旅日記「さらば長崎２」

　バスの運転席の後ろの後ろの座席(窓側)でふと前方に視線を移してみると、
「龍馬が愛した【珈琲】」
　という文字が目に見えた。
　幕末の珈琲を再現、などと謳っている広告である。
　それにしてもボクは「龍馬関係のなにか」に出くわすことが多い。
　初めて京都のまちを歩いたときも、いつの間にか「龍馬通り」なる道を歩いていて驚いた。
　龍馬と同じ土佐の生まれだからだろうか。
　生まれたときから龍馬龍馬と聞かされて育つ地元民のボクは、知らず知らず無意識のうちに龍馬を探しているのかもしれない。
　しかし、龍馬がどうだとか、地元にいる頃はこれといって考えたりはしなかったのだが……。
　やはり、離れてみるとまた見方が違ってくるものなのだろうか。
　振った恋人を別れたあとに愛してしまう心理のように。
　いやそんな経験ないですけどね。