その2【出発~たびだち~】
朝陽(あさひ)は分厚いカーテンを通過できず、部屋の中は暗かった。
自由の第一日目は、いつもの自分の部屋から始まった。
薄闇のなか、私は目覚める。
家出の準備は昨日のうちに済ませておいたから、適当に朝食でも摂って、出発すればいい。
隣りの部屋でいびきをかいている弟を起こさぬよう、静かに部屋を出る。
母の部屋の前を通るときも、やはりいびきが聞こえた。親子そろっ . . . 本文を読む
ついにこの日がやってきてしまった……。
今日で地球は滅び去る。
それは絶対的な運命で、必然で。
伝説の勇者とか聖なる魔法使いとか天使とか神様とか、そーゆー都合のいいもんは現れない。
世界はただ静寂の中で崩壊を待つ。終幕を迎えることを受け入れる。
世界は終わる。
世界は消える。
世界は無に帰す。
世界は滅びる。
世界は――死ぬ。
それは絶対であり、なんぴとにも逆らえない。
世 . . . 本文を読む
その1【ケジメ】
「俺は……病んでいる」
「勝手に言ってろ」
――誰も私を認めない。
「お前も見ただろ、心理テストの結果」
「あんなもんアテになるか」
――誰も私を信じない。
「採用試験で使われるものだぞ」
「それでも自分の意志でヤバイ答え選べるじゃないか」
――誰もが私の心を偽りとする。
「そんなことしてないさ」
「信じられない」
――誰もが本物の私を見ようとしない。
「ま、そう思うな . . . 本文を読む
今日は高橋愛さんの誕生日である。
私より一足先に19歳になったとさ。
いやいや、おめでとうございます。
うわ……見てはいけないものを見てしまった。
今。授業中なのに、隣りのトトロくんがヤフーニュースを見ていた。
いけない子だ。
それをちらっと覗いてみたのだが、家なき子のすずちゃんが婚姻届を提出したというニュースがあった。
私もよく使うあの名言「同情するなら金をくれ」が思い出される . . . 本文を読む
8月9日放送の細木数子さんの番組に出ていた7番の女の子が小説の主人公になるかもしれない。
まぁ、作者は私だが。
きっと誰のことを言っているのか誰にも分からないだろう。
だって彼女はまだデビュー前なのだから。
今月が終わりかけるころにそのコの誕生日が訪れるので、それまでには書きたい。
今月誕生日といえば、悲しきかな、私ももうすぐ19である。
あと二日。15日にジュークになってしまう。
. . . 本文を読む
ぼくは階段を上っていた。
終わりの見えない長い階段を、ただひたすらに上っていた。
もういつから上っているのかもわからない。それくらい長い間、ぼくは上りつづけていた。
階段は、金属の板と棒を組み合わせただけの、簡単なものだった。よく建物の外部に取り付けてある、非常階段のようなものだ。螺旋階段。
あの頼りない階段が、延々とつづいている。茶色に塗装されたそれは、しかし意外にもきれいで、どこもは . . . 本文を読む
僕は自転車をこいでいた。
夜の闇を切り裂くように――なんてもんじゃなく、ただ、のらりくらりと、こいでいた。
僕はいったいなんなんだ。なにものなんだ。本当の自分ってなんだ。
自転車をこいでいると、血のめぐりがよくなるせいか、頭がよくまわる。難しいことを考えたりできる。
しかし、僕という人間はけっこう悩み多き少年で、いつも暗いことを考えたりする。とくに、「自分」という存在について考えたりする . . . 本文を読む
まずは報告。
左にあるブックマーク(リンク)に「へんてこ小説の集い」を追加した。
ここに掲載した小説は随時移行していこうと思う。
また、こちらでは未掲載の作品もある。
日日日ネタをひとつ。
ライトノベル作家に日昌晶(ひよしあきら)という人がいる。
それだけである。
昨晩、ショートショートを書いてみたのだが、意味不明な作品になってしまった。
私の病みっぷりが顕現されているので、 . . . 本文を読む
雨が降っていた。
僕は傘がなくて雨宿り、というありがちな状況に立っていた。
空はおやつの時間だというのに、厚い雲に覆われていて暗かった。街は灰色に染まり、陰鬱な雰囲気を漂わせていた。
それはどこにでもある、よくある風景だった。
日本には四季があって、雨が適度に降る。だから、雨が降るのは日常的なんだ。ぜんぜん、特別なことじゃないんだ。
僕はバス停にいた。
時刻表の向かいにベンチがあって . . . 本文を読む
私は暗闇の中にいた。
気がついたら辺りは真っ暗で、何も見えなかった。
後頭部や背中、腰などの感触から、自分があおむけになっていることが分かった。やわらかいので布団の上だろう。
私は眠っていたのだろうか。しかし、眠っていたという意識がない。いつ眠ったのかも覚えていない。
…………。
私はとりあえず、自分のことを思いつく限り挙げてみた。
水守有志。三十四歳、独身。A型。一九七一年九月七日 . . . 本文を読む
今、村上春樹氏の『カンガルー日和』(文庫版)を読んでいる。
村上氏の作品は、不思議である。
内容はとんでもなく日常的なのに、なぜか読んでいて気持ちがいい。
読後感のよい作品である。
そこで私もそういう作品を書いてみたいと思って、昨日、書いてみた。
が、ぜんぜん、いいものにはならなかった。
後ほど掲載してみるが、ホントに全然大したことない。
しかし、ショートショートは分量的に書きやす . . . 本文を読む
先週の土曜日。
日日日の『ちーちゃんは悠久の向こう』を読了した。
この本を貸して下さったあきらさん曰く、「おまえに似てるやつが主人公」だそうである。
何が似てるのかと訊(き)くと、「ビンボーなところが」だってさ。
読んでみるとなるほど彼はビンボーだった。しかしいささか私とは事情が違う。
日日日はなんでこんな可哀想な主人公にしたのだろうか。ちょっとやりすぎなんじゃないか。
しかしこの設 . . . 本文を読む
8月26日金曜日
・メモ
7時に寮を出たので2時間ほどヒマである。京都駅に着いてすぐおみやげを買ったら、8時を過ぎた。
JRのバス停はどこだと探して見つけたけれど、重い荷物をてきとうに放置しておいたので取りに行く。その途中で、ひるがえるスカートを見た。目の前だった。
京都に着いてからというもの、妙に女がらみの事件が多い。
女といえば、さっきかわいい店員さんがいたのでその人について行ったら . . . 本文を読む
やばいことになった。
週間アクセス数が700近くになった。
やはりあの1日11回更新が効いたのだろう。恐ろしい。
やばいことといえば、明日は台風のために休校である。
なので明日の嘘日記はお休みする。
その代わり、明後日には新しい小説を掲載してみようと思っている。今の時点では。
きっと「ピンポンだっしゅ」というタイトルの短編になるだろう。
ちなみに私はピンポンダッシュなんてやったこと . . . 本文を読む