やがて厚い雲がきれ、車窓から陽光が飛び込んできた。
まぶしくて、目をほそめる。
岐阜県をめざす、観光バスに乗り合わせていた。
日帰りツアーの車内は満席で、添乗員の方はやむなく補助席に。
そのかけ心地の悪さに嘆きつつも、定員達成を喜んでいらした。
私と娘は、うれしいことに最前列席をあてがわれ、見晴らしよく気分も爽快。
岐阜県で開催された花フェスタの会場は、記念公園となり、バラの楽園として存続している。
バラ園をみわたせるベンチでお弁当をひろげた。
強風だがよく晴れ上がり、まあるい陽射しが、背中にコロコロとふりつもる。
花の付きが疎らなのが気になった。
パンフレットの写真は、こぼれんばかりに満開のバラ・バラ・バラ・・・なのに。
なぜだか・・・パラ・パラ・パラ?
見頃は過ぎたのかしら。
でも、限定日のツアーだしなぁ。
園のスタッフに、その疑問を投げかけた。
バラには、一季咲きと四季咲きとがある。
春はその両方が、秋は四季咲きのみなので花数が少ない、と返ってきた。
そうなんだぁ・・・そんな自然のからくりがあったのかぁ。
パンフの写真は、春の園だったのね。
でも、落胆することはない。
色も香りも濃くなるのが秋。
茂る葉に護衛されて、一段と麗容さがきわだつ。
風がやむと、ふわっと鼻先をかすめる花の香。
春の花数は秋の10倍以上だが、人出も10倍以上の賑わいだそうだ。
近くで一輪一輪、のぞきこむようにしてながめる。
こんなぜいたくな観賞ができるのも、秋ならではのこと。
往路で伊吹山のちかくを通過したさい、その不自然な姿に唖然とした。
下方のなだらかなあたりが、台形に切り取られていた。
ジグソーパズルのピースを、ひょいと抜き取ったかのように。
石灰岩を切り出している、と説明をうけた。
今後も、まだまだ続くそうだ。
伊吹山まで?
恩恵をうけているとはいえ、その人間のわがままのために、削られてゆく山を目の当たりにすると
やりきれない思いだ。
かたやバラ園となった山斜面。
遠くに連なる山々に、伊吹山がかさなる。
開発のための、日向と日陰をみた秋の日。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます