ちょっと我がYB125SP純正のミクニBS25型キャブレターを開
けてみたよ。
これは2011年式YBRから採用された型だけど、どうやら中国ヤマ
ハ専用の設計みたい。
以前から社外マフラーやボアアップ時に、このキャブレターのパイ
ロットジェットのオーバーサイズジェットが見つからなくてとん挫
している記事をよく見かけたので、ちょっと調べてみた。
ついでに色々なところを確認してみたよ。
メインスタンドで車体を立てて、燃料コックをOFF。
用意した30㎝長で内径4mmの透明チューブをドレンホースと繋
ぎ変えてU字に固定。
トレンボルトを緩めるとフロート室内の燃料が流れ出す。
油面距離を測定。
本体とフロート室の合わせ目から約6mmの位置が、内部の油面
になっていた。
絶好調な状態のキャブなので、不調になったりオーバーフローを
起こした時に外から判断する基準として、この距離をメモして
おきたかったのだ。
そのままチューブをメスシリンダーへ。
これでフロート室内の燃料量を測れるのだ。
出し切ったらドレンボルトを締める事。
約35cc。
これを知っておくと、キャブ不具合時の参考になるのだ。
確認したから燃料タンク内に戻した。
さて、本題のパイロットジェットを見るためにキャブを開けな
ければならない。
色々な接続品を外す。
スロットルケーブルを外す。
固定ナットを目一杯上に回してから抜けば良い。
ワイヤープーリーを回す。
これでワイヤーに余裕が生まれるから、タイコを抜けばOK。
タンク内燃料蒸気還元用ホースを抜く。
狭い場所だからやりにくい。
リモートチョークワイヤーを外す。
12mmのスパナで回すけれど、ここは樹脂製だしOリングもあ
るので、締める時は手回し+ほんの少しで十分。
分解・組み立て時に破損させるとちょっと厄介な場所。
現時点で修理用部品の入手が可能か否かは分からないのだ。
キャブヒーターの配線だけを外す。
後付け品なので、ここが無い車体もあるだろう。
フロート室内の気圧を外気圧と同じにする大気開放ホースを
外す。
このホースの意味を知らない人が結構多いらしい。
大気開放ホースはこんな感じに配管されている。
走行中に飛来するホコリや雨水が乱気流でキャブレター
内に侵入しないように、屋根代わりの燃料タンク下部へ
ホースを導いてフロート室内と外気の気圧を同じにする
理屈だよ。
インテーク固定バンドを緩める。
2番+ドライバーが適合。
コネクティングチューブバンドを緩める。
3mmのヘキサレンチが適合する。
これで準備は完了。
キャブレターを横倒しにする。
真横までしなくても構わないから、底にあるフロート室固定ボルト
を外す。先端精度が高い2番+ドライバーで行わないとナメやすい。
メインジェットを確認してみたくなった。
ここのマイナス溝はなかなか合うドライバーが見つからず、
ビット交換式ドライバー用がピッタリだった。
メインジェット。
これはミクニ丸小型なので、社外品でも多くのサイズを見つ
ける事ができる。
このキャブレター付属のサイズは110番。
さて、問題のパイロットジェットの
取り外し写真は無い!
撮り忘れたので、各自観察して場所を
見つけてください。w
パイロットジェット。
サイズは17.5番が付いていた。
この形と大きさに合うミクニのパイロットジェットが日本国内に
存在しないらしい。
でも見た事があるんだよな~。
ケーヒンのキャブレターのスロージェットが似ている。
でも手持ちの物と比較してみたところ、太さが違う。
とりあえず採寸してみた。
嘆いていた人たちは、なぜか採寸していない。
ちょっとの手間でヒントを得られるから、部品の採寸は重要だと
思うよ。
結果はこんな寸法だった。
ネジ径が5mmってのが重要。
で、見つけてしまったのだ。
ケーヒン(ケイヒン)のPB16、PB18用のスロージェ
ットが近い形状・寸法でネジ径は同じ。先端形状も同じ
なので、機能的に問題ない。
ただし今回採寸した時にうっかりネジのピッチを測らなかった
ので確証は持てないけれど、オーバーサイズの代替品として
使えれば、アクセル低開度域の燃調ができるようになるね。
問題はミクニとケーヒンは表示番数が同じじゃなくて、
同じ穴径でも数字が異なる事。
ミクニは流量(面積)、ケーヒンは穴径で表記しているって
情報を掴んだ。
そしてこのBS25のミクニ17.5番は
ケーヒン33番に相当するらしいが、
実際にこの目で見たり測定していない
のであしからず。
ジェットクリーニング針などで見当を
付けてから純正互換と思われる番数を
基準に、あれこれ探すと良いと思う。
って事は、ケーヒンのPB16/18用スロージェットをオーバーサ
イズとして流用できそうなのは、社外品の35番~数種類ってかな?
「PB16 PB18 スロージェット」で検索すればオーバーサイズ
セットが何社も見つかるし、ケーヒンを採用しているミニバイク
では
APE50 純正パイロットジェット番数 #35
XR50モタード 純正パイロットジェット番数 #35
APE100-09 純正パイロットジェット番数 #38
JAZZ 純正パイロットジェット番数 #38
MAGNA50 純正パイロットジェット番数 #38
XR100モタード 純正パイロットジェット番数 #38
と言うホンダ純正部品流用もできるだろう。
KSR110も純正#38が同一形状だと社外品ジェットセットの
説明や写真で分かった。「カワサキもか・・・」
後日ネジピッチの互換性は読者様の一報にて流用可
能なのが判明しました!
「例のスロージェットですが無事に取り付けできま
した!」 情報公開に多謝!
左が純正、右がポッシュのPB16/18用セット#38#40#42。
ただし写真のようにエアーブリード穴の大きさに違いがある。
これが影響しているらしくて#38に換装してもパイロットスク
リューを大きく開けないと燃調がとれないとの事なので、この
エアーブリード穴の仕様の社外品では番数を大きく読み替える
か、あるいは細いドリルとピンバイスで穴を純正同等に広げる工夫
は必要だ。
後日、BS25付属のパイロットジェットのエアブリード穴径を
ギターの弦で簡易測定した結果、0.8mmだと判明したよ。
よってPB16/18のスロージェットを流用する時には、ブリード
穴を0.8mmに広げれば良い。
細いドリル歯は扱いにくいけれど、こんな物が売られている。
100円ショップのダイソーがピンバイス型のキリを扱ってるので、
見かけたら買い置きしておけば役立つだろう。
なんにしても今まで何年もパイロットジェットの代替品が見つから
ずに手も足も出なかったBS25キャブレターユーザーには、大きな
前進と言えよう。
抜けの良い社外マフラーやボアアップ時にきっと役立つでしょう。
余談だけど中国スズキGN125-2FのキャブレターはBS26型らしいが、
なぜかパイロットジェットの形が中国ヤマハとまったく違うんだよ。
中身や構造も違っていたし吸気口径も違う。
同じミクニで名前が似ていても別物って感じだから、各社の仕様に
合わせて中国ミクニが供給しているんだと思うよ。
長期間の放置の結果、キャブ内がデロデロな汚れ方になってた場合
は「純正キャブレターBS25メンテナンス」(リンク)を見て、徹底
清掃をする事をお勧めします。
以上、YB125SP、YBR125系、YX125などの純正キャブレター
BS25型のお話でした。