京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

スクランブル-宗教

2019年12月14日 | 日々の暮らしの中で

車の行き交う道路の狭い歩道スペースに、明らかに年上の先輩僧と小僧さん3人が立ちどまっていた。
白衣に墨染の衣をまとう先輩僧とは異なり3人は、そら色の作務衣?だけをまとう格好で あれって木綿? 足は素足に草鞋がけ。この季節にずいぶんと薄着ではないか。何よりも、すれ違いざまに見かけた彼らが中学生くらいの顔立ちだったことに、何やらハッとする自分がいた…。

ふと托鉢のことを思い出し、10月に購入した『雲水日記』のページを繰った。この本は病を得て47歳でこの世を去った著者が病床にある間に、東福寺での修行体験をもとに書き上げたもので、絵日記風の画文のかたちをとっている。1、6、3、8は托鉢の日だそうだが、この日は1でも6でも3でも8でもないし托鉢の格好でもなかった。
【貧乏してもコジキにはなりたくないという子供のころの夢とは裏腹に、初めて「東福寺僧」と染め抜いた看板袋をかけさせられ、雨雪を問わず素足に草鞋がけ、「ホォー」「ホォー」と連呼しつつ、路地から路地を引き回されて喜捨を求めて歩くことは、まだ生意気盛りの娑婆っ気が抵抗し、はずかしさいっぱいで満足な声は出ぬ。引手に叱られては吼えたてるが、彼らの流暢な追分調とはなんとほど遠い奇声であろう】

         そうなんね…と読み進むと、古参新米の区別なく喜捨を受けていると有り難いもので、【いつかは心は大気のようにさわやかになり、卑下の心も増上慢も地に捨てて托鉢専一となる。・・・ただ合掌。なんのこだわりもなくやがて水の流れる心境になってゆく】と結ばれてあった。そうなんやー。この3人も、いずれそんな体験を重ねていくのかしら。家にいながら「おーっ」「おーっ」って聞こえてくる日がある。

「日天掃除(にってんそうじ)」と呼ぶ屋外の掃除は、雨降りでもない限り絶対欠かさない。世間の単なる労働ではなく、作務を通して「自己心内の無明煩悩の掃除をせよと戒める」「一日作さざれば一日食らわず」、か。それほどの根性を持ち得てない私は、ぼちぼち動かせてもらって正月支度が頭の片隅に…。

娘家族と行うクリスマスのプレゼント交換での品を用意した。どういうわけか、引いた名は2年続きでJessieだった。カーラジオからはクリスマスソングが流れる。孫のTylerは今日、教会のクリスマス会に参加するんだって。

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (soratomina)
2019-12-14 10:17:21
ごめんなさい 読めない字を教えてください 喜び捨てると書いてなんと読むのでしょうか
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「きしゃ」です、そらさん (kei )
2019-12-14 10:38:29
そらさん、遅くなってごめんなさい。
「喜捨」は「きしゃ」と読みます。
この本には用語解説がついてますので、そこから引用してみますね。

「施すこと。浄財を喜んで施すこと。捨には報いを求めないという意がこめられている」
とあります。

「施すも無心、受くるも無心、施物(せもつ)もまた無心である。自我欲望の垣も捨てきる布施行である」

自分の日常に実践する難しさを感じます。
そらさん、ありがとうございます。少しでも言葉を交わす、私にはそれが嬉しいことです。
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Unknown (soratomina)
2019-12-14 13:28:56
とても素敵な意味があるんですね 良かった教えてくれてありがとうございます とても為になりました
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可愛いお小僧さん (Rei)
2019-12-14 15:33:58
「こつじき」は托鉢のことなのですね。
京都の冬は底冷えしますから
薄着では可哀そう、でもこれも修行なのでしょうね?
引用されています雑巾がけのお小僧さんの絵は
「雲水日記」からですか?
アマゾンにあるらしいので読んでみたいと思います。
若く亡くなられたと聞きなおのこと読みたくなりました。
↓数字アレルギーの私です。Keiさんの頭は鋭いです。
夫がいました頃はクリスマス礼拝に毎年行きましたが
一人になって行かなくなり20年が経ちました。
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托鉢 (ryo)
2019-12-14 15:46:59
こんにちは!
このシーズンは托鉢のお坊さまがよく駅
に立たれますが、今年はまだお会い
していません。
冬、そして夏の酷暑にも立たれて
います。必ず、喜捨させていただきますね。足を折りおじぎされるのに
私も頭を垂れて、なんにも言うわけでも
ないのに、思わず目頭が熱くなるのは
なぜでしょうか..。
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「雲水日記」、Reiさん (kei )
2019-12-15 10:21:04
一生懸命に拭き掃除は、禅寺の掲示板にありました。
「雲水日記」は禅画展を見に行った時に買ったものですが、
知らない世界をのぞかせていただき教えられます。
めったやたらに足したり引いたり…、10になるものですね。
おもしろいですよ~。
私は教会にご縁がなく、Tylerの話を楽しく聞いております。
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目頭が熱く…、ryoさん (kei )
2019-12-15 10:39:11
こんにちは。
托鉢の修行間もない頃は「はずかしさいっぱい」と。
最初はそうしたもので揺れるのですね。
酷暑でも寒空の下でも立たれていますね。
思わず目頭が熱くなる…、わかりますね…。
「ただ合掌」「無心」でいられることが年に何度あるかと思います。
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今宵また・・・ (yo-サン)
2019-12-15 22:53:22
オリエンタルカレー♪ではありませぬが、(古いとお笑いを)
いいですねぇー。文は勿論のこと、画像も。
しかしながら、keiさま。よくご本をお読みになられますね。感じ入ります。
当地でも寒入りしますと、永平寺の雲水さんたちが、寒修行の托鉢にお見えです。

昨日は亡き母の1周忌を恙なく勤めることが出来ました。今日は少しお疲れモードかしら。
ほな、おほきに。おやすみやす。
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ご仏縁あらたに、yo-サンさん (kei )
2019-12-16 15:59:48
命は自分だけのものではないとよく聞かされますが、お母様を偲ばれるひと時に、
ご縁の広さ深さ、有難さなど改めて思う時ですね。
お寂しいことが…、と思いました日を覚えております。
月日の経つのは本当に早いものです。
一周忌法要のおつとめ、ご苦労様でございました。
ご準備、お心配り等、お疲れもうなづけます。どうぞお身体をおいといください。

ポスターですが、「一事に専念する」という言葉とともにありました。
じっと見ていますと心にジーンとくるものを感じます(笑)
雲水さんたちはどのような日常を?と、のぞき見趣味と言ってはちょっと…ですが、
こんな好奇心でも読書につながります。
内容は言葉の理解に始まり、すんなり理解できるものではありませんので繰り返しぼちぼちとです。

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