僕と、お父さんとボクとの約束(1)

2021-10-12 09:47:39 | 童話
僕はご飯を食べるのが遅く、家族みんなが食べ終っても、僕はまだ終らない。
『いつまで食べているの、早く食べなさい。』と、お母さんにいつも注意される。
そして、『早く学校へ行かないと遅刻するわよ。』と、お母さんに毎日注意される。
僕は学校の徒競走では、いくら頑張ってもいつもビリになってしまうし、鉄棒の逆上がりができない。僕は頑張っているが、できないんだ。

僕が友達と学校へ行っている時、友達が
『だれか知らない子が一緒に歩いているけれで、君の友達かい?』
と、言った。
『ううん、知らない子だよ。』
『ランドセルを背負っていないけれで、どこへ行くのかなぁ?』
『そうだね、どこへ行くのかなぁ?』
学校に着くと、その知らない子は居なくなっていた。

次の日も、僕と友達が学校へ行っている時に、その知らない子が一緒に歩いていた。
『ねぇ、君はだれ?』
『ボクの名前はツヨシ。ボクは君をよく知っているよ。』
『なんで君は僕を知っているの?』
『ボクはね、君のお父さんの子供の頃なんだ。』
『でも、お父さんは大人で大きいよ。』
『お父さんも子供の頃があって、それがボクなんだ。』
『ふぅ~ん。だけれど、僕は朝お父さんが会社へ行く時に、行ってらっしゃいと言ったんだよ。』
『それはお父さんで、ボクはお父さんの子供の頃なんだよ。』

『ふぅ~ん。だけれど君はなぜ、いつも僕の所にいるの?』
『ボクは君が頑張っているのは知っているけれど、ボクと一緒にもっと頑張れるようにしようよ。』
『どうやってやるの?』
『ボクと同じ事をするだけだよ。』
『最初は走る練習をしようか?』
『うん、いいよ。』
『走る時はね、ヒザを高く上げるようにするんだよ。一緒にやってみようよ。』
『うん、だけれど速く走れるようになれるのかぁ?』
『なれるよ、ボクと一緒に頑張ればできるよ。』
『うん、頑張る。』