競馬マニアの1人ケイバ談義

がんばれ、ドレッドノータス!

美浦SOS

2011年10月06日 | Weblog
美浦の中島師が勇退するそうです。調べてみたら、現在中島厩舎は所属馬が15頭。これでは厩舎の経営は成り立ちません。しかし、美浦にはこんな崖っぷちの厩舎がたくさんあるのです。

ふつー厩舎は、JRAから20の馬房を与えられています。この20馬房を常時フルハウスにしておくには20頭いればいいかと言えば、答えはNo。競走馬はときどき外厩に出してリフレッシュさせてやらないといけないし、骨折や病気で放牧に出さないといけないケースも多々あります。20よりはるかに多い数の競走馬と契約してないと、馬房を常時フルハウスにしておくことは不可能なのです。
では、具体的にどれだけの数が必要かというと、だいたい35頭いれば潤滑に馬房を回すことができるようです。これが30頭になると常時フルハウスは苦しくなり、25頭になると厩舎の経営が厳しくなり、20頭以下になるとアウトとか。
ちょっと調べてみると、実は美浦には、所属馬が25頭以下の厩舎がたくさんありました。

契約頭数が25頭以下の美浦の厩舎を並べてみましょう。なお、2008年以降に開業した厩舎は除きました。
浅野洋一郎 24頭
石栗龍彦 17頭
稲葉隆一 21頭
境征勝 15頭
坂本勝美 21頭
佐藤全弘 11頭
佐藤吉勝 25頭
柴田政人 22頭
嶋田功 18頭
嶋田潤 17頭
清水利章 19頭
清水美波 25頭
菅原泰夫 21頭
鈴木勝美 11頭
高橋義博 24頭
柄崎孝 21頭
二本柳俊一 15頭
根本康広 23頭
平井雄二 14頭
星野忍 22頭
松永康利 25頭
南田美知雄 22頭
保田一隆 13頭
なんと、23もありました。これらは2年以内に中島厩舎と同じ道を歩む可能性があります。

「別に馬房に空きがあっても、問題ないのでは?」という素朴な疑問を持った人がいると思いますが、実はJRAの厩舎、特に美浦の厩舎は、組合の圧力で貸与されてる馬房数に応じて雇わないといけない厩務員の数が決まってます。また、美浦の厩務員は給料が高いので、預託料を得るため、常時馬房をフルハウスにしておかないといけないようです。
もちろん、対処方法はあります。馬房をいくつか返上するのです。そうすれば厩務員の数を減らすことができます。しかし、馬房数を減らすと馬主から危ない厩舎とみなされるらしく、さらに危機が加速するようです。

なんでこうなってしまったのでしょうか? 理由は簡単、美浦の馬は明らかに栗東の馬より劣ってるからです。その上、預託料は美浦の方が高い。これでは、馬主は栗東に逃げてしまいます。
その上、リーマンショック以降馬主の数は減りました。馬主を続けてる人でも、所有馬を減らしてます。競走馬の数が減れば、当然弱い方から減っていきます。
もう1つ大きな理由があります。それは入厩制限です。JRAはなぜか馬主会の顔色を常時気にかけてます。その馬主会は、かなり昔から社台グループの躍進を不快に思ってます。で、馬主会は社台グループ潰しに、JRAにある理不尽なルールを作らせました。それが入厩制限なのです。
入厩制限とは1馬主につき、JRAの施設(美浦&栗東トレセン、及び10の競馬場)に同時に入厩してる競走馬の数を制限するとゆーもの。この制度、1989年できた当初は120頭でしたが、年々厳しくなり、現在は90頭。しかし、こんなことすれば、社台グループは余計に栗東を重視するようになります。
以上の理由で、今美浦の厩舎はスカスカな状態なのです。

これを手っ取り早く解決かるには、やはり社台グループしかないと思います。それには入厩制限の撤廃。
完全に撤廃する必要はありません。たとえば栗東所属の馬は50頭までとし、美浦に関しては上限なし。こうすれば美浦の危機は救われると思いますが… ま、お役所仕事そのもののJRAじゃ、まず無理でしょうね。