2023年度、7月15日開催
第1回定期研修会終了しました😊
新型コロナ感染が再び拡大し、第9波が懸念される中、今回もオンラインでの研修となりました。
今回のテーマは「専門家に聞く!周産期の睡眠ケア最前線」と題しまして、筑波大学国際統合睡眠科学研究機構 准教授 中島俊先生と、聖路加国際大学大学院看護学研究科助産学 博士後期課程在籍の大塚公美子先生をお招きしてご講演いただきました。
『睡眠』これは、周産期における母子において大変重要なものであり、母子ケアに携わる私達助産師も興味深い内容である事から、京都のみならず長野県など他府県からも多くの参加をいただきました。約200名の申込みがあり、当日も約80名がご参加いただきました。
講演はまず、中島先生より、子供の睡眠と、養育者の関わりがメンタルヘルスに大きく大きく影響することを講義くださいました。乳幼児の夜間覚醒は母親の睡眠の質を低下させます。特に日本では乳幼児とのベッドシェア率が高く、添い寝の文化も残っていますが、これにより母親は睡眠が細切れになり睡眠の質の低下から、抑うつ傾向→感情コントロール不良→日中の子供との関わりが希薄→子供の情緒に悪影響という研究がでているとの事。母親の睡眠が子供の成長発達に関してもとても重要であり、医療者は子供の月齢毎の睡眠の特徴を理解し、養育者の悩みや価値観を踏まえ、その時の状況に合わせた関わりが必要と学びました。
次に、大塚先生は「周産期の睡眠ケア」と題して、妊娠中、産後のホルモンの変化が与える、母親の睡眠パターンについてご講義いただきました。妊婦の2割が、様々な睡眠に問題を抱えているとの調査結果がでており、妊婦の睡眠障害が妊娠高血圧や、妊娠糖尿病のリスクを上げ、睡眠時無呼吸症候群は早産や低出生体重児のリスクファクターになるとの事でした。大塚先生のご講義で印象深いのは『寝かしつけのコツ』です。理化学研究所が発表しているもので、多くの母親が体験している赤ちゃんの"背中スイッチ・背中センサー"。泣いている赤ちゃんを抱っこし、歩くと泣き止む…これは野生動物の輸送反応の名残りで、危険を感じた親が、我が子を口に咥えて移動すると、子どもは鳴かずにジッとしている反応との事。また、深睡眠に入るには眠り始めから5〜8分かかるたため、歩き抱っこで寝かしつけ、すぐにベッドに寝かせるのではなく、5〜8分間座って待つ、それからベッドに寝かせる事で背中スイッチが発動しないと教えていただき、夜泣きに悩む療育者に具体的なアドバイスできると考えました。
参加者の方々からも、「今まで感覚的にやっていた母子への睡眠に関するケアも、理論を知った事で、医学的な情報も踏まえた指導やケアができそう」との感想が多く聞かれました。
今回の講義より、改めて母子双方の睡眠の重要性を理解し、子どもの心身の健康の向上や、望ましい生活リズムの確立のため、母親が求める情報を明らかにし、保健活動の一環として必要な知識を提供していくことが重要であり、今後のケアに繋げていきたいと考えることができました。
(文責 南支部教育委員道家)