言語空間+備忘録

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増税か経済成長か

2010-04-19 | 日記
高橋洋一 『日本は財政危機ではない!』 ( p.56 )

 では、財務省はなぜ、財政タカ派の政治家やマスコミを使って、経済成長路線をつぶそうとしているのか。
 その背景には財務省の財政再建に対する信じがたいスタンスがある。財務省は「経済成長率が上がれば、財政再建ができなくなる」と本気で考えているからだ。私は、この奇妙な論理を複数の財務省幹部や他省庁の財政担当幹部から聞かされた。
 実際、二〇〇六年二月一七日の政府税制調査会と二月二八日の財政制度等審議会に政府が提出した資料にも、経済成長すると財政再建ができなくなるとの試算が掲載されていた。
 政府税調と財政審議会は、数ある審議会のなかでも最高権威の双璧である。その資料にこのような試算を載せていること自体、財務省が本気で経済成長は財政再建につながらないと考える証拠だ。
 成長率が上がると、それに伴い金利も上昇する。そのため、利払いがかさんで財政再建が遠のく。これが、財務省幹部たちの論理なのだ。
 確かに二、三年のスパンで見れば、そのような現象は起こり得る。経済成長が税収につながるまでは、しばしの時を要するからだ。一方、金利は先行して上昇する。その結果、一時的に財政が圧迫される可能性がある。
 だが、それはあくまでも一時的な現象に過ぎない。やがて金利の上昇は頭打ちになり、税収の自然増がジワジワと始まる。経済成長こそ財政再建への近道、これは財政学の常識だ。
 にもかかわらず、財務省が成長路線に否定的なのは、彼らのなかに宿っているのが近視眼的な視野と強固な「財政原理主義」だからだ。財務省では、せいぜい向こう一、二年間という短期的な視野でしか経済を考えない。財務官僚の頭を支配しているのは、目先の財政収支の均衡だけなのだ。
 財務省としては、財政再建さえなれば、どのような方法でもかまわないのだが、財務収支の均衡をはかるために最も確実で手っ取り早いのは、増税である。


 財務省は「経済成長率が上がれば、財政再建ができなくなる」と本気で考えているので、経済成長路線に否定的な態度を取っている、と書かれています。



 「経済成長率が上がると金利が上昇するので、財政再建ができなくなる」という話は聞いたことがあります。その当否はともかく、

 財務省がこの話を本気で信じているとなると、この考えかたに沿って政策が立案される、と考えなければならないと思います。



 とすれば、日本の経済成長は頭打ちの状態が続き、デフレも続く。おそらく不況も ( さらに ) 長期化するだろう、と予想されます。政府は本当にデフレを終わらせたいのか、疑わしくなってきます。



 私としては、さきに増税をすれば、経済規模が縮小し、ますます、財政再建が遠のいてしまうのではないかと思います ( 「財政再建のために残された道」 参照 ) 。

 逆に、経済成長路線を取った場合、金利が上昇し、国債の利払い費が嵩むことによって、財政再建が遠のく可能性は、ほぼ、無視してよいのではないかと思います。現在、日銀によって大量の資金供給がなされているのですから、多少、経済が成長したところで、ほとんど金利は上昇しない ( …可能性が高まっている ) 、と考えてよいでしょう。日本経済が強烈な経済成長を達成すれば話は別ですが、その場合には、税収も急激に増え、財政再建にプラスに作用するのではないかと思います。

 したがって、財政再建ではなく、経済成長を優先すべきではないか、と思います。



 しかし財務省のスタンスが変わらないとすれば…。不況のさなかに、増税がなされるでしょう。そのあたりが財務省の意向 ( 方針 ) を知る、ひとつの目安になるのではないかと思います。

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