インガソル村で馬車を見た日、ロンドン野郎は銀行への用たしの道を急いでいました。 RBCバンクのインガソル支店がロンドン野郎のメインバンクでした。
村のメインストリート。 クリスマス気分です。 人口1万1千人の村の繁華街は意外に賑わっています。 そして、どの町でも、メインストリートの中心の角には必ず銀行が店を構えています。 中には閉店してしまって、元銀行と思われる建物でサラ金を開業している例もあったりしますけど。
RBCはカナダでも有数の大銀行。 でも、この村の支店は人口と経済力の関係もあってか小じんまりです。 この銀行には駐在員の個人口座や、日本からの給与関係の口座が置かれていたため、多い時は年間数億の取引や残高がありました。 我々はかなり優良なお得意さんだったと思います。 なにしろ日本人は金払いが良いから焦げ付いたりしませんからね。
カナダで不思議だったのは、普通日本でよくあるような銀行振込が殆ど使われていなくて、例えば電気代や家賃なんかの支払いも小切手が主体だったんです。 企業からの取引先への支払いでさえ、紙の小切手が殆どで、時には何億円もの高額の小切手を郵送したりという日本人的には超危険なことをごく当たり前に行っていました。 ネットバンキングも駐在中にボチボチ普及しだしましたけど。
そんな小切手社会で盗難とか、紛失とか、詐欺みたいな事故が起きないかというと、実はちゃんと起こるんですね。 どこかで抜き取った小切手に偽のあて先を書き加え不法に現金化するコスイ手口から、一番驚いたのは、ロンドン野郎の駐在先の会社の特殊デザインの小切手を丸ごと偽造なんていうのもありました。
でも、何でそんな小切手を皆いつまでも使い続けているかというと、小切手の発行日から、相手先での実際の換金作業までに、多少のタイムラグがあるんですね。 これが結構企業の資金繰りのバッファになっていたりして、急に銀行送金に変えるに変えられない裏事情があることに気が付きました。
それにもう一つ重要なのが、日本人的には信じられませんが、カナダの銀行の窓口の作業って結構いい加減で、かなりの頻度で計算間違いとか、手続きの間違いとかあります(ロンドン野郎も含めて経験した人も多い筈)。 そんな銀行に送金を任せるには今一つ信用が足りないんですね。
と言いながらも、もう小切手の書き方も半分忘れつつあります。