唯記【ありがとう／蟻が問う】

　面倒臭いのでお昼をインスタントラーメンだけで済ませた。
　物足りなくて、とりあえず体を動かしてみようと気分転換に買い物に出掛けた。
　買い物といっても楽しいショッピングではない。
　３３円の豆腐を買いに行っただけである。
　そして戻って来たら、
　母からこんなメールが届いていた。

『今病院の隣でランチしてるの(^-^)』

　最後のは顔文字ではなく実際には絵文字が三つ並んでいた。それを顔文字に差し替えた（うちのブログは絵文字を敬遠している）。

《ランチ》……？
　５００円のワンコインランチだろうか？
　そんなはずはない。
　うちの母親に“節約する”なんて指向も嗜好も、思考すらもないのだから。
　仮に５００円だったとしても、今のボクよりはるかに贅沢だ。
　何故ならボクがさっき食したのは、母が不味いと言ってボクに押し付けたラーメンだからだ。
　皮肉ですか……？
　ボクが一生懸命節約しているのを、鼻で笑っているのですか？　嘲笑っているのですか？
　こちらは貴女にいただいたラーメンをすすっているのですが？
　そうでなくても、ボクが１食に１００円以上かけないのはご存知ですよねえ？
　絶対に気まぐれさえなく、外食をしないのは、ご存知ですよねえ？
　それなのに、こんなお昼時にいきなり『いまランチしてるの♪』なんて……
　無神経にまほどがあるんじゃないですか……？
　それとも、仕返しですか？
　いつもいつもいつもお金お金と煩い息子へのアテツケですか？
　報復ですか？
　この間、貴女言ってましたよねえ。
「もう（サイフ）すっからかん……」
　って。
　どこがだよ！
　ランチする余裕があるんじゃねーか！
　それとも何ですか。
　いま楽しんでおいて、また月末に息子にたかろうとしているんですか。
　お金もないのに贅沢して……
　交際費だからって見栄張って……
　そしてお金が底を突きかけたら「お金がないー、助けてー(;_;)」って息子にたかるわけですか。
　分不相応だ。
　あなたは自覚できていない。
　自分達が社会の底辺で援助されている、生かされているということを。
　いや、生かしていただいているんだ。
　税金で生きてるんだよ、わかってる？
　もっと慎みなさい。
　慎ましやかな生活をなさい。
　贅沢がしたかったら貯金なさい。
　まだ借金があるんでしょう？
「もうすぐ自己破産の期間が終わるからまたお金借りれるよ♪」なんて言ってる場合じゃない。
　また……またアナタは借金を増やすつもりでいるのか……
　ローンだからとか、そんな逃げ口上は聞きたくない。
　借金はやめろ。
　人様に迷惑かけてまで贅沢したいのかよ。
　甘すぎだぜアンタ。
　あぁ、くそ。
　アンタなんかに怒るなんて、ホントに嫌だよ。
　怒るだけの価値がないよ。
　だからこれを本人に言うつもりはなくて、ただの愚痴。
　お金を借りるのが当たり前と考えてる、借金のない家庭なんかないと開き直る。
　それが嫌で、大嫌いだ。
　嫌いなんて積極的な感情なんか持ちたくないけれど……
　虫ずが走る。
　忌ま忌ましい。
　憎いとまではいかないが、嫌悪するね。
　ボクはアンタを反面教師として育った。
　その意味では、いい参考になったよ。
　ありがとう。