チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

お墓の前のスイートピー

2015年02月27日 04時13分39秒 | 日々のこと

晴れ、5度、66%

 先週、福岡に東京から戻ったときは、なんと福岡滞在5時間でした。羽田の始発に乗って、午後一時の便に乗ってまた羽田に帰りました。5時間の間、大事な用事を済ませる事が出来ました。しかも、福岡の空港から地下鉄に乗り、終点まで。この往復のみの移動でした。私にしては珍しく、実家のお墓参りには行きませんでした。

 最後にお墓に行ったのは、そうそう、12月の初旬でした。年末だからと、墓周りの伸びすぎた千両やシキミを刈り込んでおきました。もっさりしているのはどうも良くありません。大きな大きなクスノキの下に、まるでそのクスノキに抱きかかえられるように建つ実家の墓です。夜半からの雨も朝には止みました。午前中の大事な用事も恙無く終わりました。いつものように、お墓にすっ飛んで行きました。

 墓地の奥手のクスノキ、お寺の中には見上げる程のイチョウの木が何本もあります。このイチョウの四季折々の変化を子供の頃からずっと見てきました。今は新芽をしっかり育み真っ裸。可愛い新葉をつける時、深い緑が映える時、紅葉を始める時、ぽてぽてとギンナンを落とし始める時。どの時期のイチョウも私は好きです。母の逝った後、残務整理を終えて墓地に足を踏み入れた私が見たのは、長い長いまっ黄色な道でした。一晩で落ちたたくさんの黄色の葉っぱをそっと踏みながら墓に向かいます。この黄色い道は、私へのご褒美だと思いました。お疲れさん、って。

 昼下がり、静かな墓地でした。墓の前に立つと、花束が花立てに、正面にはお酒のカップが一つ。

 私が12月の初めにこの墓を訪れた後、主人と息子がそれぞれ一人で墓を参ってくれています。年初め、忙しい仕事の合間を縫って、主人が墓に参ってくれました。父の好きなお酒を一つ。

 先週、福岡に来ていた息子は、飛行機に乗る前のほんの短い時間を使って、墓に参ってくれたようです。線香立てには、息子があげてくれた線香の一束が、夜の雨を吸って残っています。私が墓の前に立つ時、花がある、供え物がある事はありません。掃除も始めず、墓を見つめていました。その時、小菊の花束の中に優しいクリーム色のスイートピーが一本、目に留りました。

 色も形も優しいスイートピーの花です。思わず微笑みたくなるようなその姿に、この私、涙が出てしまいました。この花束を持って来てくれた息子は、きっと、墓の中の者に話しかけながら、線香に火をつけたでしょう。お酒を供えてくれた主人も、きっと墓の者に話しかけてくれたはずです。いつも私がするように。

 この墓に眠る人たちは幸せね、と思いながら、その墓を見る私も、暖かなものにフワッと包まれるのを感じました。

 香港にはスイートピーの花がありません。久しぶりに見たスイートピーの花でした。


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