年明け早々に、電話がなった。
未登録番号からの着信に、伸びた手が躊躇する。
様々な勧誘電話が頻繁にあり、うんざりしていたから。
だが、よく見れば近隣の市外局番だし、大丈夫かな。。。
△△さんのお宅ですか。
〇〇さんいらっしゃいますか、と聞き覚えのない声。
わぁ、やっぱりセールスか~?
不信感でベタ塗りの応対をすると、先方もまた不安げな様子。
受話器の向こうの女性が、すかさずフルネームを名乗る。
それと連動して、声の主がくっきりと浮かんだ。
いやぁ、久しぶり~よそ行きの声で話すし分からへんかった。
お互いに素の声はちっとも変らなくて、瞬く間に遥か昔のままの二人だけの世界ができあがる。
高校の同級生で、彼女とは年賀状の遣り取りだけで繋がっていた。
卒業後はクラス会で二、三度顔を合わせたくらいかな。
最後に会ったのは、たぶん十八年前くらいかしら。
彼女の目的は、私をランチに誘うことだった。
もちろん、迷わず諸手を挙げて応じた。
それを切っ掛けに、同級生三人で女子会の運びとなる。
待ち合わせは京都駅。
この人混みで彼女たちを見つけられるかなぁ。
その心配が頭をもたげるか否かで、懐かしい笑顔と笑顔がドッキングした。
難なく引き合うように出会えたことに加え、各々のさほど変わらぬ風貌に安堵する。
ちょっと気になる顔のしわは、ご愛嬌ということで。
あだ名で呼び合い、あとは底なしお喋りへと。。。
ランチのテーブルを挟み、言葉のラリーが始まった。
とても行き届いた料理の数々は、いずれも美味しかった。
けれども、料理名は覚えていないし、写真もまったく無し。
とにかく話を紡ぐことに専念し、あるいは聞き逃すまいと集中する。
長きのブランクは全く感じない。
すっかり解れてくると、三人三様の辛かった時をポツリポツリと語りだす。
家族のこともふくめ、病やケガ、入院にいたるまで。
更年期に話題がおよぶと、それぞれがうなづきながら口を開く。
息抜きも必要だよ、と言われたって気が乗らなかったよねぇ。
そして今、やっと穏やかな日々の訪れとともに、出会いたい思いがものの見事に一致したわけだ。
この再会を大切にしたい。
娘が奈良で喫茶店をやってるの、私とそっくりなんよ。
と報告するひとり、母の顔はとっても輝いていた。
暖かくなったら、その喫茶店へ行こうね。
明るい見通しに心がさわぐ。
その後も、随分と久しい二人の友から立て続けにメールが届いた。
もちろん、ランチ&お喋りの計画が現在進行中。
今年は、まだまだ思いがけない出会いがありそうな予感。