北極のペンギン(4)

2016-05-26 09:18:17 | 童話
そして、僕は今までよりも、もっともっと羽を動かして、どんどん速く泳いで行くと、クジラさんが

「どこへ行くの?」と言いました。
「北極だよ。」
「北極は遠いって、みんな言っているよ。それに、暑い所の海を越えて行かないといけないよ。」
「うん、南極越冬隊員の人に教えてもらったよ。行って来るからね、バイバイ。」

もっと泳いでいくと海の水が暖かくなってきたので水の上に顔を出して周りを見ました。

すると、島が見えて人間が海水浴をしていました。

「随分遠くに来たんだね。」
「あの白い貝のような建物は、越冬隊員の人から聞いていたオペラハウスだ。」

そして、もっともっと泳いでいくと、白いライオンの口から噴水が出ているところに来ました。

「これも越冬隊員の人から聞いていたマーライオンだ。

北極のペンギン(3)

2016-05-25 21:14:39 | 童話
僕は近くの冒険が終わってお父さんやお母さんが待っている所へ帰っている時に、昭和基地へ寄って観測隊員の人から南極以外の事を教えてもらいました。

その時に観測隊員の人から北極の氷が溶けて、白熊が困っている話を聞きました。

そして、その原因が熱帯の森林伐採で炭酸ガスの吸収が減り、地球の温暖化が進んで北極の氷が溶け始めていて海の水位が上昇していて、小さな島の国が水没し始めていることも教えてくれました。
僕は帰ってからお父さんとお母さんに北極へ行って白熊とお話をする計画を話しました。

「北極はずっと遠くにあるので気を付けて行きな。」
「気を付けてね。」

と言って、お父さんとお母さんが僕を見送ってくれました。

北極のペンギン(2)

2016-05-24 21:33:00 | 童話
お父さんやお母さんにたくさんのお魚をもらって僕はどんどん大きくなって寒くなくなったので、お父さんやお母さんのお腹の下から、いつも外にいるようにしました。

そして、広い氷の平らな所の冒険に出掛けました。
山の無い平らな所なのでいっぱい歩いても、お父さんやお母さんが見えます。
もっと歩いて行くと海に着きました。

「やあ、ここがお父さんやお母さんがおいしい魚を捕っていた海なんだ。僕もお魚を捕ろう。」

僕は海へザブーンと飛び込みました。

「あれっ、氷の上を歩くのより随分楽だなあ。
両方の羽を少し動かしただけで魚と同じくらいのスピードで泳げている。
すごいなあ、もっと強く羽を動かすと、もっともっと速く泳げるかなあ。」

エイッと力一杯に羽を動かすと飛んでいるみたいねスピードで進みました。

僕は魚を全部追い越して一番になりました。

「わあっ、僕が一番だ。」

北極のペンギン(1)

2016-05-23 19:53:17 | 童話
僕が卵から生まれるとお父さんの大きなお腹の下にいました。

お母さんは僕の食べる魚を捕りに遠くの海へ出掛けていましたので、僕はお父さんの温かい大きなお腹の下で何日もいました。

僕は時々お父さんのお腹の下から外を見ますが寒いのですぐにお腹の下に入ります。

そして、時々お父さんが立っている場所を移動する時があります。
その時は、僕がお腹の下にいるままに、ズズッズズッと動いて行きます。

お父さんはお母さんが帰ってくるまで何も食べませんが、僕には食べ物をくれます。

そして、お母さんが帰って来ると、今度はお父さんが食べる魚を捕りに遠くの海へ出掛けて行くので、今度はお母さんのお腹の下に入ります。

お父さんのお腹の下も、お母さんのお腹の下も、とても温かくて気持ちがいいです。

ほんわか村(7)

2016-05-22 09:22:54 | 童話
ある日人間がやってきて、動物全員と相談をしました。

ほんわか村の森は手入れがされていないので、木が倒れたままになっていたり、草が生い茂っている場所が多く、果物があまり多く採れていません。

それを人間が手入れをして果物の木を植える場所と、動物たちの大好きな野菜を植える場所を作るのです。

そして収穫できた果物や野菜を動物たちと人間とで、半分ずつにするという計画でした。
 
しかし動物たちは、森の木は大切なので切っては困ると言い、人間も自然は大切なのでそのままにしておき、使えなくなっている所だけを手入れするということで、動物達と人間とが約束しました。

そして手入れした場所に

『ここは、ほんわか村の農場で、動物と人間とが自然を大切にする農場です。お互いに自然を大切にすることを約束します。』

と書いた看板を立てました。

そして、今も動物達と人間が約束を守りながら農場を大切にしています。

              おしまい