「内裏 いづれの御時にか…」
京都御所、秋の一般公開の企画テーマ。秋晴れに恵まれて足を運んだ。
普段は閉ざされているだけに異空間のような気がする。
朱の鮮やかな柱と牛車の配置に少しづついにしえの宮中文化へと心がいざなわれる。
建礼門を背に、承明門の向こうに紫宸殿を見る。即位礼などが行われる。右近の橘・左近の桜が。そして、清涼殿へ。
「神無月の十日あまり」、齢五十を迎える朱雀院の誕生日の式典に先立って、桐壷帝は藤壺のために試楽(リハーサル)を清涼殿の前庭で催した。藤壺は源氏との密通で懐妊しているのだ。
源氏は頭中将とともに思いを寄せる藤壺の前で「青海波」を舞う。
頭中将も人並み以上、だが源氏と並べば「花のかたはらの深山木なり」。
見事な美しい舞に、帝(父)は「涙をぬぐいたまひ」、「みな泣きたまひぬ」とある。
源氏は藤壺に和歌を贈る。
ものおもふに立ち舞うべくもあらぬ身の 袖うち振りし心知りきや
あなたのことを思って舞うこともできないほどなのに
あなたはわたしのこうした心がおわかりでしたか
から人の袖振ることは遠けれど 立ち居につけてあはれとは見き
……素晴らしかったです
夫、桐壷帝に気づかれては大変!
源氏物語第七帖「紅葉賀」、清涼殿前庭が舞台となっている。
しかしなんという人間模様か。
イロハモミジの色づきはもう少し先だ。真っ赤に色づく。七つに裂けた小さな愛くるしい葉だ。