競馬マニアの1人ケイバ談義

がんばれ、ドレッドノータス!

責任感のある調教師と差別的で無責任な調教師

2007年09月26日 | Weblog
ここで何度も書いている通り、我が一口愛馬ルビウスが最後の未勝利戦を見事勝ち上がってくれました。

ルビウスは去年7月にデビュー。3番人気でしたが惨敗。以降9戦目まで最高着順が5着と惨たんたるありさまでした。しかし、10戦目でブリンカーを装着すると、変わり身を見せ2着。そして11戦目で勝ち上がってくれました。
惨敗中乗ってくれた騎手には、武豊や四位、柴田善臣とAクラス騎手の名前もありました。それで惨敗を繰り返したのだから、普通の調教師だったらとっくにサジを投げてたと思います。それを角居先生は我慢して使ってくれたのです。

POGをやってる人は知ってると思いますが、角居厩舎のところにはカラメルマキアート・サムワントゥラブ・トールポピー・ブーケフレグランス・ポルトフィーノ等々、超良血2歳馬が所属してます。例のインフルエンザ禍でそれらの2歳馬の入厩が遅れてるとは言え、よくぞルビウスを最後まで心血を注いで勝ち上がらせてくれたものです。
角居調教師は、馬が大好きなんでしょう。それに責任感がある。だから預かった馬には、最後の最後まで責任を持って走らせる。
角居先生は40代前半でトップトレーナーになったのは、そんな背景があるからだと思います。

しかし、JRAの調教師はすべてがそんな調教師ではありません。無責任な調教師がかなりいるのです。
私が一口持ってる馬にオンシジュームとゆー馬がいます。この調教師、秋山とゆー男は、そんな中でも最低の男です。

秋山はなんだかんだとナンクセを付け、オンシジュームを入厩させない、やっと入厩したと思ったら、なかなか調教してくれない。やっとレースに出してくれたと思ったら、4・5着と次走が期待できる着順だとゆーのに、即放牧。
ともかく、この秋山とゆー男は最悪です。無責任であると同時に、差別主義者です。この男、どうも一口馬主の馬が大っ嫌いなようです。この厩舎にはオンシジュームと同世代・同性のハネダテンシとゆー馬がいます。この馬は個人馬主の馬なのですが、大事に使ってます。
ハネダテンシはここまで18戦使ってますが、オンシジュームはまだ10戦しか走ってません。オンシジュームが虚弱体質ならしかたがありませんが、決してそんな馬ではありません。社台系の馬が調教されてる山元トレセンでは、元気に調教されてるのです。それが秋山のところに入厩したとたん、ダラフケ(年がら年中発情してる状態)になったり、歯替わりしたりと理解しがたい理由で調教できなくなるのです。あきらかに取ってつけた理由。秋山はオンシジュームを調教したくないようなのです。

そんなに一口の馬が嫌なら一口の馬を持たなければいいものを、この男はよほど差別を実行したいのか、相変わらず一口の馬を入れてるようです。しかし、現2歳の秋山厩舎の馬を見てみると、一口の馬はまったくいないようです(コスモタクミは共同馬主のもよう)。さすがにここまで差別してたら、一口馬主の馬は逃げてしまいます。ま、みずから断ったのかもしれませんが。
ちなみに、現在秋山厩舎所属の馬は35頭。調教師ランクは中クラス中の中クラスですが、35頭とゆー所属馬の数は、かなり下のクラス。JRAでは一口馬主の馬はかなりのパーセンテージを占めるのですが、一口馬主の馬が嫌いでは、この数はしかたがないでしょう。

残念ながら、一口馬主を差別したがってる調教師は、秋山だけではないようです。一口馬主を始めようと思ってる人は、そんな調教師にひっかからないように気をつけてください。

我がPOG指名予定馬を再検討してみると…

2007年09月25日 | Weblog
例年9月の中山・阪神開催では有力2歳馬が続々とデビューするのですが、今年は例のインフルエンザ禍のせいか、当月での有力馬のデビューはあまりありませんでした。我が指名予定馬も、ほとんどデビューできてません。しかし、10月の東京・京都開催を目指して、かなりの指名予定馬が栗東・美浦に入厩してるようです。
その一方で、今期我がPOG最大の目玉だったアドマイヤテンカは、入厩する前にすでに死去してます。我がPOGは、再び練り直しが必要となりました。

ここからは、ホースニュース馬のPOGをベースに話を進めて行きます。
当POGは10頭まで指名できます。現在指名してる馬は、ノットアローン1頭。あと9頭指名できます。その指名予定馬は、下記の8頭。

①ローザブランカ ♀ 父クロフネ 母ローズバド
②サムワントゥラブ ♀ 父シンボリクリスエス 母シンコウラブリイ
③○マイネルチャールズ ♂ 父ブライアンズタイム 母マイネプリテンダー
④○ヴェルザンディ ♀ 父アグネスタキオン 母ウインドインハーヘア
⑤○ビーチパトロール ♂ 父フレンチデピュティ 母エアラグドール
⑥ピイラニハイウェイ ♂ 父Silver Deputy 母トロピカルブラッサム
⑦アドマイヤレイ ♀ 父クロフネ 母フサイチヴィーナス
⑧○アドマイヤアモーレ ♀ 父Fusaichi Pegasus 母ベラミアモーレ
馬名の前に○が付いてる馬は、現在入厩してる馬

アドマイヤテンカ死去で1頭浮いてしまいました。その「あと1頭」で迷ってます。その1頭を関口馬から見つけようと思ってたのですが、どうも関口氏は、日本の競馬には興味がなくなったもよう。近藤馬にはこれ以上興味がわく馬はいないようだし…
金子馬にガバナースマイルとゆー馬がいますが、この馬に関する情報は、まったく伝わってきません。だいたい、これ以上金子馬を増やすのは怖いものがあります。

最後の最後は、リアル一口馬でも指名しますか…

9月24日付我がPOG順位

2007年09月24日 | Weblog
先週我が指名馬ノットアローンが未勝利戦に出走。神戸新聞杯を楽勝したドリームジャーニーみたいに怒涛の追い込みを見せてくれたのですが、数m距離が足らず、あえなく3着で終わってます。
我がPOGのうち、馬三郎のとホースニュース馬のは、いまだ勝利馬なし。我が指名予定馬はこれから次々とデビューします。もうちょっとの辛抱です。

現在の我がPOGの順位です。
馬三郎         5675位/200P
ホースニュース馬  500位以下※/200P
netkeiba        1438位/2640P
裏ホースニュース馬   353位/2120P
裏netkeiba        2101位/2190P
※ホースニュース馬のPOGは、500位以下は順位発表なし

ルビウスが勝った

2007年09月22日 | Weblog
本日出走の我が一口愛馬ルビウスとイデアーレですが、イデアーレは6着でしたが、ルビウスは1着。見事ラストチャンスをものにしてくれました。これでキャロットでは、2001年産、2002年産、2003年産に引き続き、2004年産も我が出資馬が勝ち上がったことになります。
ルビウスは今回ダート1800mでの勝利でしたが、父がジャングルポケットであることを思うと、芝の方が断然向いてるはず。今回の勝利は、タイム的にはイマイチでしたが、芝のレースではもっとタイムを詰めてくれると思います。

1勝で終わらせず、2勝・3勝と勝ち星を積み重ねてもらいたいものですね。

余談ですが、ルビウスが勝利する2つ前のレースを圧勝したパルティアシチーは、かつて私が一口持ってた馬です。もう勝利することはないだろうと思い手放したのですが、一度は関係を持った馬。もっと勝ち星を積み重ねてもらいたいものですね。

ルビウスとイデアーレ

2007年09月20日 | Weblog
私が一口馬主を始めたのは、1998年。今年で10年目となります。その間、大樹や友駿などに入ってましたが、今はキャロットのみです。

そのキャロットに入ったのは、2002年(2001年産)。最初に出資したのは4頭。内3頭がデビューでき、3頭とも勝ち上がってます。
2002年産駒は4頭出資し、内3頭がデビューでき、2頭が勝ち上がってます。
2003年産駒は3頭出資し、内2頭がデビューでき、1頭が勝ち上がってます。
そして2004年産駒。この年は2頭に出資し、2頭ともデビューできましたが、まだ勝ち上がってません。ルビウスとイデアーレ、それが2頭の名前です。
今週末、この2頭が出走を予定してます。JRAでは3歳未勝利戦は今月いっぱいまで。2頭はそんなわけで、今週末勝たないと事実上の引退となります。

ちなみに、ルビウスはキャロットと相性のいい角居厩舎所属。私はキャロット×角居コンビの馬はこれまで3頭出資してます。1頭は重賞2勝、G13着3回と大当たり。が、もう1頭は未勝利のまま引退してます。はたしてルビウスはどうなるでしょうか?
ルビウスはデビューからまったくいいところがありませんでしたが、前走初めて装着したブリンカーとの相性がよかったらしく、2着。3着馬とは7馬身もの差がありました。タイム的にはイマイチでしたが、今度は1着になると信じてます。

イデアーレですが、この馬はもともと出資する気のなかった馬。しかし、補償が大量に発生し、その消化で出資しました。
イデアーレは名スプリンターサクラバクシンオーの年の離れた妹。最後のレースは、芝1200mを予定してます。お兄ちゃんが得意だった距離で1着でゴール板前を駆け抜けてもらいたいものです。

今週末の競馬に注目です!

9月18日付我がPOG順位

2007年09月18日 | Weblog
私がPOGで注目するも、厩舎でのぞんざいな扱いに土壇場で一部のPOGでの指名を断念したオースミマーシャル。案の定、オースミマーシャルは新潟2歳Sでは大惨敗しましたが、先週の野路菊賞では快勝してしまいました。これでクラス分けに使う獲得賞金は1200万円、来年の皐月賞の出走をほぼ確定してしました。う~ん、こりゃあ、他のPOGでも指名してた方がよかったかも…

しかし、今年の我がPOG指名予定馬は、いまだに動きが緩慢です。しかも、最大の目玉アドマイヤテンカの死去で、ここに来て指名予定馬を追加しないといけなくなりました。
いまさら新規指名馬を開拓したくても、あまりいい馬は見つかりそうにありません。一度吟味し、切り捨てた馬を復活させた方がいいかもしれません。
その候補馬ですが、やはりディープインパクトの妹ヴェルザンディがもっとも気になってます。ダイワメジャー&ダイワスカーレットの妹ブーケフレグランスも気になってますが、500kg越えと言われてる馬体重が怖いです。

現在の我がPOGの順位です。
馬三郎         5896位/70P
ホースニュース馬  500位以下※/70P
netkeiba        1415位/2500P
裏ホースニュース馬   339位/1990P
裏netkeiba        2054位/2050P
※ホースニュース馬のPOGは、500位以下は順位発表なし

今週は表のPOGすべてで指名してるノットアローンが出走を予定してます。

私が出資したいキャロット募集馬はこれ

2007年09月12日 | Weblog
今年度キャロット募集馬申し込みですが、第一次締め切りは9月21日。これは必着ですので、締め切り日まで実質あと1週間となりました。

我が指名予定馬ですが、いろいろと絞り込み、この1頭だけとなりました。63スカーレットローズ仔です。
この馬には近親にサカラート、ヴァーミリアンのダートの重賞常連がいます。しかも、父はクロフネ。ダートで大成する可能性が十分あります。
人によってはダート血統の馬を毛嫌いしてる者がいますが、私はそんなことはありません。ダート血統を毛嫌いする理由の1つにダートレースの賞金の低さがありますが、賞金に差異があるのは重賞だけ、OP特別までは同じ賞金額です(2000m以上のレースにも差はありますが)。重賞の常連馬を引き当てるなんて至難です。それに、前述の通り、ダート血統馬は人気がありません。よってこの馬は、血統の割りには申し込みが少なく、抽選にならない可能性があります。

もちろん、この馬にも気になる点があります。それは母の年齢。スカーレットローズがこの仔を産んだとき、19歳でした。これはいくらなんでも高齢過ぎです。しかし、この馬の母系図を見てると、おもしろい発見があります。
スカーレットローズの母、スカーレットインクは、16歳のときにスカーレットローズを産んでます。さらに17歳のときにスカーレットブーケを産んでます。スカーレットブーケは重賞4勝、都合6勝してます。しかも、ダイワメジャーとダイワスカーレットと2頭のクラシックホースの母馬となってます。
スカーレットインクはさらに20歳のときにドリームチームを産んでます。この馬は4勝。緒戦と最終レースとなった目黒記念以外は、全部4着以内でした。
このようにスカーレットインクは、高齢となってもいい馬を続々と産んでました。となると、その娘でもあるスカーレットローズも、高齢でもいい馬を産んだかもしれません。

高齢をキーワードにすると、入厩予定の石坂厩舎にもおもしろい記録があります。
石坂厩舎が最初に世間の注目を浴びたのは、2000年のスプリンターズS。石坂調教師が育てたダイタクヤマトが、最下位人気で勝利しました。
このダイタクヤマト、母ダイタクフレンズの19歳のときの仔でした。そんな巡り合わせも、何かを感じさせてくれます。

若干ですが、締め切りまでは余裕があります。私の出資馬は今のところこの1頭ですが、もうちょっと吟味して決め、投函しようと思います。

アドマイヤテンカ死去(9月10日付我がPOG順位)

2007年09月10日 | Weblog
今週もPOG界に大きな動きなし。ただ、今期POG最大の目玉の1頭、ポルトフィーノが札幌2歳Sに出走するとの宣言がありました。
我がPOGの最大の目玉で、人気ではポルトフィーノと双璧をなしていたアドマイヤテンカですが、どうやらデビュー前に死んでしまったようです。カミさん名義のPOGではすでに指名してたので、これはちょっと痛手。ま、カミさん名義の方はあくまでもウラ、オモテの方はまだ指名してなかったので、いいとしましょうか。

アドマイヤテンカのオーナーである近藤利一氏は、最近ものすごいテングになってます。きっと競馬の神様がバツを与えたのでしょう。ま、アドマイヤムーンが超高額で売れた今では、この馬の死は金銭的には蚊に刺された程度の痛みでしょうが。

現在の我がPOGの順位です。
馬三郎         5728位/70P
ホースニュース馬  500位以下※/70P
netkeiba        5237位/890P
裏ホースニュース馬   266位/1990P
裏netkeiba        1569位/2050P
※ホースニュース馬のPOGは、500位以下は順位発表なし

エースに恋してる第24話

2007年09月08日 | エースに恋してる
 と、マウンド上に目をやると、唐沢の様子が変になってる?… 今の大飛球がショックだったのか? ここでやつが切れたら大変だ。オレはマウンドに向かった。
「荒沢、今のはしかたがないよ。気にすんな。まだこっちが勝ってんじゃんか」
 と、唐沢が横目でギョロとオレを見た。
「うっせーなーっ!! わかってんよっ!!」
 い、いかん、今は声をかけるタイミングじゃなかった… マウンドに立つと切れやすくなるやつの性格を考えれば、今はそーっと見守ってた方がベターだったらしい…
 唐沢の口から、さらに信じられない言葉が出た。
「けっ、なんで大空は最後まで打球を追わなかったんだっ!? 向こうのレフトは最後まで追ったじゃんかよっ!!」
 ああ、こいつ、完全に切れてやがる。なんでこんなところで切れるんだよ?… あとアウト1つ獲りゃ、こっちの勝ちだろ!! 幸い敵の打順は下位。唐沢、ここはなんとしても押さえてくれよ。
     ※
 続く7番バッターの3球目。そいつのバットがまた快音を響かせた。が、打球はショートの守備範囲のゴロ。やったーっ、勝ったぁ!!、と思った次の瞬間、信じられないことが起きた。途中からショートの守備に入ってていた森が、ゴロをはじいてしまったのだ。2アウトランナー1塁3塁… 我がチームはこの試合、ここまでエラーとは記録されないミスを何度かしてきたが、記録に残るエラーは、これが最初だった。
 森はバッティングがあんなにいいのに、守備はこんなにもひどいのか? そーいや、やつの本業はサードだったな。だからと言って、このエラーは論外だ。箕島だったら、絶対ふつうに処理してたはず。
     ※
 森が唐沢に直接タマを届けに来た。
「す、すみません」
 すると唐沢がしらけた目を森に向けた。おいおい、唐沢よ、おまえ、聖カトリーヌ紫苑学園のリリーフエースだろ? リリーフエースがそんな目をしてどうする? まったく、土壇場に来てすべての歯車が狂い出すなんて…
 幸い2塁ランナーは3塁に止まってくれた。まだこっちが勝ってるんだ。唐沢、ともかく、ともかく落ち着いて投げてくれ。あともう1つアウトを獲れば、こっちの勝ちなんだから…
     ※
 しかし、続くバッターの初球、唐沢の投じたタマは、とんでもなく高いタマだった。キャッチャーの北村、そのタマを捕れず、3塁ランナーは労せずしてホームイン… ほんのわずかに残ってた運を唐沢自身がドブに捨ててしまった…
 オレはうなだれた。何も言えなくなってしまった。しらけた。99%勝ってたのに、なんなんだよ、これは?… ベンチを見ると、とも子もうつむいていた。きっとみんなも同じ気分だと思う。
 しかし、まだ同点だ。次の回、サラダ商業は絶対ピッチャーを替えてくるはず。でも、戸田の次のピッチャーは、そうたいしたことはないと思う。絶対点が獲れるはず!!
 その前に唐沢だ。やつはもう限界… 今のワイルドピッチで2塁に進んだランナーが帰ってきたら、サヨナラ、一巻の終わりである。うちの監督もオレと同じことを考えたらしい。ベンチの中から佐野が飛び出してきた。ピッチャー交替の伝令。が、次の瞬間、
「待てよ!!」
 それは唐沢の怒鳴り声だった。その声で佐野の足が止まった。
「聖カトリーヌ紫苑学園のリリーフエースはオレだ!! オレに最後まで投げさせろっ!!」
 佐野は監督の顔を見た。監督はうなずいた。佐野はベンチに引っ込んだ。どうやらうちの監督は、唐沢と心中する気らしい。ま、替わると言っても、うちで残るピッチャーは、実戦経験のない北川だけ。まさか、また中井を使うわけにもいかないし、冷静になって考えれば、ここは唐沢に任せるしか道がないのかもしれない…
 監督は敬遠を指示し、敵バッターは1塁へと歩いた。
     ※
 2アウトランナー1塁2塁。サラダ商業の次のバッターは9番の戸田だか、ここは当然代打だろう。それを暗示するように、ネクストバッターサークルには、あらかじめ別の選手が入っていた。が、しかし、なんと戸田がベンチの奥からバットを持って出てきた。敵の監督はいったい何を考えてるんだ?…
 戸田がバッターボックスに立った。こいつ、身体はくたくたなのに、目は生き生きとしてやがる… だが、マウンド上の唐沢の目も、輝きを取り戻してるようだ。ま、あんなタンカを切ったあとだ。目が死んでちゃいけないか。
 唐沢、1球目。しかし、タマの方は死んでいた。完全な棒ダマ。戸田は思いっきり振り抜いた。
 カキーン!! 鋭いライナーが唐沢の右脇に飛んだ。二遊間を完璧に抜く当たり。万事休す… が、次の瞬間、唐沢が右腕をさっと真横に突き出した。その手首にライナーが当たり、打球はグランドに転がった。しかし、唐沢の数メートル後ろで止まってしまった。森が突っ込んでそのタマを拾った。こいつ、1塁のオレに投げる気らしい。バカ、オレに投げたって、1塁は完全にセーフだぞ!! 2塁ランナーが一気に3塁を廻った。森からの送球を捕ってオレがホームに投げたとしても、今のオレの腕じゃ、アウトは絶望的…
 が、1塁はアウトだった。戸田はまともに走ることができなかったのだ。1塁塁審にアウトを宣告されると、戸田はよろよろと崩れてしまった。
 もしあの打球がセンター前ヒットになってたら、戸田はファーストに到達してたと思う。つまり、オレたちはサヨナラ負けを喫していた。唐沢のガッツがオレたちを救ってくれた。気持ちだけは、戸田に負けてなかった。さすがはうちのリリーフエースだ。
 当の唐沢は、右手首を痛めたらしい。振ったり、押さえたりと、やたらと右手首を気にしてた。
「唐沢、大丈夫か?」
 唐沢に声をかけると、唐沢はにやっと笑った。
「なーに、敵さんのピッチャーと比べりゃあ…」
 ふふ、一度は幻滅したとはいえ、やっぱ頼りになるやつだ。
 ベンチに帰ると、とも子の安堵した笑顔が出迎えてくれた。とも子もかなり心配してたはず。
 ともかく、サヨナラ負けだけはまぬがれた。今度はこっちが反撃する番だ!!
     ※
 聖カトリーヌ紫苑学園野球部が初めて経験する延長戦。その10回の表、なんと敵のピッチャーは相変わらず戸田だった。こっちは1番渡辺からとゆー絶好の打順。
 戸田、1球目。やはり棒ダマだった。1回の表ホームラン寸前の3塁打を撃った渡辺は、このタマに対し、色気を出さず、コンパクトに流し撃った。打球は12塁間を抜けた。渡辺はチームバッティングに徹してくれたようだ。
 続くバッターの大空は、定石通りの送りバント。その打球を処理した戸田は、1塁へ送球。が、送球が高く、敵ファーストは捕るのがやっとだった。大空はセーフ。どうやら戸田の左足は、踏ん張ることができないようだ。
 3番唐沢がバッターボックスに立った。まだ右手首が痛いと思うが、そんなことはもろともせず、思いっきりバットを振り抜いた。カキーン!! 打球は三遊間を抜いた。
 次のバッターはオレ。ノーアウトランナー満塁。ここでホームランを撃てば、一気に4点獲得となる。しかし、今日オレは戸田からホームラン性の当たりを2本撃ってるが、2本とも外野フェンス手前でおじぎしてた。ここは大きいのを狙うより、とりあえず1点、勝ち越しを優先すべき。オレはそう判断すると、バッターボックスに立った。
 と、ふと視野の端に大きなスケッチブックが入ってきた。とも子が掲げてるものだった。そこには「頑張れ!」とゆー文字があった。はいはい、わかってるって。でも、今は押さえぎみに行くよ。
 1球目。外角の棒ダマ。オレはそのタマを流し撃った。カキーン!! 三遊間を抜くヒット。3塁ランナーの渡辺が帰ってきた。ついに1点勝ち越し。
     ※
 その後も我が聖カトリーヌ紫苑学園の連打が続き、都合8点を獲得。さらに満塁となったところで、またオレに打順が巡ってきた。マウンドの戸田はすでに立ってるのがやっとのようだ。しかし、今は勝負のとき。手を抜くわけにはいかなかった。
 初球、軽快にバットを振り抜くと、打球はライトスタンドに突き刺さった。満塁ホームラン。オレがダイヤモンドを廻り出すと、スタンドのあちらこちらからオレを非難するヤジが飛んできた。立ってるのがやっとのピッチャーから、なんてことをするのかと。バカゆーな!! 突き放しても突き放しても食らいついてくるやつらだぞ。100点獲ったって、まだ足りないくらいだ。だいたい、ここまでへろへろになったピッチャーを続投させる敵の監督もおかしい。いくら代わりのピッチャーがいないからって、これじゃ戸田は、さらし者じゃないか!!
 その後もヒットが連続し、結局我が聖カトリーヌ紫苑学園は、この回大量14点を獲得した。
     ※
 10回の裏、サラダ商業打線は、それでも唐沢のタマに食らいついた。しかし、唐沢と北村も慎重だった。あっとゆー間に2アウトを獲った。いよいよあと1アウトで甲子園行きとなる。とも子の夢は甲子園で優勝することだが、オレにとっちゃ、甲子園行きそのものがとてつもない夢だ。その考えてもみなかった夢が、今現実になろうとしている。でも、これはオレととも子だけで実現させた夢じゃない。聖カトリーヌ紫苑学園野球部員全員で実現させた夢だ。
 キャッチャーの北村がいて、セカンドの鈴木がいて、サードの中井がいて、ショートの箕島がいて、レフトの大空がいて、センターの渡辺がいて、押さえの切り札の唐沢がいて、代打の切り札の森がいて… みんなで実現させた夢だ。特に今日の試合は、みんなの心が一つになってなかったら、完全に負けていた。今日の勝利は、我々にとって大きな糧となるはず。
     ※
 ファールで粘りに粘ったサラダ商業の最後のバッターが、ついにピッチャーゴロとなった。唐沢がファーストのオレに送球。アウト。ゲームセット。19対5、すさまじい死闘だったわりには、結果は大差だった。
 試合終了のあいさつ。両校のナインがホームベースを挟んで、対峙して並んだ。と、サラダ商業のナインの1人が主審に耳打ちをした。どうやら戸田は、立てなくなってしまったらしい。なんでこうなるまでやつは投げ続けたんだ? 戸田の「勝ち」に対する執念はすさまじかった。もし、サラダ商業のキャッチャーか監督かその他のナインのだれかがピッチングの組み立てを知ってて、戸田のフォークボールをもっと活かしてたら、甲子園行きは間違いなくサラダ商業だった。それを考えると、オレたちは運がよかったのかも…
 1回を終わった時点ではサラダ商業は楽な相手だと思ってたが、伊達に決勝戦にはい上がって来た相手ではなかった。
     ※
 試合終了のあいさつの直後、とも子とふと目があった。その瞬間、オレはドキッとしてしまった。いや、ポッとしてしまった、と言った方がいいかも?…
 あの約束… ふふ、オレってウブなんだよなあ。


これで終わりです。気が向いたら、甲子園編もUPします。

エースに恋してる第23話

2007年09月07日 | エースに恋してる
 敵の2番バッターが打席に立った。さっきとも子からタイムリーヒットを撃ったバッターだ。気をつけないと…
 1球、2球、唐沢がていねいなピッチングで2ストライクを獲った。3球目、外角高めのボール。北村は今のタマを見せダマとし、内角のタマでフィニッシュするつもりのようだ。このバッターは前の打席、とも子の外角のカーブを器用に捉え、ヒットを撃ってる。それを考えると、これはいい組み立てだと思う。
 そして、4球目。内角… いや、真ん中の方にボールが入ってしまった。ま、まずい…
 カキーン!! 打球が左中間に舞い上がった。通常ならセンター渡辺の守備範囲だが、渡辺は今、前進守備中。渡辺、全速力で飛球を追いかけ、最後はジャンプ。しかし、届かなかった…
 2塁ランナーの戸田がホームイン。同点。1塁ランナーもホームイン。逆転…
     ※
「くっ!!」
 唐沢が左手にはめていたグローブを右手で掴み、振り上げた。グランドに叩きつけるつもりか? それは野球人にあるまじき行為。オレは声をはりあげた。
「やめろ!!」
 唐沢は右手の動作を止め、オレを見た。なんとも言えない情けない顔だった。
「まだ1イニング残ってんだろ!! 今戸田は暑さであっぷあっぷだ。次の回で逆転してやるよ!!」
 すると、唐沢はしらけた目をオレに向けた。こいつ、オレを信用してないのか? ともかく、あともう1つアウトを獲ってくれ。次の回でなんとか逆転するから。
 しかし、こいつは痛い。記録上は3連打だが、全部アンラッキーな当たりだった。3対4。聖カトリーヌ紫苑学園が今大会、初めて許す勝ち越し… ふとベンチを見ると、とも子もかなり落ち込んでいた。甲子園での優勝。とも子の夢をここで途切れさせたくはない…
 カキーン!! サラダ商業の3番バッターが快音を轟かせた。しかし、今度はセンター渡辺の守備範囲だった。センターフライ、3アウト、チェンジ。
 試合はいよいよ9回の表に突入した。
     ※
 おじいちゃんにとって甲子園優勝は、フィアンセだったとも子との大事な約束だった。でも、おじいちゃんはそれを実現させることはできなかった。けど、おじいちゃんは、いつかはとも子がこの世に戻ってくることを知っていた。おじいちゃんはそのとも子に甲子園の優勝を報告したかった。だから息子であるオレの親父と、孫であるオレに野球をおぼえさせた。この世に戻ってきたとも子もそれを知ってたから、ボールを握った…
 おじいちゃんのためにも、とも子のためにも、オレたちはここで負けるわけにはいかないんだ!!
 この回のトップバッターはオレ。絶対撃ってやる!!
     ※
 初球。またもやフォークボール。オレは低いと判断し、見逃した。が、主審の判定はストライク。今日の主審は、どうもピッチャーから見て低めに大あまである。2回以降戸田が復活したのもそのせいだ。ま、こっちのピッチャーも同じ判定をもらってるんだから、文句は言えないが…
 しかし、戸田のフォークボールは、まだかなり切れてるようだ。でも、戸田が投げてくるタマは、このフォークボールだけ。なら、そのフォークボールに的を絞るのみ!!
     ※
 2球目。またもや、そして思った通りのフォークボール。オレは思いっきりバットを振った。カキーン!! 右中間に大きな飛球が上がった。くっ… しかし、手応えがいまいちだった。ふとセンターポールの日の丸を見ると、風はレフトからライトに吹いていた。頼む、この風に乗って、スタンドに入ってくれ!!…
 しかし、フェンス手前で打球は失速した。ライトフライ…
 ベンチに帰ると、唐沢のしらけた目がオレを出迎えた。「あの大口はいったいなんだったんだよ」とでも言いたいらしい。オレは何も言葉が出ず、視線をそらした。
 ふととも子を見ると、かなりがっくし来てるようだ。どんなときも笑顔を絶やさなかったのに、さすがに笑顔を作る気力もなくなったらしい。
     ※
 カキーン!! 次のバッターの中井が見事な流し打ちを見せ、ライト前ヒットとなった。1回に鈴木が放った以来のヒット。戸田のフォークボールを撃つとなると、今の中井のような打法が一番かも? さすがは中井だ。
 それに対し、オレはいったいなんなんだ? 自分1人ですべてを解決しようと大きいのを狙ったりして… 野球は9人でするもの。オレはよくそれを忘れる。まさか、こんな大事なときにまた忘れるなんて… オレも次のバッターにつなげるべく、ヒット狙いで行くべきだった…
     ※
 次のバッターの鈴木は、セーフティーぎみのバント。戸田が落ち着いて打球を処理し、1塁へ送球。2アウト。しかし、中井がスコアリングポジション、2塁へ進んだ。ここでヒットが出れば同点だ。
 次のバッターは北村。北村はバッターボックスに入る寸前、ふとベンチを見た。どうやらとも子を見たらしい。そのとも子は「がんばれ!」と大きく書いたスケッチブックを手に、いつもの笑顔を見せていた。北村はとも子の笑顔を見ると強くなる。いいところでいいバッターが巡ってきた。
 しかし、サラダ商業のキャッチャーは座ってくれなかった。1回同様、敬遠である。北村は憮然とした顔を見せ、1塁へと歩いた。
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 次のバッターは箕島。そう、1回表の大チャンスで凡退した箕島である。おまけに、やつは2回戦の江原高校戦以降、1本もヒットを撃ってない… 1回の表はやつに託したが、さすがにここは代打だろう。うちの監督が伝令を走らせた。ピンチヒッターは森。そう、城島高校戦の土壇場でヒットを撃ったあの森である。最高の代打の登場だ。
 森が揚々とバッターボックスに向かう一方で、箕島がとぼとぼとベンチに戻ってきた。オレはそれに気づいたが、ほかのナインの目は、みな森に釘づけとなっていた。
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 1球目、フォークボール、空振り。戸田のフォークボールはまだ切れていた。いくら森でも、いきなしこのフォークボールを撃てってゆーのは、酷ってゆーものか?…
 2球目、フォークボール、バットを振る森。そのバットにタマがかすり、ファールとなった。3球目、フォークボール、ファール。4球目、フォークボール、ファール。森の目は少しずつ戸田のフォークボールに慣れてきたようだ。
 そして、5球目。ついに戸田の投じたタマが高めに浮いた。1回に投げてたタマとほとんど同じ棒ダマ。森がこのタマを見逃すはずがなかった。
 カキーン!! 強烈なライナーが戸田を襲った。そして…
 戸田の右ひざに打球がバシーンと直撃し、はね返った。打球はそのまま3本間のど真ん中を抜け、ファールゾーンを転がった。敵のキャッチャーとサードがそのタマを取りに向かう傍ら、2塁ランナーの中井が3塁を廻った。ホームイン、同点。そして、なんと1塁ランナーの北村も3塁を廻った。ボールはすでにサラダ商業のサードが手にしてたが、ホームベースががら空きだった。北村、万歳しながらホームイン。逆転… 5対4と一気に逆転となった。オレも唐沢もとも子も、そして箕島も、聖カトリーヌ紫苑学園のベンチは大はしゃぎとなった。
 ちなみに、こーゆー事態になった場合、ホームベースをカバーするのはファーストだろう。しかし、当のファーストはマウンドにいた。なんと、戸田が右ひざを押さえ、悶絶してるのだ。敵のファーストの気は、今行われている試合より、戸田の容態に行ってるようだ。
 タイムがかかると、キャッチャーもセカンドもサードもショートもマウンドに集まった。さらに担架も用意された。戸田はその担架に乗せられ、サラダ商業のベンチに下がった。そうとう痛そうだ。こりゃあ、交替だろう。しかし、数分後戸田がグランドに自分の足で戻って来た。大丈夫なのか? 痛めたところは軸足だぞ。向こうは代わりのピッチャーがいないのか?
 戸田は自分のひざの具合をたしかめるように、ピッチング練習を始めた。
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 戸田には悪いが、やつのケガはこっちの大チャンスだ。だいたいピッチャーは、投げた瞬間から9人目の野手となる。それにピッチャー返しは、バッティングの基本だ。今のは一方的に戸田が悪い。さっきから2塁ベース上にいる森に執拗に罵声を浴びせてる観客がいるが、これは思いっきりお門違いだ。
 唐沢の3イニング目が気になる。バッターは途中からライトに入ってる武田。頼む、武田、追加点を獲ってくれ。
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 戸田の1球目。完全な棒ダマ。武田が思いっきりバットを振り抜くと、タマは左中間の一番深いところへと舞い上がった。やったーっ、タイムリーヒット!! 追加点… と思った瞬間、サラダ商業のレフトが思いっきり手を伸ばし、そのタマに飛びついた。が、そのまま外野フェンスに激しく激突し、その場に倒れ込んだ。2塁塁審が慌ててかけつけ、アウトを宣告した。と同時に、両手で大きく「来い!!」のジェスチャーを見せた。
 再び担架が用意され、レフトが担架で運ばれて来た。どうやら、骨折か脱きゅうをしてるようだ。オレは真夏の真っ昼間だとゆーのに、それを見て一瞬寒気を感じた。なんでこいつら、ここまで命がけになれるんだ? もしかしたら、戸田はヒットを阻止するために、わざとひざに打球を当てた?…
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 攻守交替となり、サラダ商業最後の攻撃となった。唐沢が平穏にあと3つアウトを獲ることができれば、我が聖カトリーヌ紫苑学園は甲子園行きの切符を手にすることとなる。しかし、一筋縄には行かないような気がする。相手は死に物狂いで来ている。唐沢の3イニング目も怖いし…
 グローブを手にしベンチを飛び出そうとすると、ふとオレのユニホームの端を掴む手が。とも子の手だった。とも子は「勝てますよね」と書いたスケッチブックをオレに見せた。
「ふふ、大丈夫、絶対勝てるよ」
 オレは心とは裏腹に、そう返事した。とも子はいつものにこっとした顔を見せてくれた。この笑顔のためにも、この回、どうしても0点に押さえないと…
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 唐沢と北村は、前の回以上にていねいにピッチングを組み立てた。内角、外角、高め、低めと、慎重にコーナーをついた。サラダ商業打線も必死にファールで食らいついたが、なんとか2アウトとなった。あと1人、あと1人で甲子園に行ける…
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 サラダ商業の6番バッターがバッターボックスに立った。唐沢、1球目。なんと、これが棒ダマだった。ここにきて集中力が途切れてしまったのか?
 カキーン!! バッターが思いっきりバットを振ると、打球は左中間に飛んだ。背走で打球を追うレフトの大空。しかし、大空の足が止まった。見送った?… ま、まさか、同点ホームラン?… いや、打球はフェンス一番上に当たった。大空がそのクッションボールをうまく処理し、バッターランナーは2塁止まりとなった。どうやらオレたちはまだ少し運が残ってるらしい。
 しかし、なんて粘り腰なんだ… サラダ商業は今まで本当に1試合に2点までしか獲れないチームだったのか?