ウツウツ記

毎日の生活で感じたことを書いています。

「由宇子の天秤」

2021-11-16 12:16:54 | 映画
映画「由宇子の天秤」を観ました。

ある女子高生のいじめ自殺事件を追う
ドキュメンタリーディレクターの由宇子。
テレビ局の方針と対立をしながらも
真実に迫りつつあります。
そんな時、学習塾を経営する父親から
思いもよらない衝撃の事実を聞かされます。
それまでは、正義を貫こうとしていた由宇子ですが
大切なものを守るために、その正義が揺らいでいく話です。

(ネタバレあります)

女子高生の自殺には、教師との交際が噂となった背景があります。
女子高生の親の悲しみは勿論
若い教師の親や兄弟もまた、その噂で人生を翻弄されます。
それらをさらけ出して、学校側の対応の不味さを明るみに出そうとする由宇子。
テレビ局と何度対立しても、自分の正義は貫こうとします。
さて、父親が告白した衝撃の事実はというと。
中学生の塾の生徒と関係を持ち、その女生徒が妊娠をしてしまう。
父親は女生徒とその父親(父子家庭です)に謝罪すると言うのですが
由宇子は、それによって失われるであろう
今回のドキュメンタリー番組、自分の仕事、自分の生活、女生徒の生活、
父親の仕事・・・を考え
それらを守るために、父親には一切謝罪しないように言います。
一方で、女生徒には闇で堕胎する手はずを整え
上手くいくように思うのですが・・・
自分が守りたいものと、自分が思う正義の間で当然揺れ動きます。
幾つかのどんでん返しがありまして
最後に由宇子がとった行動は・・・

感想としては。
あまり新しくない題材なのかしらん、と感じました。
どこかで見たことがあるような感じ。。。
ドキュメンタリー風に撮られているので
バックに音楽もなく、セリフもぼそぼそと聞こえにくい。
ま、普段、人はそんなに滑舌よく喋りませんけどね。
全体に暗い映画です。

暗い映画は、本来好きなのですが
これは・・・
由宇子さんがね、好きになれなかった。
なんというのでしょうね。
正義感というか、芯の強い女性として描かれていますが
その日常の態度が好きになれませんでした。

例えば。
薬局で、とても急いで薬を買うシーン。
商品補充している店員さんに、薬の売り場を聞くのですが
店員さんは、目も合わせずにぼそぼそと答えます。
その態度にイライラした由宇子さん、
とても荒々しい態度で再度、聞き返します。
そして、レジでも高齢者がもたついていると
またイライラして、さきほどの店員さんにお金を投げつけて
お店を後にするのです。
私は、イヤですね。こんな人。
自分が急いでいるのは、他人にはわかりません。
だって一言も説明していませんからね。
店員さんの態度も問題かもしれませんが、こんなこと、多々ありますよ。
レジでの行為に至っては
単なる我儘にしか見えませんでした。

また、ドキュメンタリーディレクターという職業柄なのでしょうが
誰かと話している時、
例えばテレビ局の人と対立する時など
突然、スマホを出して撮影し出します。
そして、間髪いれずに質問を繰り返し
相手が言葉に詰まるのを待つ。
これって暴力じゃないですかね。
本人にそのつもりはないのでしょうが
(というか、むしろ権利だと思っているように見えますが)
私がもし、こういう態度を取られたら、もの凄い圧力を感じます。
とてもこの人とは、本当の気持ちを話したりは出来ないと固く心に思うはずです。
でも由宇子さんにとっては、普通のことなんでしょうね。
だから、正義と守る物の間で揺れる由宇子さんに
全く感情移入できませんでした。
とっても冷ややかに見てしまいました。

由宇子さんは、学習塾の生徒や妊娠した女生徒、他にも
他人と優しく接している場面もあります。
でもね。
究極的に見ると、優しくしている相手って
由宇子さんにとっては、優しくしておいた方がいいと判断される相手。
インタビューしたい相手とかには、
優しそうに振る舞う態度もね・・・
つくづく人って多面性があるな、と思わされました。
でも、映画のテーマと重なっているのでしょうね。
人は多面的だからこそ、正義と守る物で揺れるのですから。

正義とは人の道にかなって正しいこと、だそうです。
世の中、正義を貫いて生きていけるほど甘くはない。
いや、強ければ正義を貫けるのか。
どうなんだろうなぁ。
正義正義と問われずに、ただシンプルに嘘のない生活を送れる日常が
一番大切だと思いました。
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