平野啓一郎さん、柚月裕子さん、柚木麻子さんのお三方の作品はいずれも初めて読む。
名前を知っていたのは平野啓一郎さんだけ。後のお二方は全く知らなかった。
いや柚木麻子さんはドラマ「ランチのアッコちゃん」の原作者だったよなとうすらぼんやり覚えていた。
図書館と違って地区センターは比較的新しい本が手に入りやすい。それが嬉しい。
3冊ともそういうことで手元に。
「ナイルパーチの女子会」 山本周五郎賞受賞、第153回直木賞候補
「弧狼の血」 第154回直木賞候補作 第69回日本推理作家協会賞
私が知らなかっただけで、けっこう受賞歴凄いのね。
「マチネの終わりに」 マチネロスって言葉があるんですって?評判だったようで。
で、3冊とも読み切っているのに、どうも読後もやもやともやもやなのよ。スッキリしないのよ。
そんな否定的な感想書くな!って怒られそうなんだけれど、どうもなんだかなって思うのよ。
そんなことぐじぐ言うなら読むことを途中放棄すればいいものを(たいていそうしている)しないんだから、
やはり面白かったって言えるのかしら。
なんとなく困ったもんだの感ありあり。
本紹介の粗筋拝借して。宣伝文も拝借して。済まぬと謝りつつちょこっとのもやもや原因をのせて。
『マチネの終わりに』 平野啓一郎著 
天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。
深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。
出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。
スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。
やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。
芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。
結婚した相手は、人生最愛の人ですか?ただ愛する人と一緒にいたかった。
なぜ別れなければならなかったのか。恋の仕方を忘れた大人に贈る恋愛小説。
なんて、ちょっとむず痒くなるでしょ。
そのなぜ別れなければならなかったかの原因が、蒔野がマネージャーに託した大事な一本の携帯メール。
それがもとで二人はそれぞれ別の人と結婚するわけよ。
それもギタリストはマネージャーと、女性記者はもともとの婚約者と。
そもそもなんでいちばん大事なことを誰かに頼むのかねえって、携帯なんて手段に出るのかねえなんて、不満。
でも、終わり方が余韻があってふたりの未来を感じさせて、素敵だからいっか、なんて妥協。
『弧狼の血』 柚月裕子著 
昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上のもとで、
暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査を担当することになった。
飢えた狼のごとく強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いながらも、
日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて失踪事件をきっかけに暴力団同士の抗争が勃発。
衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが……。
正義とは何か、信じられるのは誰か。日岡は本当の試練に立ち向かっていく―?
3冊の中では一番胸ワクワクしながら読んだけれど、TVの刑事ドラマで観たよな、推理小説で読んだよな、との
既視感がありありで。
死体の始末に、船を借りながら海の中に捨てないでわざわざ島に上陸して穴掘って埋めるなんて、ね。
そこから足がつくんだから。ま、ちらっと引っかかるだけだからいっか、なんて妥協。
この小説、東映で映画化されるようで、大上刑事に役所広司さん、日岡に松坂桃李くん。どんピシャの配役。
『ナイルパーチの女子会』 柚木麻子著 
ブログがきっかけで偶然出会った大手商社につとめる栄利子と専業主婦の翔子。
同性の友達がいないという共通のコンプレックスもあって、二人は急速に親しくなってゆく。
ブロガーと愛読者……そこから理想の友人関係が始まるように互いに思えたが、翔子が数日間ブログの更新をしなかったことが原因で、
二人の関係は思わぬ方向へ進んでゆく……。女同士の関係の極北を描く、傑作長編小説。
私にはまったく考えられない思考過程の女性二人。
そもそも、同性の友人がいない作れないということがどうして自分を全否定することにつながるのかね。
タモリさん持論の「友だちなんていらない」のお言葉を聞かせてあげたいくらいよ。
と、そうは言いつつ「ふーん」だの「へー、そっかね」「そりゃあ大変だ」
などと今どきの女子事情を楽しんだり応援したくなったりで忙しかったわ。
そんな感じの上から目線のもやもや3冊でした。
そうはいいつつまた柚月裕子さんの小説借りてきたから、やっぱり面白かったのね。