日向ぼっこ残日録

移り気そのままの「残日録」

「無国籍」の明と暗

2005年03月07日 21時05分11秒 | 気まま日記
2005/03/07
明  日本に住む「無国籍」者はおよそ2000人いる。大半は観光ビザで期間後も不法に滞在している者や密入国者である者の子供である(不法滞在がバレルので新生児を届けない)。「無国籍」陳天璽著(1470円)の陳さんは特殊な例である。陳さんの父は大陸生まれ。第二次大戦の内乱で、共産党政権から逃れ、台湾へ。そして、5人の子供と妻を連れて、横浜中華街へ来た。そこで、陳天璽(天璽は天からの授かりものの意、女性)さんは1971年に生まれた。ところが、翌年にとんでもない事が起こった。1972年、日本中が「パンダ来日」にわいた(日中国交正常化)である。中華街(台湾系)の人々は国交がなくなり、国籍の選択(日本か中国か)を迫られた。陳さんの父は日本とは戦争の記憶があり、中国は逃れた共産党政権。そこで、「無国籍」を選んだ。陳さんは小、中学校は華僑学校で、中華民国国民としての教育を受ける。高校は日本の公立女子高校で日本社会へ。16歳になったために、外国人登録へ、国籍欄「無国籍」。大学は筑波大学、政治経済学部博士課程。平成6年から1年間、香港中文大学に留学。平成9年より、米国ハーバード大学留学。香港では「日本から来たひと」であり、米国では「国籍取得がなにより先」ということに悩む。帰国後、背を向け続けた「日本国籍」を母の反対があったが、「家族は変わりない」ということで、理解してもらう。(日本もアメリカには及びもないが多民族国家に変貌しつつある。3~4年でスポーツ選手などは取得)2003年より、国立民俗学博物館(大阪吹田)の助教授である。
(陳さんは21歳のときに両親と台湾に里帰りしたとき、陳さんだけは入国を拒否された。日本生まれであり、無国籍ということであった。)

暗  中国は人口の爆発に悲鳴をあげて、25年ほど前に「一人っ子」政策を実施した。一人っ子に「7つの優遇特典」を与え、二人目の子供が生まれると、優遇を取り消した。都会では学校や職場も与えられないので、戸籍を届け出ない、闇の子供「黒孩子」(hei hai zi ヘイ ハイ ズ)が多く生まれることになった。中国の統計でも、1994年ですでに2176万人と推計されている。2020年には4000万人に達するらしい。行き場を失った子供は親からも見離され、浮浪児となり、犯罪組織の構成人になるしかない。13億人のうちの2000万人は多いと思う。これも「無国籍」人だ。政策で救う方法も考えないと、中国も二極分化のいびつな社会になってしまう。(ちなみに「黒孩子」の意味は黒は黒いのほかに「明らかでない」の意味がある。孩は子供で子も子供だから、明らかでない子供たちの意である)中国の出生に異変が、ごまかしがあるのは、出生率でも解る。女子を100とすれば、男子が117もある。女子の「黒孩子」もより深刻だ。