ウツウツ記

毎日の生活で感じたことを書いています。

ヒトラー  最後の12日間。

2008-01-25 17:35:53 | 映画
録画していたDVDで「ヒトラー 最後の12日間」を見た。
ヒトラーの秘書をしていた女性の目を通して
帝国最後の狂気が描かれている。
ずっと見たいと思っていた。

この作品を見て感じたのはこんなことだ。
きっとヒトラー自身も側近達も、そして多くのドイツ人も
素朴で善良で真面目だったのだと思う。
真面目に戦争の傷から立ち上がろうとし
規範を自らに課し努力してきたのだろう。
人種も時空が違っても、多くの人間が今でもそうだと思う。
それなのに、こういう結末を迎えてしまう。
それは、崇高な理想も他者と共存するという寛容さがなければ
無意味だということに他ならないのではないか。
自分だけが頑張って努力しても理想は描けないということだと思う。
ただの独りよがりにすぎない。
独りよがりの努力は、ある時は実を結ぶのだろうが
長続きはしない。
ヒトラーは歴史に残る大虐殺を行った。
凡人の私が目にするような範囲では
被害者側からのメッセージが多く伝わってくるけれど
きっと、反対側の言い分というのもあるのだと思う。
あって当然。
長い歴史の中なのだから。
それをヒトラーは、非常にわかりやすく解決したかったのだろう。
無くなってしまえばいい、と。
勿論、そこに至るまでの彼の思考にはいろんな説がある。
彼の成育歴を書いた本を読んだ事があるけれど(魂の殺人)
彼の勝者だけが生き残るという絶対的な思想は
その育てられ方によるのではないか、と私は思っている。
他者との共存。
なんとも許しがたい他者であっても、存在の否定はできないのである。
誰であっても。当然だけれど。
では共存を模索しようとする寛容さは
一体どうやったら得られるのか。
一つには、許し許されるという絶対的な経験でしか
それを得ることはできないのではないだろうか。
相容れない他者との共存。
地球が広かった時代には、見なかったことにしようと思えば
その存在を消し去ることは可能だったんだと思う。
でも、もう今は無理だ。
こんなにも地球は狭くなってしまった。
見なかったことで済ますなんて芸当はできない。
どうにかして、背景の異なる他者と共存していかなければ
自分が存在できないのだ。
なんだか、紛争だらけの21世紀と全然変わらない。

忘れてはならない事がある。
それは、ヒトラーというモンスターを育てたのは
国民だということだ。
彼は合法的にその地位を得て怪物に成長したのだ。
餌をやり、横暴さを許してきたのは国民なのだ。
そうして、そんなかつての国民を非難できる権利なんて
誰にもない、と言うことだ。
誰だってモンスターになる可能性があるし
モンスターを育ててしまうかもしれないのだ。
だから過去を学ばなければならないし、考えなければならないのだ。

ヒトラーを演じた俳優をはじめ、
多くの俳優が自分の信条とは異なるキャラクターを演じる事は
とても苦しかったそうだ。
それほど、丹念に狂気が描かれている。
見てよかったと思う。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
DVD (夏子)
2008-01-26 17:08:13
人間はある一線を越えると、狂気に走ることがあることをヒトラーは教えていますね。日本でも戦時下ではそれに近い行為がありました。一人一人がしっかり過去の過ちから学び、愚行を繰り返さないようにしなくてはいけませんね。

暮れには「ア・ラ・カルト」を堪能しました。
昨日、予約していた「Breath Less」のDVDが届きました。筒井君はおしゃべりでちょっとエッチな刑事役です。ブルースハーブにも挑戦しています。くんくんさんは映画はご覧になっていないとかきっと楽しめますよ。また、2月2日には映画「歓喜の歌」が公開されるとか。出番はかなり少ないようですが、印象に残るやくのようです。また、映画の評判もいいので楽しめると思います。全国公開なので東京でなくても観られます。
返信する
楽しみです。 (くんくん。)
2008-01-28 17:03:46
ありがとうございます。
筒井くんのDVD、是非見なければ!お喋りでエッチ!
想像できないかも~
「歓喜の歌」も印象に残る役なんですね。楽しみです。う~んどんな役なんでしょう!!
返信する
Unknown (夏子)
2008-01-28 21:20:03
筒井君を堪能するならやはり「Breath Less」のDVDですね。特典映像もついています。主演なので映っている時間が長い。観たら感想を書いてくださいね。

「歓喜の歌」は堪能するほどの時間は出ていないと思います。5分ぐらいとか。でも観に行きます。
返信する
ありがとうございます! (くんくん。)
2008-01-29 17:30:44
ありがとうございます。
特典映像ですか~ニヤニヤ。。
「歓喜の歌」のCMも流れてますね。
なんかヒットしそうな予感もあります。
返信する

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