僕達の小さくて大きな森(2)

2019-02-13 05:44:30 | 童話
次の日、宿題が終った時に友達がサッカーボールを持ってやって来た。
『植木のことをおじいちゃんに話したの?』
『ううん、まだ話して無いよ。』
『少しの間二人だけの秘密にしておこうか?』
『そうだね、秘密だよね。』
『今日も植木が置いてあるね。』
『うん、今日もおじいちゃんは植木を片付けないで出掛けたんだ。』
『今日もボールやエンピツが植木の中に入って行くのかなぁ?』
『今日はまだやっていないので分からないよ。』
『この大きなサッカーボールも植木の中に入って行くのかなぁ?』
『やってみようか?』
『でもサッカーボールはこれ一個しかないよ。』
『大丈夫だよ、植木の中へ探しに行けばいいんだよ。』
『探しに行けるかなぁ?』
『やってみようよ。』
『そうだね、やってみようか。』

友達がサッカーボールをソッと植木に近付けた。サッカーボールがブルブルと震えてから小さくなって植木の中に入って行った。
『うわっ。』
『入って行ったね。』
『どうすれば取りに行けるのかなぁ。』
『うん、どうすれば取りに行けるのかね。』
『エンピツを持っていると探しに行けるのかなぁ。』
『エンピツを持って、二人で一緒に探しに行こうか?』
『行けるかなぁ?』
『行けるよ。』

机の上からエンピツを2本持ってきて、1本ずつ持って植木の近くまでやってきた。
『もう少し近付くとブルブルと震えるよ。』
『もうすぐだね。』
二人のエンピツがブルブルと震えだした。
『うわっ。』
『ガンバレ。うわっ。』