僕の背中(1)

2018-05-05 09:38:50 | 童話
小学校の運動会の徒競走で、僕は、みんなの背中を見ながら走っていましたが、僕の背中を見ながら走っている友達はいませんでした。
また僕はビリになってしまったのです。

次の日、お父さんさんが
『テレビで見たんだけれど、ヒザを高く上げて走る練習をすると速く走れるようになれると言っていたよ。』
と言ったので、お父さんと一緒に、公園で練習を始めました。

『もっとヒザを高くあげて! もっともっと、高くあげるんだ!』
そして、1時間くらい練習して僕達はお家に帰りました。お風呂に入っている時にお父さんが
『じつはね、お父さんも走るのが速くなかったんだ。だから、お前は走るのが速くなってほしいんだ。』
と言いました。
『うん、僕ガンバルよ。』
『よしっ、がんばれば速く走れるようになれるよ。』

そして、普通の日は僕一人で、土曜日と日曜日はお父さんと一緒に公園で走る練習をしました。
少しずつヒザを高くあげて走れるようになってきました。
『その調子だ、ガンバレ。』
家に帰るとお母さんが
『お父さんから聞いたんだけれど、速く走れるようになってきたんだって。』
『そうだよ、僕、がんばっているんだよ。』
『えらいわね、今度の運動会が楽しみだわね。』
『うん、応援してね。』
『ええ、いっぱい応援しますよ。』

しばらくして、町内会で運動会をする案内の回覧板がきたので、僕も徒競走に出ることにしました。
『今までの成果を知ることができるね。』
と、お父さんも楽しみにしていました。
町内会の運動会は、6人で走って5着でした。
お父さんとお母さんは、『良かったね。』と喜んでくれました。
『僕、もっと、もっとがんばるよ。』
それからも、小学校の運動会をめざして走る練習を続けました。