YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

ステムベアリングを整備してみた

2014年05月24日 | YBR125整備

納車からかれこれ約4年半、一度もメンテナンスをしていないステアリング関係。
重い腰を上げて、やっとステムベアリングの整備をしたよ。

毎度おなじみ、細かい分解組み立て工程は割愛します。

まず、邪魔な前回りを分解。

本当は配線関係やケーブル類もいったん分離したほうがいいんだけど、面倒だからキャンプ用折りたた
み椅子の上に乗せてみた。
メインキースイッチの配線コネクタはライトけケース内から分離しておく。

ステムの上下ブラケット以外はスッキリ外して、ステム単体で動きをチェックしてみると…

指先の感覚で細かい動きを感じ取るように…なんて繊細な手つきをしなくても現状が分かった。

なにこれ?動きが硬くてゴリゴリしてるw

あきらかに締め過ぎかベアリングレースが逝ってる感じ。orz

タイヤ、フォークの重量や慣性の影響で感じ取る事ができない細かい動きがステム単体になるとすごく
分かりやすい。
手間をかけて分解してから確認して正解だったよ。

工具や部品の衝突によるキズを防止するため、タンクを養生しつつ27mmソケットとロングスピナー
ハンドルでステムナットを緩める。

これが意外と固かった。
セールで買ったロングスピナーハンドルの出番があってよかった~。
数年に一度くらいしか使わないであろう27mmソケットも輸入工具屋の安価品

ステムナットと平ワッシャを外し、アッパーブラケットを抜くとアジャスターナットの全貌が見えた。

上からロックワッシャー、ロックナット、ラバーワッシャー、アジャスターナットの組み合わせ。
なお、ロックナットとアジャスターナットは同一部品で裏表の指定は無い。

ロックワッシャーを抜いてロックナットを指で回してみたら簡単に外れた。

ラバーワッシャーの反発力で押さえてる程度のトルクで十分らしいし、サービスマニュアルでも手締めを
指定している。

アジャスターナットはフックレンチを使う必要があるくらいにトルクがかかっていた。

使ったのはキタコ ピンスパナ 150mm  674-0500801 。
なんと3/4回転も緩めてよいやく動きが滑らかになってゴリゴリ感が無くなった。

このまま戻そうか?w

せっかくなのでさらに分解。
ボールレースカバーを抜くとベアリングアッシーが登場。


上部ボールレースを抜くとボールアッシーがやっと見えた。

リテーナー付きでバラバラにならないのがイイ!
ボールにはサビは無く、きれいな物だ。

下側のボールレースを見るとサビたように見えるが、この色は劣化したリチュームグリスの色。

ちょっとボールの圧痕が見えるけど今回は気にしない。w

ロアーブラケットを抜き、下からべアリングレースを覗きこむと予想外にきれいだった。

分解したステムの部品構成。

順番や上下方向をメモするか写真を撮っておくといいだろう。

古グリスはウエスで拭いただけできれいになった。

結局サビは見つからなかったので、ボールレースカバーの存在は極めて有効だと思う。

ロアーブラケットのボールレースやボールに新しいリチュームグリスを塗りこむ。

すり鉢状のボールリテーナーには上下方向があるので間違えないように。

アッパー側のボールも同じようにグリスアップ。

指定グリスはリチューム石鹸系グリスで特に高価なものは必要としない。
AZの小型蛇腹グリスでまったく問題ない。(俺は奮発して極圧用を使ったけれど、これでも300円台だから
安いもんだ)
特にウレアグリスにグレードアップする必要は無いし、玉軸受けにモリブデン系は適さないので、
素直にサービスマニュアルに従うのがいいと思うよ。

グリスアップが完了したので逆順でどんどん組んでゆく。

俺の場合アジャスターナットは最初、指で力いっぱい締め込む程度のトルクで十分だと思ってる。
フックレンチをかけると微妙な締め具合が感じにくく、締め込みすぎになってボールが必要以上に圧迫
されて渋くなる傾向があったからだ。

マニュアル指定ではアジャスターナットを33Nmで締めてから1/4回転ゆるめてステムを左右に何回か
回してなじませた後、22Nmで締め込む調整方法となっている。
だが、個人でフック式トルクレンチを持って人はほとんど居ないだろうから、手締め方法が分かりやすい。

もちろん普通のフックレンチでステムの動きが固くなる絶妙な具合に締め込んだ後、、少しずつ緩めて
動きを確認しつつ、滑らかでガタが無い締め具合で決定する方法もある。
人それぞれの技能レベルや経験で行ってOK。

締め込みトルクが決定したらラバーワッシャーを入れ、ロックナットを手締めで回し、固くなりつつ凹みが
一致する箇所でロックワッシャーを固定する。


アッパーブラケットやステムワッシャー、ステムナット、フォークを仮組みする。
ここでフォークを仮組みする理由は、ロアーブラケットとアッパーブラケットの穴位置関係を一直線状に
位置決めするためだ

締め込みでブラケット位置が微妙に沈む構造なので、アッパー側のフォーク固定ボルトを緩めたまま
ステムナットを締め込む。

ステムブラケット組み込み後、フォークの突き出しを面位置に合わせ、各所固定ボルトを増し締めする。
他の部品もどんどん元に戻す。

ボルトが余ったり、長さや頭の種類が違う物で組まないようにね。w

さて、ハンドルクランプに前後方向があるのに気づいた人は少ないだろう。

前側に小さな凹み印があるんだな。

またハンドルクランプ固定ボルトも前側が短く、後ろ側は長いので気をつけよう。

自分でフォークオイルを交換した経験がある人なら、フォークオイル交換ついでに1時間くらい手間をかけ
ればステムベアリングの整備まで一緒の行える内容だよ。

今回はグリスアップまで行ったけれど、特に古い車体でもなくて確認と調整だけ行いたいのなら、以下の
方法でもいいと思う。

まず、アッパー側のフォーク固定ボルトを緩める。
ハンドルをいったん外してよけておく。

ステムナットを緩めてから、いきなりアジャスターナットをフックレンチで少しずつ緩める。

上から押さえてたアッパーブラケットが自由になると、アジャスターアッシーが供回りして回せる構造を
利用した裏ワザ。
ラバーワッシャーの役目はナットとステムのねじ山のガタを吸収する役目らしい。

硬さが無くなったら今度は締め込み、硬く感じ出した時点で止めてみると元の位置より少し緩めになった
はず。
動きとガタの有無を確認後、ステムナットを本締めしたらアッパー側のフォーク固定ボルトを本締めする。
フォーク固定ボルトが本締めしていない状態でステムナットを締め込むと、アッパーブラケットが沈む理屈
で分かるだろう。
この方法ならライト周辺の部品を外さないので短時間で行えるため、再度締め込み具合を調整する時にも
便利な技だ。

その辺を試走したら、まるで車体が軽くなった錯覚を覚えたくらいヒラヒラと曲がれるようになった。
だけど停止ブレーキングで小さくコツンとした衝撃がハンドルに伝わった。
何回か車体を前後に揺すってみると再現するので、戻って締め込みの再調整をした。
角度にして10度くらい増し締めしてまた試走…若干は衝撃が少なくなったけれどまだ感じられる。
さらに10度くらい増し締めしたらやっとコツンとした衝撃が収まった。

ステムが渋くなる手前のスイートスポットに合わせるのは本当に面倒だw
何台も調整して経験を積んでても毎回ステム調整は繊細で再調整も有ったから、いつもの事だと納得した。
むしろ1発で決まった方が「本当にこれでいいのか?」って不安になるよw

メンテ後の感触は極めて良くて、住宅街の裏道の細かい右左折がやりやくなった。
小さな8の字を描くと切り返しが円滑になり、倒しこみ直後の切れ込みが早くなったぞ。

今までちょっと倒しこみに遅れがあったのはタイヤ径18インチのせいだと思い込んでたので、この変化は
嬉しい。

狭い道でのUターンなんか楽々クルリと回れるw

ジムカーナや二輪車安全運転競技の大会をめざして日々鍛錬してるYBR乗りは少ないだろうけれど、切り
返しで伸び悩んでたり、どうも小道路転回や定常円旋回、オフセットスラロームがなかなか上達しない時に、
一度ステアリングのチェックをするといいかも?

俺が知る限り、YBR125でステムを再調整したら体感できるほど動きが良くなったと話してた人が2名居た
ので、製造時の設定は長年乗り続けてもガタが起きにくいように、わざと硬めにしてるのかもね?

これで昨年から行っていた大きなメンテナンス作業は終了し、後は消耗品などの通常メンテしか残っていない。
素人個人の青空整備じゃ分割して行わないと時間が足りないよ。
旧車の整備を天候や時間に左右されずに自宅ガレージで行ってる人を見てると、この手のメンテ期間は作業
場所で左右されると感じてる。

フォークオイルシール交換と同様、頻繁に行いたくない面倒な作業なので次回はいつになることやら?