なぜ

　なぜぼくはわからないのだろうか。
　なぜきみの気持ちがわからないのだろうか。
　考えてはいるんだ。
　だけど、わからない。
　きみは、ぼくのことなど、もう慕ってはいないのだろうと、思う。
　見捨てられたかな。
　仕方ない。
　しかたないんだ。
　ぼくに人の気持ちがわかるはずない。
　自分のことしか考えていないのだから。
　他人のことを考えているつもりでも、結局は自分のことだけを考えてしまう。
　相手のためだとか勝手な言い訳を作り、自己を正当化することしか頭にない。
　なんでもなにも、その腐った思考回路が原因なのだ。
　早いとこ、直さなくては、また誰かを傷つけてしまうだろう。
　あぁ、なんて……。
　今もまたぼくは自分のことしか考えていないのだ。
　なんて卑劣で、劣悪なんだろう。
　こんなぼくに、幸せになる資格が、果たしてあるのだろうか。
　人を傷つけるだけのこのぼくに。
　きみと、ほんとに、やり直したかった。
　でもまだ、ぼくはきみに相応しくない、みたいだね。
　傷つけて、ごめんなさい。
　ぼくは、いったい、いつになったら、きみを悲しませないような人間に、なれるのだろうな……。
　きみのこと、ちゃんと考えてあげられなくて、ごめんなさい。
　言い訳ばっかりでごめんなさい。
　謝ることしかできなくてごめんなさい。
　好きになってごめんなさい。
　わかってあげられなくてごめんなさい。
　きみを傷つけて自分だけ幸せになろうとしてごめんなさい。
　ごめんなさい……。