ロケットの子供(1)

2018-05-17 06:00:54 | 童話
僕は今、ロケットを作る工場で作られています。
僕のお父さんもおじいちゃんも、この工場で作られて、人工衛星を打ち上げました。
だけれど、僕はまだロケットになっていないので、空に向って飛んで行くことができません。飛べるようになるには、もっともっと、たくさんの部品を取り付けて、長い時間テストをしないといけないのです。

今日も工場の人が僕の所に来て
『やっと半分組み立てが終わったなぁ。あと半分頑張ろうね。』と言ったので、僕は
『うん、ガンバル。』と返事をしました。
別な場所でテストをしていた大きなエンジンが工場にもってこられ、今日から僕に取り付ける予定になっています。
この大きなエンジンを付けると、僕の脚ができます。

お腹の所は最初に出来上がっていたので、エンジンの次は人工衛星を乗せる頭の取り付けになります。
人工衛星は僕の頭の中に入れられて、僕が両手でシッカリと押さえて空へ飛んで行きます。そして、僕が高い空の宇宙まで飛んで行ってから、両手で人工衛星をロケットから宇宙へ出します。
その時が、一緒に高い空まで飛んできた人工衛星とのお別れになるのです。

別の場所で長い時間テストをしていた人工衛星が、僕のいるロケットの工場にもってこられました。
人工衛星は複雑な装置なので、僕は両手でていねいに人工衛星を僕の頭の中に入れました。
頭の中に入れられると、他の人が人工衛星のテストを始めました。人工衛星はたくさんの部品でできているので、長い時間をかけて何度もテストをするのです。
テストをしていた人が
『うん、順調だね。』と言ったので、僕は
『良かったね。』と言いました。