京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

繊細な心と情熱があれば

2024年08月24日 | こんな本も読んでみた

紅蜀葵咲く地の影に暑を残し   石原八束

赤い花でも涼しさを感じさせるモミジアオイ。この猛暑日はいつまで続くのだろうか。
台風への備えも気にかかりだした。

幕末の世(政)情の変化激しい時代に、
十代で南画に出会い、世間という拒み切れない魔物に振り回され回り道をしたが、煩わしい日常と馴れ合わずにきた女の強情。
「強情と強靭な精神は紙一重」としながら、画家になりたいという夢を枯らさない、己を貫く強さを持った一人の女性を描いてみせてくれた。
人はさまざまに心に不自由を抱えているものだが、「繊細な心と情熱があれば、人は丁寧に生きてゆくはずである」。タイトル『冬の標(しるべ)』には、そんな思いを読んだ。

一人の女性の情熱と心の揺れを通して、生きる意味を読んだ。さまざまな両極端を身にからみつかせつつも生きる、人の自由さ。これも文学かな。
派手さはないがじっくりと読ませてくれた。

 

書店で『序の舞』が平積みされたのを目にし、どなたかのブログでキレンゲショウマを見たことが偶然重なったことで、2022年1月に買い求めたままになっていた宮尾登美子さんの『天涯の花』のページを開くきっかけができました。

コメント (2)
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