ぽろろ、ぽろろ。(1)

2018-05-23 07:07:30 | 童話
僕のいる窓の外から、
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
風が遠くで僕を呼んでいるのだ。

『なぁに、宿題が終ったら外で遊ぼうよと言っているの? 30分位で宿題が終るので待っててね。』
『宿題が終ったよ、何して遊ぼうか。よしっ、駆けっこをしようよ。だけど、1人だと寂しいから、いつも一緒に遊んでいる友達を呼んで来るね。』
3人の友達と僕の4人で風と競争をした。ヨーイドン 。
『風君は速いなぁ、僕達4人は全然かなわないや。』

公園の木の上から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
小鳥が呼んでいるのだ。

『なぁに、僕は羽根がないから一緒に飛べないよ。えっ、きれいな歌声の競争をするの? 僕は歌がうまくないから、小鳥君が唄ってよ。』
『ピピピピ、チチチチ、ピーピピ、ピーピピ。』
『やっぱり小鳥君は歌が上手いね。だけど、『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』とは鳴かないの? 『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』と鳴くのは友達を呼ぶ時だけなのか、だから僕を呼ぶ時はみんな『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』と言っているんだね』

小川の近くで
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
声は聞こえるけれど、だれが呼んでいるのか判らない。

『だぁれ?』
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『あれっ、川の水君かな?』
『そうだよ、ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『なぁに、川の中で一緒に遊ぶの? 海水パンツを持ってくるから待っててね。』
『海水パンツになったから川に入るよ。』
僕は川の中で水に押してもらった。
『たのしいな、たのしいな。』