不甲斐ない己

　あぁ、まったく。
　自分はいったいなにをしているんだろう。
　いま頑張らなければ意味はないのに。
　いまこそ本領発揮すべきときなのに。
　なにも、していない。
　最低だ。呆れを通り越して失望だよ。
　家族は。
　自分以外の家族は、あんなにも頑張っているのに。あんなにも傷ついているのに。あんなにも苦しんでいるのに。あんなにも一生懸命なのに。あんなにも疲れているのに。
　自分は、なぜ、なにもしない？
　できない、とは言わせない。
　時間だってあるのに。
　なぜだ？
　他人だったら呆れて物も言えなくなるが、自分だからな。
　ムカつくよ。
　情けないよ。
　不甲斐ない。
　懸命に生きている家族の中で、唯一、おまえだけが楽をしている。
　おまえだけが、なにもしていない。
　なぜ、働かない？
　なぜ、就職先を探さない？
　なぜ、自分のために金を使う？
　意味もなく自分のためだけになぜ金を使う？
　使っちゃいけない金なのに、なぜ使う？
　なぜ、遊ぶ？
　おまえは、なんでそんなにワガママなんだ？
　自分さえよければいいのか？
　全部、他人のせいにするのか？
　全部、他人事にするのか？
　おまえは、すごく卑怯だよ。
　賢いわけでもないのに、卑怯すぎるよ。
　理不尽だとか不可抗力だとか言って全部苦しみのせいにする。
　自分がなにもしないのは、そんな精神状態ではないから、と。
　そんなの、逃げてるだけじゃないか。
　なんだよ、あんた。
　負けず嫌いのくせに、結局、負けっぱなしなんじゃん。
　戦おうとすらしてないじゃん。
　究極に逃げてるだけじゃん。
　ばっかみたい。
　最っ低！
　…………。
　こんだけ言われても、まだ立ち上がれないんだね。
　救いようがないよ、きみ。