僕と、お父さんとボクとの約束(2)

2021-10-13 09:42:58 | 童話
『よ~い、どん。もっとヒザを高く上げて、もっと高く。そうそう、もっと高く上げて。』
『なんか、速く走ることができそうだ。』
『本当に速く走れているよ。』
僕は、その日から毎日、ヒザを高く上げて走る練習を続けていて、学校の徒競走で5人で走って3番目になった。

『今度は逆上がりをやってみようよ。』
『うん、頑張るよ。』
『分かった、手が伸びてしまっているからできないんだ。鉄棒を回り始める時にヒジを曲げて、体を鉄棒にくっつけるようにするんだよ。ボクがやってみるね。』
『本当だ、すごいね。』
『ボクと一緒にやれば君もできるようになるよ。』
僕は、その日から毎日、ヒジを曲げるようにして練習を続けていて、逆上がりができるようになった。

僕は速く走ることと、逆上がりができるようになる練習を続けていたので、ご飯を食べるのも、学校へ行くのも早くできるようになった。
僕は、ご飯を食べている時に、徒競走で3番になった事と、鉄棒の逆上がりができるようになった事を、お父さんとお母さんに話をした。
お母さんは『すごいわね。』と言ってくれて、お父さんは『どうしてできるようになったんだい?』と聞いたので、僕は『新しい友達が教えてくれたんだよ。』と答えた。

だけれど、ボクの事は話をしなかった。

僕と、お父さんとボクとの約束(1)

2021-10-12 09:47:39 | 童話
僕はご飯を食べるのが遅く、家族みんなが食べ終っても、僕はまだ終らない。
『いつまで食べているの、早く食べなさい。』と、お母さんにいつも注意される。
そして、『早く学校へ行かないと遅刻するわよ。』と、お母さんに毎日注意される。
僕は学校の徒競走では、いくら頑張ってもいつもビリになってしまうし、鉄棒の逆上がりができない。僕は頑張っているが、できないんだ。

僕が友達と学校へ行っている時、友達が
『だれか知らない子が一緒に歩いているけれで、君の友達かい?』
と、言った。
『ううん、知らない子だよ。』
『ランドセルを背負っていないけれで、どこへ行くのかなぁ?』
『そうだね、どこへ行くのかなぁ?』
学校に着くと、その知らない子は居なくなっていた。

次の日も、僕と友達が学校へ行っている時に、その知らない子が一緒に歩いていた。
『ねぇ、君はだれ?』
『ボクの名前はツヨシ。ボクは君をよく知っているよ。』
『なんで君は僕を知っているの?』
『ボクはね、君のお父さんの子供の頃なんだ。』
『でも、お父さんは大人で大きいよ。』
『お父さんも子供の頃があって、それがボクなんだ。』
『ふぅ~ん。だけれど、僕は朝お父さんが会社へ行く時に、行ってらっしゃいと言ったんだよ。』
『それはお父さんで、ボクはお父さんの子供の頃なんだよ。』

『ふぅ~ん。だけれど君はなぜ、いつも僕の所にいるの?』
『ボクは君が頑張っているのは知っているけれど、ボクと一緒にもっと頑張れるようにしようよ。』
『どうやってやるの?』
『ボクと同じ事をするだけだよ。』
『最初は走る練習をしようか?』
『うん、いいよ。』
『走る時はね、ヒザを高く上げるようにするんだよ。一緒にやってみようよ。』
『うん、だけれど速く走れるようになれるのかぁ?』
『なれるよ、ボクと一緒に頑張ればできるよ。』
『うん、頑張る。』

僕の電車のお客さん(4)

2021-10-11 14:14:43 | 童話
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』
『わぁ、谷の上の鉄橋だ、高い所を走っているんだね。』
『ええ、そうよ。素敵ね。』
お母さんは大変楽しそうです。

そして、トロッコ電車は「次の駅」に着きました。お父さんとお母さんはこの駅で降ります。
『はい、ありがとうございました。切符はこの箱に入れてください。』
僕とシロが運転するトロッコ電車はもっと高い山の駅へ走って行きました。
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』

僕が起きると、お母さんが
『よく昼寝したわね。あら、どうしてモミジの葉っぱを持っているの?
あらっ、シロの毛にも草が付いているわね、どうしたのかしら?』
『トロッコ電車で山の高い所へ行ったからだよ。』
『ええっ。』
『うちの子は、今度ロケットに乗ったら火星の石でも持ってくるんじゃない?』
『そうかも知れないね。』

僕は、お父さんとお母さんのお話しを聞いて、次はロケットを運転しようと思った。
だけど、ロケットの運転席が分からないので、絵本で調べてから乗ろうと思った。
まだ、ロケットの運転席の絵本は見つからないが、ロケットを運転するのが楽しみだ。

おしまい

僕の電車のお客さん(3)

2021-10-10 10:54:26 | 童話
僕が起きると、お母さんが
『よく昼寝したわね。あら、お顔が黒くなっているわね。あらっ、シロの毛も黒く汚れているわね。どうしたのかしら?』
『蒸気機関車を運転してトンネルの中を走ったからだよ。』
『ええっ。』

次の土曜日に、僕はお父さんからトロッコ電車の旅行パンフレットを見せてもらった。
お母さんが
『あらっ、素敵ね、ここへ行きたいわね。』
と言ったので、次の日曜日に僕がトロッコ電車を運転して、お父さんとお母さんを乗せてあげることにした。

また僕が運転手で、助手は犬のシロです。
そして、ホームのアナウンスがありました。
『左の方からトロッコ電車が入って来ます、お客さんは切符を買って、客車がちゃんと止まるまでお待ちください。』
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』
『停車位置よ~しっ。』
『今の駅、今の駅。』
『皆さん、今の駅に到着しました。乗る人は、降りる人が終ってからお願いします。』
『ルルルルルル。』
『皆さん発車しま~す。次は「次の駅」、「次の駅」で~す。』

僕の電車のお客さん(2)

2021-10-08 11:07:47 | 童話
『上り坂になったので石炭をたくさん燃やします。』
『シュシュッ、ポッポ、シュシュッ、ポッポ。シュシュッ、ポッポ、シュシュッ、ポッポ。』
『トンネルに入りま~す。わ~っ、煙がいっぱいだ、シロ、大丈夫かい? お父さんとお母さんは大丈夫かな?
そうか、客車は窓が閉まっているから大丈夫だね。』
『やっと上り坂の頂上になりました。』
『シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。』
『ポ~ッ、ポ~ッ。』

そして、蒸気機関車は「次の駅」に着きました。お父さんとお母さんはこの駅で降ります。
『はい、ありがとうございました。切符はこの箱に入れてください。』

僕とシロが運転する蒸気機関車はもっと遠くの駅へ走って行きました。
『シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。』
『ポッポ~ッ。』
『シュッシュッ、ポッポ、シュッシュッ、ポッポ。シュッシュッ、ポッポ。ポッポ~ッ。』