ちかちか日記

何にでも挑戦。楽しいことを探して豊かな人生を・・・

坂道

2013年08月27日 | 日記
読売新聞の編集手帳の欄に岩手県花巻市東和町に<ミステリー坂>というところがあると書いてあった。花巻市のページにも隠れた名所として、紹介されていました。



見た目は上りなのに、実は下り勾配で、空き缶やボールはゆっくり落ちていき、目の錯覚によるものらしい・・・・と、そして意気揚々と歩く上り坂が、実は零落の道のりであったり、失意の涙でたどる下り坂の先に一番いいことが待ち受けていたり、どことなく人生を思わす坂である・・


その記事を読んでいて、私が10年近く前入院していた時に出会った人の言葉を思い出しました。隣のベッドにいた20代の若い娘さんが「人生には上り坂と下り坂があるらしいけど、私には<まさか>と言うこんな坂があるとは思いませんでした・・・・」

こんな若い子がこんなことを言って・・・と、胸が締め付けられました。彼女の病気は詳しくわからなかったが、まったく食事も水もとれなくて、ただ点滴だけで過ごしていました。お母さんは「もう、きれいな洋服を着て外へ出ることは無理なんですよ」と、私に話され、パジャマやネックレスなどを買ってこられていました。


そんなことを思いだしていると、翌日の朝日新聞に、大阪のホスピスで最後の時を過ごす入院患者の心のケアとして、土曜日の夕食に「リクエスト食」を出しているという記事がありました。「命の見通しが短い患者さんがこれを食べたいという気持ちを大切にしたい」患者さんがそれぞれ好きな食べ物、思い出の食べ物などをリクエストするという。

なんと素晴らしい、思いやりのある病院食なのでしょうか。以前私は、最後の食事は三途の川を泳がないといけないから、ステーキがいい…なんてふざけていましたが、その時には、病院のあの彼女のことは全く思い出しませんでした。彼女が一度でもリクエスト食を食べることができていたらよかったのですが・・・・