中上健次再読。まずは『千年の愉楽』から。中上健次には、20代後半に滅茶苦茶はまってた時期があって、重たい拳でぶん殴られている様な読感が好きだった。この世の何処でも無い「路地」で繰り広げられる神話的世界に憧れていた。中上ワールドの男達は鬼畜までに凶暴で美しく、儚い。私も血塗れになって抱き合いたいと思ったよ。中上健次は全集に載ってるものも含めて全作品読んでいると思う。文に独特のリズムがあって癖になるんだよね。でも、故郷を失ってからの作品からは、中上さんの苦悩と模索が滲み出ていて読んでて辛かった。小説を書くために生まれてきた男が魔法の翼を失ったみたいに感じてしまった。『日輪の翼』は傑作だけどね。