ローマ着後の夕食はカンツォーネを聞きながらの食事。レストラン出かけていくと1台の
ローランドが置かれた小さな舞台の横に白い洗い立てのテーブルクロスが掛けられたテ
ーブルが並べられている。ワインなど嗜みながら少し食が進んだ頃、役者がギターを持
って現れ、相棒はローランドの前に座った。粋な格好をした体格のいい歌手?はリクエス
トは後で受けると、持ち歌を数曲披露する。私たちは食事をしながら聞く訳だが、日本人
の気質として他人に歌を歌わせながらこちらは、舌鼓はどうも合わない気がする。日本人
というより私のような庶民は・・・と言った方が正しいのか知れない。
男性歌手が歌い終えると綺麗なお嬢さんが如何にもイタリア風の衣装を着て、美声を披
露してくれる。ソプラノとまではいかない高い声で、演歌歌手のこぶしを回すが如く、負け
まいとビブラートを効かせる。お腹はいい具合、ワインも回りいよいよリクエストタイムになる
と、似たような年の人からはジリオラ・チンチエッティー、ボビー・ソロなどカンツォーネで活
躍した人の曲名が上がる。
そこは本場の人だからお手の物、ほとんどの人が知っているから手拍子を取ながら曲に
参加する。イタリアは有名なオペラやクラシック曲の歌手を世に送り出している国柄、裾
野にこうした大衆相手の歌手や子供たちの層など根底にも歌が浸透しているのだろうか。
こうして盛り上がっていると、いきなりチャールトン・ヘストン主演映画ベン・ハーに出てく
るような、ローマ戦士の姿をした人が出て来て何事かと思えば、一緒に記念写真を撮って
もらう商売人だった。折角のお出ましだから愚痴を言う者もおらず、ご機嫌でフレームに
納まる。私たちは『カンツォーネを聞きながらの夕べ』と題したOPツアーでこのレストランに
やって来た。所謂、有料のショー付きの食事となる。ところが、私たちのグループから少し
離れた所にイタリア人のグループがやって来て、食事を食べながら談笑していた。明らか
にショー付きの食事とは違うがショーの値段は払っていないに違いない。私たちも、こん
な事で文句を言うつもりはないが、こんなところにもイタリア人は何事にもこだわらない大
らかな性格をしているようだ。
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