やっぱり

　やっぱり、乙一という人はすごいと思う。
　彼の嘘日記集を見て、いつも笑いころげてしまう。
　いまなんか「未来予報」という作品の何度目かの読書を終えて、涙している。
　本人は「ぼくは決して天才ではない。裏ではカッコわるい失敗だっていっぱいしているんだ」と言うけれど、それでも、こんなにも素直に感動させるのは、とてつもなくすごいことだと思うのだ。
　だから、ぼくなんかは尊敬、敬愛の念を込めて、神様のようだと思う。
　これは、もう運命的と言ってよい。
　乙一は、ぼくの運命の人なのだ。
　彼は自殺したくなったことがあるらしい。
　ぼくなんてしょっちゅうだ。
　それを、劣等感のように感じていた。
　違う。
　そんなことはないのだ。
　そんなきみでもきっと生きていけるよ。
　大丈夫だ。
　乙一作品は、そんなことを無言のうちに言っているような、そんな気がしてならない。
　そして、直接言葉にしないからこそ、しみてくる。
　乙一は、そうした効果的な演出が、実にうまい。
　とかなんとか。
　そんなこと言ったらなんかいやらしい計算が働いているだけで、小説の神秘性が嘘のように崩れるじゃないか！
　と。
　乙一先生に怒られてしまいそうなので、やっぱり聞かなかったことにしてください。