マドンナのナイショ話

あなたに話したいあれこれ

なれ寿司

2005年10月15日 | グルメ&美味しいもの
10月15日は私のふるさとの秋祭りだ。
お神輿や獅子舞が村中を回り、秋の豊作を祝う。
みかん山のみかんも色づき始め、村全体が活気づく季節だ。
そして秋祭りには紀州名物の「なれ寿司」を食べる。

「なれ寿司」とは紀州に古くから伝わる郷土料理のひとつ。
塩漬けにした鯖とご飯を暖竹(アセ)の葉でしっかり巻いて
木の樽や箱に詰め、板のような平らなもので蓋をして
重石をのせて5日から1週間置く。
ところによっては2週間くらい置くところもある。
食べごろはお好みで、漬け込むほど乳酸発酵が進む。

紀州の「なれ寿司」は滋賀県の鮒寿司、奈良県の釣瓶鮨と並んで
「日本三大くされ寿司」のひとつ。
なれ寿司は寿司の原点とも言われている。

その名の通り強烈な臭いがして「本なれ寿司」となると
普通の人はとても手が出ないだろう。
発酵の度合いによって「本なれ」「なれ」「早なれ」に分けられる。

ダーリンと結婚した当初
「こんな気持ち悪い寿司は死んでも食べられへん」と言われた。
それが長い年月の間には変わるもので
今では私よりかなりの通で「本なれ」のなれ寿司を食べたがる。
時間が経てば人の嗜好も変わるようだ。

今では商店で年中販売されているが
なれ寿司の美味しい季節は限定される。
乳酸発酵の進む暑い季節だ。
有田ではこの秋祭りがなれ寿司を美味しく食べる最後でもある。
どこの家でも「なれ寿司」を作り、客を持て成し祭りを祝う。

narezushi1

さてさて・・・
今日我が家にクールで宅配便が届いた。
幼なじみからだった。
「何?」と包みを開けると「なれ寿司」が出てきた。
「今日は秋祭りだったんだ」と急にふるさとが懐かしくなった。

いつも「なれ寿司が食べたい、なれ寿司が食べたい」と言っている私。
そんな私に秋祭りの今日送ってくださった。
温かい優しい気持ちに感謝した。

お礼の電話をすると、元気な声が返って来た。
「クールで送ると少し硬くなるから、水加減を多くして作った」とのこと。
ご夫婦で作られた様子が浮かんでくる。

narezushi2

寝させた日にちは六日と言った。
お味は丁度食べごろ。
ダーリンにしては物足らない発酵のようだが
私には丁度よい味加減だった。

最近大阪のデパートでも「なれ寿司」を販売するようになったが
微妙に味が違う。
やはり家庭での拘りの味には勝てない。
頂いたなれ寿司の鯖は地元の魚屋さんで拘って入手したものらしい。
魚屋一筋で来たその魚屋さんの鯖なら間違いない。
天下一品のなれ寿司である。

幼なじみの温かい友情に感謝しながら
今夜は熱燗を1本付けて「なれ寿司」を頂いた。
ふるさとの味が口いっぱいに広がって何だか涙ぐみそうになった。



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