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青い花

読書感想とか日々思う事、飼っている柴犬と猫について。

ムンク展

2019-01-07 08:34:26 | 日記



先週土曜日に、東京都美術館の『ムンク展―共鳴する魂の叫び』を観に行ってきました。
今回のムンク展の凄いところは、展示作品のすべてがムンクの作品だということです。この種の展覧会は、大抵、タイトルの画家以外の作品が何割か混ぜ込まれるものですが、『ムンク展』は、純度100%のムンク。それも、約60点の油彩画に版画などを加えた101点の大量展示です。目玉の『叫び』以外の作品も、画面から受ける圧が凄まじく、新年から良いものを観たと思いました。
我が家は例によって開館前から並んでいたので、比較的ゆっくり鑑賞することが出来ました。が、『叫び』『絶望』『不安』『赤い蔦』のコーナーは大変な混雑で、ここのみは、学芸員から「立ち止まらないで下さい」と、絶え間なく促されながらのお急ぎ鑑賞となりました。

私がムンクの作品を初めて生で観たのは、1993年に上野の森美術館で開催された『ニューヨーク近代美術館展』の『嵐』でした。
その時は、26年後にムンクの作品を約100点も観ることが出来るなんて、想像してもいなかったと思います(今回の『ムンク展』は、ほぼオスロ市立ムンク美術館のコレクションで構成されているので、『嵐』はありませんでした)。
なんにせよ、この先私がオスロに行くことは無いと思うので、私にとってはこれが最初で最後のムンク三昧になるのだと思います。つくづく贅沢な体験でした。

『ムンク展』は、作品の展示の仕方が素晴らしかったです。
初期から晩年までの作品が網羅されており、それらは全部で九つのグループに分かれて展示されていました。

1ムンクとは誰か
2家族―死と喪失
3夏の夜―孤独と憂鬱
4魂の叫び―不安と絶望
5接吻、吸血鬼、マドンナ
6男と女―愛、嫉妬、別れ
7肖像画
8躍動する風景
9画家の晩年

ムンクの人生の流れに沿って展示されているので、この絵を描いていた頃のムンクはこんな状況、心境にあったのだなというのがよく分かりました。
青年期から壮年期にかけての作品は、ドロリとした重苦しい空気を醸し出しており、観ているだけで息苦しかったです。特に恋人同士の絵は、男が女の髪に絡めとられている構図が多く、男女間のトラブルからピストル沙汰の被害者となったムンクらしい恋愛観を感じました。

“老人たちが「愛は炎である」というのは正しい――それは炎のように、たった一山の灰を跡に残すのだ  スケッチブックより1891~92年“

ムンクは、『接吻』のモティーフを表す作品群や『吸血鬼』のモティーフを表す作品群など、同じ構図の作品を複数描いています。新しい作品ほど細部が削ぎ落されて、最終的には抽象画の域に達しているようにすら見えました。

晩年には、ムンクの絵画は、『太陽』のような、鮮やかな色彩と軽いタッチの平面的で明るい絵画に変化しました。この新たな作風は、特に前期作品の再制作に顕著に表れていると思います。この辺りは、帰宅してからカタログで確認してみて興味深く感じました。

ムンクの作品は、前期と後期に分けられます。
『叫び』を含む〈生命のフリーズ〉があまりにも有名なことから、一般人にとってはムンクといえば、前期の、愛、死、不安を主題とする重々しい作品群と彼の前半生の度重なる不幸の印象が強く、そのため「苦悩する芸術家」という側面が強調されがちです。
しかし、後期の作品を観ると、決してそれだけの画家ではなかったことが分かります。
彼の人生にもまた、幼少期の困窮や肉親との早すぎる死別、自身の病苦、女性嫌悪等からくる苦悩と狂気だけでなく、生前から成功した芸術家であり、芸術活動のためのネットワーク作りも巧みだったという活動的な面もあったのです。


お土産は、カタログ、クリアファイル、キャラメル、ポストカード。
展示作品のすべてがムンクなので、当然カタログに載っているのもムンクばかり。表紙背表紙の作りもしっかりしていて、これで2400円とは大変お買い得なカタログです。解説もたっぷり載っているので、ゆっくり読んでいこうと思っています。
ポストカードの『接吻』は、娘コメガネが選びました。ロマンティック、だそうです。


キャラメルは強烈な色をしていますが、ソーダ味とイチゴ味で美味しかったです。キャラメルというよりハイチュウみたいでした。


東京都美術館を出てから、上野界隈を少し散策しました。
脚が疲れたので、昼食時間になっていたこともあり、休憩がてらマルイ近くの『王城』に入りました。『王城』は、内装やBGMがレトロで落ち着いた雰囲気の喫茶店です。90分入れ替え制なので、ゆっくりお食事出来ますよ。


チョコレートパフェの盛り付けもレトロで可愛かったです。
みかんの色とチョコの色との相性が良い。フレーク等で底上げせず、バニラアイスとチョコレートソースがたっぷり詰まっていました。






軽食類の盛り付けも参考にしたいですね。
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