違法なのでしょうか?

 大学が行う研究であれば「正当な理由」として認められそうですが、民間企業の研究であれば「正当な理由」になるのかならないのか微妙なような。。。 同様のことを個人が行う場合は「正当な理由」として認められ難いかもしれず、そのあたりが気になります。

 また、
 (不正指令電磁的記録取得等)
 第百六十八条の三 正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
ウィルス対策ソフトウェアが発見・捕獲したウィルスをハードディスク内に「保管」していると違法なのでしょうか? 「捕獲」せず、「ただちに削除しなければならない」のかもしれず、こちらも気になります。



■追記
 条文を読み直しました。私が懸念していたケースは、「人の電子計算機における実行の用に供する目的」(第百六十八条の二) または「前条第一項の目的」(第百六十八条の三) が認められないので、合法だと思います。

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