月の海

月から地球を見て
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イン・ザ・ファインダー 11

2020年04月24日 03時49分34秒 | イン・ザ・ファインダー
 家に帰って食事をしていると、テレビのニュースで
子供が行方不明になっているというニュースが流れいた。
それを見て母が言った。
 「この近くよ。」
 「本当だ、住所からすると川の向こうだ。」
 「誘拐だったら怖いわねぇ。」
 「お母さんには孫がいないから心配ないね。」
 「それより一生、孫の顔がみれないかと心配してるのよ。」
 「・・・。」
 食事がが終わってから、このところ撮った写真を
少し選んでプリンターで印刷した。
ファインダーの中の今日香に教えられて撮った写真を
由紀ちゃんがどう思うのか見てもらいたかった。

 翌日の昼休みはどこへも行かず由紀ちゃんに写真を見てもらった。
最初に今日香の指示でシャッター速度を落として撮った
河原の木の写真を見て。
 「凄いじゃない明日香さん。低速シャッターで撮ったのね。
木が風に吹かれてる感じが強く出てて躍動的だわ。
とても素人とは思えない写真じゃない。」
 確かに元プロの今日香の指示で撮った写真なので
素人離れしているのは当然かもしれない。
 「それはある人に教えられて撮った写真なの。」
 まさか今日香に指示されて撮ったとは言えない。
 「その人きっとプロ級の写真家よ。」
 やっぱり今日香はカメラの中に入っていても腕は確かなのかも知れない。
そして次に由紀ちゃんが目にしたのは廃屋の写真だった。
 「それ昨日私が言った廃屋の写真。」
 由紀ちゃんはその写真を見て不思議な顔をしながら言った。
 「これ、子供を撮ったの。」
 「子供なんかいないよ。」
 「ほらぁ、ここにいるじゃない。」
 由紀ちゃんがそう言って写真を指でさした所には幼い男の子が写っていた。
私は背筋がぞっとした。街路樹の木漏れ日が工場内に敷いてある砂利に当たって
地面がアラベスク模様になっていた。
それで気付きにくいけど間違いなく木漏れ日を浴びた男の子がそこに写っていた。
 「うそっ、私が撮っている時には誰もいなかった。」
 「本当に。」
 「これって心霊写真じゃない。」
 私はそう言ったけど由紀ちゅんは。
 「それは分からない。」
 そう言って首を振った。そしてさらに続けて言った。
 「私が大学の講義で聴いた範囲では心霊写真は存在しないと教えられた。」
 「じゃあ、これは。」
 「分からないけど、ねぇ写真を撮ったのは川の近く。」
 「えぇ。」
 「もう一度そこへ行ってみない。」
 「えぇ、いいけど。・・・この子の顔どこかでみた事ある。」
 「えっ、そういえば、この子は昨日のニュースでやっていた
行方不明になった子に似ていない。」
 「そうだ着ている服もニュースで流れていた、
行方不明になった時の服装と似ている。」


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