MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

見とれるプロ

2012-02-13 00:00:00 | 生活・法律

02/13        見とれるプロ




           これまでの『生活・法律




 昨年の暮れのこと(2011/12)、私の家の道路を隔てた
反対側で、工事が始まりました。



 "共同住宅の建て替え" とのことで、事前に家主さんが
挨拶に見えました。 私の家はちょうど真向かいなので、
「騒音や車の出入りでご迷惑をかけます…。」とのことで
した。

 その直後には、住宅メーカーの営業の方まで挨拶に。



 事前に一言あるかないか…は、とても大事ですよね。

 お蔭で作業に携わる方々とも、以後、和やかに言葉を
交わすことが出来ました。



 まずは解体作業。 その後の整地も含めて、かかったの
は一週間ほどだったでしょうか。 水道、ガス管の掘り返し
もありました。



     



 次は、大事な基礎工事。 その基礎部分は、やがて覆い
隠され、見えなくなってしまいます。



 上にどんなに高い、立派な建物が建っても、これがもし
手抜きだと倒壊してしまうのは、何でも同じ。 部分修正
しようとしても、それだけでは不可能な場合もあります。

 結局は、基礎にも及ぶ大手術が必要に…。



     




 ところで、営業さんが挨拶に来たときのことです。

 「お宅の木を切らせていただけないでしょうか?」



 そう言われて私は、一瞬、「え、なんでー?」



 「もちろん費用はウチの会社が出します。 作業は年が明けて
からになると思いますが、実はこういうわけで…。」



 そして一月の中旬、造園業者さんがやって来て、上の高い枝
部分を剪定してくれました。 事前にわざわざ高さを測ってから。
それも、かなり厳密に。 助かるのは私の方です。

 写真では、木が二本見えますね。 陽の当たった木が右に、
そして左奥にもう一本。 実はその間にもう一本、細めの木が
生えています。 左半分の "葉" は、すべてその木のもの。

 "****エノキ" というのだそうですが、正確な名前は覚えて
いません。



         



 これ、葉っぱがチクチク痛い形をしているので、松の一種だと
ばかり思っていました。 かなり "重い" 木なのだそうです。
今回は、その木の上部の枝を刈り取ります。

 ちなみに上の写真では、白い小さな看板が見えますね。 これ
には "世田谷区保存樹" と書いてあるのですが、それはこの木
のことではありません。



 さて、この木の高枝を刈り取るのは、なぜなのでしょうか?
工事現場との位置関係は、こういうふうになります。



     



 右に枝が張り出しているのが、その木。 低い部分が無い
のは、ときどき私が切り落しているから。 でも低い脚立しか
無いので、それより上は私には無理なのです。

 実は私が自分で剪定する木は、これだけではありません。
写真の右下にも、他の道路が右へ走っており、そちらにも
木が何本かあります。 ときどき塀へよじ登り、作業します。



 切り落す枝葉は、全体としては大変な量になり、電動工具
を駆使しないと、とてもじゃありません。 さらにそれを裁断し、
"家庭ゴミ" として出す作業が続きます。

 最近は条例で、焚き火で燃やすことが許されないのです。




 数日後、大きなトラックがやって来ました。

 何台も。 "家" を積んで!



 もうお解りですね。 細かい部材を運んで来て、現場で
組み立てるのではなく、工場で造ったものを運んで来る…。
そして、それを何軒分か、結合する。

 だから、積荷がかなり大きくなり、私の家の高枝が邪魔
になった…というわけなのです。








 これ、法律的には私の側に責任があります。 民法第233条
には、「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の
所有者に、その枝を切除させることができる。」…とあるから。

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 しかし今回、私に対してその権限があるのは、道路の
所有者たる自治体。 建築メーカーさんは、まず "そこ
へ掛け合う" ことから始める必要があります。 いきなり
伐採するという、"実力行使" は出来ません。

 しかし、それから私が応じるのを待っていたら、工期中
に完成するのは、まず無理。 「背に腹は代えられない」
…というわけです。



 ちなみに、私が塀へよじ登るのも、大きなトラックには高枝
が迷惑だからです。 いつもお世話になる運送業者さんから、
「大変助かります!」…と言われたことが、一度あります。

 でも実は、「当り前のことを、それまで私が放置していた」
…だけなんですね。



     



 そう思って道路を歩いてみると、迷惑な事例が、あちこち
にあります。

 生垣全体が、道路側にせり出している場所。 通行人に
とっては、道が1㍍も狭くなり、それが20㍍も続くので危険。
車のすれ違いだって、大変です。

 また、鋭い小枝が道路側に飛び出していても、見えにくく、
気付いたときには、いきなり顔や眼に当る。 …ということは、
色々な身長の方がいるのですから、誰にとっても危険なこと
になります。 特に、大人が気付きにくいお子さんには。

 これ、いざとなると、損害賠償請求の対象になるでしょう。




 それはそうと、工事は順調に進んでいるようです。 解体
作業を除いては、騒音はまったくと言っていいほど、ありま
せんでした。 組み立て工法のためでしょうか。 今はもう
車両も少なくなりました。 おそらく内装関係の業者さんが、
代わる代わる来ているだけ?

 もうすぐ新しい住人が引っ越して来られるでしょう。 また
新たな "ご近所付き合い" が始まります。




 さて、"枝の剪定" と言っても、素人にはとても無理なのが、
これ。 敷地の隅に、大きな木があるのです。



     



 私がこの地に足を踏み入れる、はるか前から鎮座まします
"主" で、ケヤキさん。 世田谷区が "保存樹" として指定した
のは、実はこちらの方です。 好き勝手に伐採など出来ません。

 もちろん、そんなつもりは無いのですが、いざとなったら面倒
なことになるでしょう。 費用も含めて。



 年に一度、区が高枝を剪定してくれますが、それでも大変な
のが、落葉の処理。 これ、敷地の端にあり、隣家にも大量の
葉を撒き散らすので、大きな迷惑をかけていることになります。

 その落葉は我が家の屋根にも降り注ぎ、雨樋を詰まらせて
います。 これも、素人の自分には処理できません。



 何度か屋根に登ったことがありますが、いやもう、怖いの
なんの…。 屋根の勾配は、実際に登ってみると、下から
眺めるより、はるかに急に感じます。

 屋根にアンテナを立てたときのこと。 怖いのは、雨樋の
ある際まで降りて行くときでした。 てっぺんで、じっと作業
しているときの方が、はるかに楽です。

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 今はもう、家族から固い禁止令が出ています。

 「もう歳なんだからね…!」 はいはい…。

 …それより、早く言えば "無謀" ですものね。




 業者さんは、二人でやって来ました。 一人がチェーン
ソーを片手に枝を切り落とし、もう一人がそれを地上で
片付け、細かくし、乗って来た回収車に積み込みます。

 ついでに私も頼み込んで、何日か前に裁断まで済ませ
た大枝、小枝を、ありがたく持って行ってもらいました。



 私は野次馬根性丸出しでしたが、邪魔になる上に危険
なので、遠巻きにうろうろ…。



         



 それはそうと、この颯爽とした姿をご覧ください! 屋根
よりはるかに高いところを、いともたやすく行き来し、枝に
乗り移るのです。 私だったら、その10倍も時間がかかる
ことでしょう。

 あまりの見事さに、先ほどの住宅建設の方々も、「ほう、
凄いねー!」…と、少し離れた現場から、ずっと見上げて
おられました。 ちょうど休憩中だったんですね。



 どっちも凄いですよ! プロの業は!



         



 ケヤキの木、お蔭ですっきりしました。 "丸坊主" とは行き
ませんが、これで隣家にかける迷惑も、多少は減るでしょう。

 ただし "数年に一回" は、私費で "大剪定" をやる必要が
あるんです…。 困った、困った…。




 さて、我が家の "きこり" 作業、まだ終りませんでした。

 前々から問題になっていた案件が、他にもあったのです…。



  (続く)



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