暇人に見て欲しいBLOG

別称(蔑称)、「暇人地獄」。たぶん駄文。フリマ始めました。遊戯王投資額はフルタイム給料の4年分(苦笑)。

ダイアリー~マジ日記~ 3月18日

2005年03月19日 00時11分29秒 | 日記系
 いいことがあったので、本日より小生、マジ日記をはじめることにあいなった。
 マジ日記というのはつまり、嘘日記とは反対の性質を備えた日記である。言ってしまえば、普通の日記なのである。
 自称は区別のため、あちらは「筆者」、こちらは「小生」とする。
 自分のことを小生などと言うと、偉そうに思われるかも知れないが、小生はもとより偉そうな人間であるため、一向に問題無い。
 
 本日、小生はアルバイトをした。
 先月は店がヒマだということで厨房のアルバイトは休みだった。今月も風邪をひいていたのでアルバイトをしていなかった。よって小生、実に一ヶ月半ぶりの仕事であった。
 ただし今日の仕事は厨房ではなくビラ配りだった。ビラ配りは、数ヶ月ぶりだったため、相当に緊張した。
 突然、企業のアルバイト担当員に呼び出しをくらった小生は、昨日のうちに出社して今日の日程を聞かされていた。企業というのは、英会話のイーオンというところだった。そこの担当員の方が気さくな人で、滅多に仕事をしない小生をツチノコと同列視している。
 また、信じてもらえないかも知れないが、出社するたびに男性アイドルの「香取慎吾」に似ていると言われる。「やっぱり似ているなあ」と毎回言われる。そのことを周りの人間に話したこともあるが、皆一様に「うっそ~ん!」と全否定する。小生も香取くんに悪いとは思うのだが、事実なのでいたしかたない。昨日も偶然居合わせた名も知らぬ同僚に、小生を指差したその担当員はこう言った。
「なあ、このコ、香取慎吾に似てない?」
 すると、あろうことかその同僚はこう答えたのである。
「あ……言われてみれば……。
 顔の骨格が似てますよね」
 小生は正直、人間不信におちいりそうだった。小生のような醜悪な人間が正常な人間に似ているなんて、あってはならないことだった。
 小生が芸能人に似ているとすれば、寮の同室者に冗談で言われる、「上戸彩」くらいのものである。アヒルグチが似ているという話だった。そういえば昔、唇が香取くんに似ていると言われたことがある。ようするにタラコクチビルだと言いたいのであった。
 ともかくそんなバチ当たりなことがあってはならなかった。
「そんなことないですよ……」
 小生は動揺しながらも精一杯の否定を試みてみた。しかしそれが仇(あだ)となった。彼らには良心の苛癪(かしゃく)がないのか、香取くんへの誹謗中傷に等しい会話を展開し始めた。小生はその間、気が気でなかった。
「あ、なんか声も似てる……」
 小生、唖然となる。
「そうだろ? 声質が似てるんだ」 小生、「え~?」と嘆きの声。
「おいキミ、『おっはー!』って、やってみ」
 どういった作用が働いてそうなったのか、気がついたときには小生、『おっはー!』をしていた。
「やっぱ、似てる……」
「わぁ……」
 ふたりは小生を置き去りにして、「目の前に香取くんに似た人がいる」という妄想の世界へ旅立ったようだった。
 ともかくもう、そのような恥ずかしい出来事があって、昨日は妙な気分だった。明日朝6時からカゴインの仕事があるのになあ、と憂鬱になっていた。
 今日は朝早くから、そのカゴインというのをやった。英会話とカラオケの割引券がセットになったものを、駅周辺に駐輪してある自転車のカゴに入れるだけ、という簡単な仕事である。約三十分で七百枚配った。あとで計算してみると、一枚あたり約2.57秒であった。小生、わりかしビックリした。
 その後、7時半からビラ配りの仕事もやった。事前に「西校」と聞いていた小生、今朝の段階になって急遽、「土佐女子」に行ってくれと言われて、内心焦った。つまり、オタク的外見の小生に、女子校の正門前に立て、というのである。変質者に間違われるのは火を見るより明らかだった。しかし小生は雇われの身。断わるという言葉は辞書には無かった。
 結局のところ、小生は変人になり果てることとなった。「こんなオタク顔の小生にこんな仕事、務まるわけないアルよ」と胸中で嘆く小生。ここはひとつ、香取くんに似ていると思い込んで乗り切ろう、と決意した。そういう意味では、昨日の恥ずかしい思いも報われた気がする。
 それにしても、女子高生は予想以上にビラを受け取ってくれなかった。そこに至ってようやく、香取くんに似ているという甘い幻想は完全に霧散(むさん)した。
 また、滑舌(かつぜつ)の悪い小生、ビラを差し出す際の「よろしくお願いします」がうまく言えないときがたまにあった。「よろしこねがいします」となってしまうのである。めんどくさがりの小生、「略して『よろしこ』にしてやろうか」と本気で思い始めた。そこは理性を総動員して、邪(よこしま)なその考えを打ち消した。
 女子高生にも様々なタイプがいるらしく、破滅的な顔をした小生の差し出すビラを、戸惑いながらも受け取ってくれるこころ優しい可憐な少女も中には居た。コジキ同然の小生、まるで女神様にお会いした気分になった。ただし、お顔は平均以下が多かった。
 そんなこんなで、一時間も立ち尽くした小生、登校時間が終わってかなりほっとした。過酷な状況の中、ビラは四十枚もなくなっていた。世の中きどった少女ばかりでないことを身をもって知った。そして「いいこと」はこの直後に起こった。
 もう登校時間も終わったしそろそろ引き上げるか、と思い、黄色の蛍光色のジャンパーを脱いで帰る支度(したく)をした。脱いでいて思ったが、ビラを受け取ってくれない理由の数%は、このハデでダサいジャンパーにあるのではないか。いや、それでは責任転嫁である、と思い直した小生、悪いことをした自分を自分で叱咤(しった)した。
 もとの黒づくめな格好に戻った小生、なにかの予感がしてカバンからビラを一枚取り出した。そして直後に驚く。
 案の定、前方からひとりの女子高生が歩いて来ていた。
 堂々とした足取りのその少女は、赤く染めたさらさらの髪と短めのスカートを揺らしながら、こちらに気付いた様子もなく近付いてくる。有名人でいうと、後藤真希のような、他を圧倒する雰囲気の持ち主であった。いかにもギャルという印象だが、健康的な印象も同時にたたえていた。
 不思議なことに、気が付いたときには、小生はその少女に、親しげに話しかけていた。
「こんにちは! 英会話のイーオンです! よろしくお願いします!」
 そう言う最中、小生は内心、無視されるだろうなと思った。しかし──
「ありがと」
 少女は自然な感じでそう言った。表情まではよく見ていなかったが、おそらく笑顔だっただろう。
 小生は目と耳、それに脳味噌を疑った。そして一瞬の後(のち)、こころが晴れ渡るのを感じた。

 ヒトは見掛けによらぬもの──
 小生はその言葉の正しさを、身に染みる思いで理解した。

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