今回は、『中国でバブルが崩壊するか?』、『経済は失速するか?』と言う問題について考えて見ました。先ず、日本のバブル崩壊についての私の考え方を書いてみます。
【日本のバブルと大手銀行の責任】
親戚に不動産鑑定士(A氏)がいました。彼は、某大手銀行の依頼で融資先の不動産を鑑定するのが仕事でした。バブルが崩壊(1991年)する10年程前から、査定金額の水増し要求が銀行側から出る様になったとぼやいていました。A氏は、本当に真面目な人だったので悩んでいました。要求がエスカレートするので、A氏は1985年頃に不動産鑑定士を辞めてしまいました。
銀行に金が沢山集まる様になり、担保の価値や返済計画云々より、如何にして借り手を増やすかが銀行員の使命になりました。担保にする土地の実勢価格が1億円だったとします。銀行は1億円以下しか貸せません。それで、A氏に担当者が、「鑑定額を(鉛筆を甞めて)1.5億円にして下さい」と”そっと囁く”のです。
東京では土地の実際の取引価格が少しずつ高くなり、その上に出来たマンション価格も上昇していました。1985年頃に銀座の飲み屋で知り合いになった方が8千万円のローンを組んでマンションを買った様でした。彼は、外資系の超一流企業に勤務していたので借りられたのです。
私は神戸で家を建てようと検討していたのですが、1980年に急に東京転勤になり検討は中断していました。1984年に神戸に帰って来たので、直ぐに土地探しを再開しました。神戸の土地は4年前と殆ど同じだったのです。翌年に家が完成しましたが、その後すぐに神戸も地価が上昇する様になり、私はラッキーだったのです。
1989年に私の同僚(部下)が神戸で中古のマンションを買おうと、休日に不増産屋回りをしていました。数週間前に見た物件が一番良かったので、行ってみたら大幅に値上がりしていたそうです。他の不動産屋に当たっても全て値上がりで、結局焦って買いました。彼は、東京近辺に前に住んでいたマンションを所有していたので、そちらが高く売れて被害は少なかった様でした。
日本のバブルは、銀行が地価をとんでもない価格に吊り上げた事が主な原因だったと私は思いました。 皮肉にも、大手銀行は不良債権を自分で作って、自ら行き詰まり、税金で助けてもらったのです。 銀行は予想以上に早く立ち直りましたが、日本は20年間も混乱して、大半の国民が被害を被りました。
(余談) 関西の某信用金庫は、賢明にもバブル期間中、古くからの顧客に、本業以外に手を出さない様に説得して回りました。それで、助かった中小企業の社長を知っています。
【日本のバブルは政治家の勉強不足が原因】
資本主義経済では、発展の原動力の一つはインフレです。需要が大きくなるとインフレになり、企業は生産を増やすために設備投資をし、雇用を増やします。デフレになると、企業は逆に動きます。(厄介なのが、景気が悪くなっているのに、物価があがるスタグフレーションです。)
日銀の役割の一つは、流通する紙幣の量(紙幣発行残高)を調節してインフレ率を適当な範囲にすることです。
第1の手段 :日銀は、民間金融機関(銀行)に金を貸しています。日銀が貸す時の金利を”公定歩合”と呼びますが、公定歩合を上下させて紙幣発行残高を調節します。
第2の手段 :国が発行する国債は、(国際ルールに従って、)民間の金融機関や個人に買ってもらいます。日銀は、経済状況を見ながら国債を買う(紙幣を発行する)か、又は、国債を売る(紙幣を回収する)かして、紙幣の流通量(紙幣発行残高)を調節しているのです。
日銀は、「多くの企業や個人が銀行から借金したり、貯金を引き出して投機に走らない!」と言う前提に立っている様に思います。 日銀が予想していなかった”悪夢”(投機)が起こってしまったのです。政府は、この悪夢を抑える事は日銀では出来ない事に気付き、1989年の年末になって”土地基本法”を制定しました。
なんと、土地基本法は「投機目的で土地を購入しない様にして下さい!」と呼び掛けています。多分、頭の良い役人達は知っていたと思いますが、問題の本筋は①土地などの不動産を担保にして銀行が融資する旧態依然とした制度で、②銀行が異常な値に吊り上げた地価をベースに金を貸した事です。
日本のバブル期は1986年12月~1991年2月ですが、その頃に地価と株価が高騰したのです。(下に示すデータをざっと見て下さい。) 株価は景気に追随して乱高下する事を承知で"売り/買い”にしますが、土地は値下がりしないと言う”土地神話”を信じていた投資家が多数いました。中小企業の強欲な社長が、バブル期に銀行から金を下ろして、投機目的で庭付き一戸建て住宅を5軒も買いました。2005年頃まだ使用せずに、保有していました。彼は、まだ億単位の貯金をしていましたので、憐れむ必要は有りません。
◎84年 :6大都市の地価=100、株価=100、実質GDP=100
★85年 :6大都市の地価=114、株価=119、実質GDP=104、
公定歩合=5.0、消費者物価指数=2.0、
★86年 :6大都市の地価=144、株価=155、実質GDP=107、
公定歩合=3.7、消費者物価指数=0.7
★87年 :6大都市の地価=184、株価=219、実質GDP=112、
公定歩合=2.6、消費者物価指数=0.1
★88年 :6大都市の地価=229、株価=255、実質GDP=119、
公定歩合=2.5、消費者物価指数=0.7
★89年 :6大都市の地価=298、株価=322、実質GDP=125、
公定歩合=3.1、消費者物価指数=2.3
出典 :日本銀行金融研究所・『バブル期の金融政策とその反省』のデータをベースにしています。
(余談) バブルの末期から計画を進めて、バブルが弾けた後(1993年)に老朽化していた工場を新設した会社を知っています。 銀行の金利がまだ高く(7%程)、需要が大幅に少なくなていましたので、3年程は経営は非常に苦しかった様です。苦しい中で開発した省力化機械が時代のニーズにマッチして、ドンドン仕事が入る様になり、2001年には借金を完済し、さらに億単位の内部留保が有りました。(この社長は、自力でバブル後を乗り越えたのです。)
【中国のバブル】
「中国で何時かはバブルが崩壊する」と予想するコメンテーターがいますが、私はこの意見には少し懐疑的です。
第1の理由 :日本のバブル崩壊を譬えると、『政府君と役人君の横に有った巨大な風船が、急に勝手に膨れ出し、どうしようか悩んでいるうちに、破裂してしまいました。破裂後もどうしたらよいか?途方に暮れている間に20年が経過しました』。 習近平は、政府君と役人君の様に愚かだと思いますか?
第2の理由 :中国には民有の土地が無い為に、地価の異常な高騰は起こりません。土地を担保にして銀行が融資しているのではありません。
第3の理由 :国の借金(国債)が近年急激に増加していますが、その大半は中央銀行(中国人民銀行)が保有している様です。インフレ率が適当な値である限り、貨幣を発行し続けても問題は発生しません。換言しますと、異常なインフレになるまで国家は返済(国債を償還)する必要がありません。中央銀行が保有している国債には利息が付きません。
第4の理由 :市中銀行が多量に不良債権を抱えたらバブルと言えるかも知れませんが、預かった金の利息を一部でも払えている間は、問題は顕在化しないでしょう。 そして、市中銀行の大半は国有銀行です。
第5の理由 :民間企業の社長は地方政府から土地を借り、国有銀行から金を借りているわけですから、汚職に無関係では有り得ません。叩けば簡単に”ほこり”が出ます。彼を逮捕して財産を没収出来るのです。100億円の資産家を100人逮捕したら、1兆円が国庫に入ります。
第6の理由 :民間企業や個人が銀行に預けた金の一部は、”徳政令”で”ゼロ”に出来ます。 共産国ですから、金持ちの資産を没収するのに抵抗は無いと思われます。 ただし、徳政令は最後の手段で、経済を減速させる恐れはあります。 外国企業の貯金に徳政令を適用しなかったら国際的な批判は余り受けないと思います。
(余談) 私が二十歳代の頃に、アメリカの独立戦争(1775年~83年)に関する本を何冊か読みました。内容は殆ど戦いの話しでしたが、(13州の)革命軍がそれぞれにポンドに代わる通貨を発行し、「我々は税金を取らない」と宣伝して支持を得たと言う話もありました。流通していたポンドの額に相当するまで、新通貨(紙幣=単なる紙切れ)を発行してもインフレにはなりません。2年間、税金を取らなかった地域(州)もあったと書いていました。その時、国家の借金は個人の借金とは違うと気付きました。 ちなみに、アメリカで統一通貨『ドル』が発行されたのは1791年頃です。
【中国の国債】
近年、中国は国債を乱発する様になってきました。IMFのデータによると、2008年の国債発行残高は8.6兆元≒147兆円(対GDP比=27%)→2018年には44.4兆元≒754兆円(対GDP比=50%)で、10年で5倍以上も増加しています。 ちなみに、日本は2008年=955兆円(対GDP比=183%)→2018年=1,327兆円(対GDP比=238%)で、1.4倍程増加しました。
中国政府は外国の投資機関が国債を買う事を規制をしてきましたが、緩和した為に、2017年から、外国の投資が急激に増え、2019年1月末時点では外国の投資機関の保有高は1.75兆元(≒30兆円)にもなっています。中国経済を楽観視している方が結構多いのです。
各国の国債の利回りは『jp.investing.com/rates-bonds』で見る事が出来ます。中国国債の10年物の利回りは3%ほどで、異常な値では有りません。日本は“-0.1%”で、逆の意味で異常です。ロシアは“8.4%”程で、正に異常です。(ロシアの2018年の経済成長率は”1.7%”でした。)
【中国の経済成長率は?】
中国の経済成長率が鈍化して来たと、問題視されています。共産党に対して国民の不満が爆発しそうな兆候が表れるまで、経済成長率が低下しても共産党政権は安泰だと私は思います。
経済のグローバル化が進んでいますから、一国だけ高い経済成長率を維持する事は出来ません。2~3%程度になっても、異常とは言えません。2018年のGDP成長率は6.4%と公表されています。日本は1.1%程度でしたが、デモは起こっていません。
【中国の不良債権と不良資産】
中国の四大市中銀行(国有銀行)が公表している不良債権率は1.5%~2.4%ですが、憶測で10倍ほど有るので近い将来”バブル崩壊”が起こると予想する経済専門家がおられます。私は、「中国政府が不良債権の実態を把握出来ないで、不良債権がドンドン増加した場合は、将来、経済が破綻する」と考えますが、中国政府が不良債権の増加を放置するでしょうか? 習近平は既にシャドウバンキングの圧縮政策を始めています。
私は、利益を生まない投資が拡大している事に注目しています。不良資産が毎年増加しているのです。 例えば、中国鉄路総公司が毎年”兆円単位”の資金を投入して採算性を度外視した高速路線を敷設しています。運転費と整備維持費が毎年増加しています。 2018年末時点で、南沙諸島と西沙諸島に7つの人工島が建設されています。1島の建設に1兆円ほど掛かった?様だと言う報道が有りました。 軍事的な価値は有るかも知れませんが、経済的な利益は期待出来ないと思われます。むしろ、莫大な維持費/管理費が毎年必要になります。
【日本のバブルと大手銀行の責任】
親戚に不動産鑑定士(A氏)がいました。彼は、某大手銀行の依頼で融資先の不動産を鑑定するのが仕事でした。バブルが崩壊(1991年)する10年程前から、査定金額の水増し要求が銀行側から出る様になったとぼやいていました。A氏は、本当に真面目な人だったので悩んでいました。要求がエスカレートするので、A氏は1985年頃に不動産鑑定士を辞めてしまいました。
銀行に金が沢山集まる様になり、担保の価値や返済計画云々より、如何にして借り手を増やすかが銀行員の使命になりました。担保にする土地の実勢価格が1億円だったとします。銀行は1億円以下しか貸せません。それで、A氏に担当者が、「鑑定額を(鉛筆を甞めて)1.5億円にして下さい」と”そっと囁く”のです。
東京では土地の実際の取引価格が少しずつ高くなり、その上に出来たマンション価格も上昇していました。1985年頃に銀座の飲み屋で知り合いになった方が8千万円のローンを組んでマンションを買った様でした。彼は、外資系の超一流企業に勤務していたので借りられたのです。
私は神戸で家を建てようと検討していたのですが、1980年に急に東京転勤になり検討は中断していました。1984年に神戸に帰って来たので、直ぐに土地探しを再開しました。神戸の土地は4年前と殆ど同じだったのです。翌年に家が完成しましたが、その後すぐに神戸も地価が上昇する様になり、私はラッキーだったのです。
1989年に私の同僚(部下)が神戸で中古のマンションを買おうと、休日に不増産屋回りをしていました。数週間前に見た物件が一番良かったので、行ってみたら大幅に値上がりしていたそうです。他の不動産屋に当たっても全て値上がりで、結局焦って買いました。彼は、東京近辺に前に住んでいたマンションを所有していたので、そちらが高く売れて被害は少なかった様でした。
日本のバブルは、銀行が地価をとんでもない価格に吊り上げた事が主な原因だったと私は思いました。 皮肉にも、大手銀行は不良債権を自分で作って、自ら行き詰まり、税金で助けてもらったのです。 銀行は予想以上に早く立ち直りましたが、日本は20年間も混乱して、大半の国民が被害を被りました。
(余談) 関西の某信用金庫は、賢明にもバブル期間中、古くからの顧客に、本業以外に手を出さない様に説得して回りました。それで、助かった中小企業の社長を知っています。
【日本のバブルは政治家の勉強不足が原因】
資本主義経済では、発展の原動力の一つはインフレです。需要が大きくなるとインフレになり、企業は生産を増やすために設備投資をし、雇用を増やします。デフレになると、企業は逆に動きます。(厄介なのが、景気が悪くなっているのに、物価があがるスタグフレーションです。)
日銀の役割の一つは、流通する紙幣の量(紙幣発行残高)を調節してインフレ率を適当な範囲にすることです。
第1の手段 :日銀は、民間金融機関(銀行)に金を貸しています。日銀が貸す時の金利を”公定歩合”と呼びますが、公定歩合を上下させて紙幣発行残高を調節します。
第2の手段 :国が発行する国債は、(国際ルールに従って、)民間の金融機関や個人に買ってもらいます。日銀は、経済状況を見ながら国債を買う(紙幣を発行する)か、又は、国債を売る(紙幣を回収する)かして、紙幣の流通量(紙幣発行残高)を調節しているのです。
日銀は、「多くの企業や個人が銀行から借金したり、貯金を引き出して投機に走らない!」と言う前提に立っている様に思います。 日銀が予想していなかった”悪夢”(投機)が起こってしまったのです。政府は、この悪夢を抑える事は日銀では出来ない事に気付き、1989年の年末になって”土地基本法”を制定しました。
なんと、土地基本法は「投機目的で土地を購入しない様にして下さい!」と呼び掛けています。多分、頭の良い役人達は知っていたと思いますが、問題の本筋は①土地などの不動産を担保にして銀行が融資する旧態依然とした制度で、②銀行が異常な値に吊り上げた地価をベースに金を貸した事です。
日本のバブル期は1986年12月~1991年2月ですが、その頃に地価と株価が高騰したのです。(下に示すデータをざっと見て下さい。) 株価は景気に追随して乱高下する事を承知で"売り/買い”にしますが、土地は値下がりしないと言う”土地神話”を信じていた投資家が多数いました。中小企業の強欲な社長が、バブル期に銀行から金を下ろして、投機目的で庭付き一戸建て住宅を5軒も買いました。2005年頃まだ使用せずに、保有していました。彼は、まだ億単位の貯金をしていましたので、憐れむ必要は有りません。
◎84年 :6大都市の地価=100、株価=100、実質GDP=100
★85年 :6大都市の地価=114、株価=119、実質GDP=104、
公定歩合=5.0、消費者物価指数=2.0、
★86年 :6大都市の地価=144、株価=155、実質GDP=107、
公定歩合=3.7、消費者物価指数=0.7
★87年 :6大都市の地価=184、株価=219、実質GDP=112、
公定歩合=2.6、消費者物価指数=0.1
★88年 :6大都市の地価=229、株価=255、実質GDP=119、
公定歩合=2.5、消費者物価指数=0.7
★89年 :6大都市の地価=298、株価=322、実質GDP=125、
公定歩合=3.1、消費者物価指数=2.3
出典 :日本銀行金融研究所・『バブル期の金融政策とその反省』のデータをベースにしています。
(余談) バブルの末期から計画を進めて、バブルが弾けた後(1993年)に老朽化していた工場を新設した会社を知っています。 銀行の金利がまだ高く(7%程)、需要が大幅に少なくなていましたので、3年程は経営は非常に苦しかった様です。苦しい中で開発した省力化機械が時代のニーズにマッチして、ドンドン仕事が入る様になり、2001年には借金を完済し、さらに億単位の内部留保が有りました。(この社長は、自力でバブル後を乗り越えたのです。)
【中国のバブル】
「中国で何時かはバブルが崩壊する」と予想するコメンテーターがいますが、私はこの意見には少し懐疑的です。
第1の理由 :日本のバブル崩壊を譬えると、『政府君と役人君の横に有った巨大な風船が、急に勝手に膨れ出し、どうしようか悩んでいるうちに、破裂してしまいました。破裂後もどうしたらよいか?途方に暮れている間に20年が経過しました』。 習近平は、政府君と役人君の様に愚かだと思いますか?
第2の理由 :中国には民有の土地が無い為に、地価の異常な高騰は起こりません。土地を担保にして銀行が融資しているのではありません。
第3の理由 :国の借金(国債)が近年急激に増加していますが、その大半は中央銀行(中国人民銀行)が保有している様です。インフレ率が適当な値である限り、貨幣を発行し続けても問題は発生しません。換言しますと、異常なインフレになるまで国家は返済(国債を償還)する必要がありません。中央銀行が保有している国債には利息が付きません。
第4の理由 :市中銀行が多量に不良債権を抱えたらバブルと言えるかも知れませんが、預かった金の利息を一部でも払えている間は、問題は顕在化しないでしょう。 そして、市中銀行の大半は国有銀行です。
第5の理由 :民間企業の社長は地方政府から土地を借り、国有銀行から金を借りているわけですから、汚職に無関係では有り得ません。叩けば簡単に”ほこり”が出ます。彼を逮捕して財産を没収出来るのです。100億円の資産家を100人逮捕したら、1兆円が国庫に入ります。
第6の理由 :民間企業や個人が銀行に預けた金の一部は、”徳政令”で”ゼロ”に出来ます。 共産国ですから、金持ちの資産を没収するのに抵抗は無いと思われます。 ただし、徳政令は最後の手段で、経済を減速させる恐れはあります。 外国企業の貯金に徳政令を適用しなかったら国際的な批判は余り受けないと思います。
(余談) 私が二十歳代の頃に、アメリカの独立戦争(1775年~83年)に関する本を何冊か読みました。内容は殆ど戦いの話しでしたが、(13州の)革命軍がそれぞれにポンドに代わる通貨を発行し、「我々は税金を取らない」と宣伝して支持を得たと言う話もありました。流通していたポンドの額に相当するまで、新通貨(紙幣=単なる紙切れ)を発行してもインフレにはなりません。2年間、税金を取らなかった地域(州)もあったと書いていました。その時、国家の借金は個人の借金とは違うと気付きました。 ちなみに、アメリカで統一通貨『ドル』が発行されたのは1791年頃です。
【中国の国債】
近年、中国は国債を乱発する様になってきました。IMFのデータによると、2008年の国債発行残高は8.6兆元≒147兆円(対GDP比=27%)→2018年には44.4兆元≒754兆円(対GDP比=50%)で、10年で5倍以上も増加しています。 ちなみに、日本は2008年=955兆円(対GDP比=183%)→2018年=1,327兆円(対GDP比=238%)で、1.4倍程増加しました。
中国政府は外国の投資機関が国債を買う事を規制をしてきましたが、緩和した為に、2017年から、外国の投資が急激に増え、2019年1月末時点では外国の投資機関の保有高は1.75兆元(≒30兆円)にもなっています。中国経済を楽観視している方が結構多いのです。
各国の国債の利回りは『jp.investing.com/rates-bonds』で見る事が出来ます。中国国債の10年物の利回りは3%ほどで、異常な値では有りません。日本は“-0.1%”で、逆の意味で異常です。ロシアは“8.4%”程で、正に異常です。(ロシアの2018年の経済成長率は”1.7%”でした。)
【中国の経済成長率は?】
中国の経済成長率が鈍化して来たと、問題視されています。共産党に対して国民の不満が爆発しそうな兆候が表れるまで、経済成長率が低下しても共産党政権は安泰だと私は思います。
経済のグローバル化が進んでいますから、一国だけ高い経済成長率を維持する事は出来ません。2~3%程度になっても、異常とは言えません。2018年のGDP成長率は6.4%と公表されています。日本は1.1%程度でしたが、デモは起こっていません。
【中国の不良債権と不良資産】
中国の四大市中銀行(国有銀行)が公表している不良債権率は1.5%~2.4%ですが、憶測で10倍ほど有るので近い将来”バブル崩壊”が起こると予想する経済専門家がおられます。私は、「中国政府が不良債権の実態を把握出来ないで、不良債権がドンドン増加した場合は、将来、経済が破綻する」と考えますが、中国政府が不良債権の増加を放置するでしょうか? 習近平は既にシャドウバンキングの圧縮政策を始めています。
私は、利益を生まない投資が拡大している事に注目しています。不良資産が毎年増加しているのです。 例えば、中国鉄路総公司が毎年”兆円単位”の資金を投入して採算性を度外視した高速路線を敷設しています。運転費と整備維持費が毎年増加しています。 2018年末時点で、南沙諸島と西沙諸島に7つの人工島が建設されています。1島の建設に1兆円ほど掛かった?様だと言う報道が有りました。 軍事的な価値は有るかも知れませんが、経済的な利益は期待出来ないと思われます。むしろ、莫大な維持費/管理費が毎年必要になります。