言語空間+備忘録

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小泉・竹中路線が間違いだったとは、言い切れない

2009-07-05 | 日記
加藤紘一 『劇場政治の誤算』 ( p.105 )

 今、これほどまでに不況が深刻化し、失業者が増大し続けているのは、日本がサブプライムローンに直撃されたからではありません。日本の金融は諸外国に比べれば軽症だったはずです。第一章にも書いたとおり、日本人はバブルの苦い経験と、タヌキ民話のおかげで究極の福袋には手を出さなかったからです(17、18ページ参照)。
 日本経済がこんなに傷んでいるのは、端的に言えば小泉・竹中路線が心血を注いだ経済政策によって、極端な外需依存になっていたためです。
 リーマン・ブラザーズの破綻以前の日本経済は、一見堅調に見えました。しかしどこかに危うさの感じられる景気でした。特に、その当時からすでに企業の好景気は非正規雇用をかなり手軽に、安く利用することによって成立していたと言われていました。そこに一〇〇年に一度といわれる今回の世界恐慌レベルの波が襲ってきたわけです。

(中略)

 この波の本質は、いわば過去五年から一〇年、世界各国がアメリカに膨大な借金をさせてモノを買わせて儲けていたというところにあります。日本は車を売り、韓国はIT関係の製品を売り、中国は繊維製品を売ることで経済を伸ばしていい生活をし始めた。国債を買うといった方法などでアメリカにモノを買わせるためのお金を貸したのは、我々輸出側の国々です。アメリカだけに、世界不況の責任を問うのは間違っています。
 一九六六年から七〇年まで続いた「いざなぎ景気」のときには、GDP伸び率のほとんどを国内需要要因が支えていました。海外輸出の寄与率はわずか一割です。それが二〇〇二年からの景気回復局面では六割を占めていました。世界の不景気がもろにかかってくるのは当然です。


 日本経済が傷んでいるのは、小泉・竹中路線が原因であり、極端な外需依存になっていたからである、と書かれています。



 日本では、内需が弱いのはその通りだと思います。また、「非正規雇用をかなり手軽に、安く利用」 したために、日本人労働者の購買力が弱まり、内需が弱まったのも、たしかだと思います。

 しかし、「中国人研修・実習生の賃金例」 が示すように、( 海外に比べて高すぎる ) 日本人労働者の給与を下げなければ、( 価格が高すぎる ) 日本製品は競争に敗れてしまいます。これはなにも、輸出しなければよい、という話ではありません。海外製品の輸入を禁止しないかぎり、「日本人が日本国内で」 安い海外製品を買い、国内製品を買わない ( したがって日本製品が売れない ) 、という話になってくるからです。

 したがって、非正規雇用の人々の給与を上げればよい、と即断するわけにはいきません。


 日本が経済的に鎖国するのでないかぎり ( それは非現実的だと思います ) 、小泉・竹中路線が間違いだったとは、言い切れないのではないかと思います。

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