山陰の地方紙『山陰中央新報』は中央のどこの大手新聞社とつながっているのか知らないが、よく原発関連の連載
記事を載せている。内容からして、こちらの記者が取材してきたものを掲載しているのではなく、どこかから提供
を受けたと思われる。
今回は3.11の津波被害で原発の中で起こったことを現地にいた人の話も交えた内容になっており題して『全電源
喪失の記憶』、私たちには分からない内部の緊迫した様子も紹介されている。あの時に私たちは肝心なことは何も
知らされていなかった。原発内部でも何が起こっているのか誰にも分からない、もし最悪の事が起こったら日本の
終わりに近いダメージになるかもしれない、つまり分からない恐怖とも戦っていた。
だから死を覚悟しながらの作業だったことなど、全く想像もつかないことだった。当時は民主党政権下で彼らの政
党の基本になっている何処かに『国民に隠し事をしないクリーンな政府』を目指すとあったと思う。55年体制で
政治が澱んだまま長期にわたり政府から『情報隠し』の煮え湯を呑まされ続けてきたから、自分たちはそんなこと
は絶対しないと。
しかし民主党政府の発表は全く緊迫感のない嘘ばかりを言い続けていた。自民党政権は過去に隠し続けてきたし嘘
の情報も流した、しかし原発事故の情報は自民党より、更に大本営発表よりも酷嘘に包まれていた。
全電源喪失、こんな言葉で軽く、原子炉の冷却が止まっておりバッテリーを運搬して接続して冷却を回復させる。
原子炉の冷却は止まっているが安全であると言いながら、裏では住民を緊急避難させる手筈を整えている。
まともな情報を発表したら大混乱になるから控えめの嘘をついたと言うのだ。恐らく自民党政権だったとしても似
たような嘘つきを続けたのではないだろうか。全電源喪失は命取りであることは専門家の人ならだれでも分かって
いるだろうが、私たち一般人には理解し難い。ジャンルは違うが元エンジニアとしては、施設の全電源喪失になっ
たら大事故になるシステムがこの世の中に存在することを想像できなかったから、必ず第2、第3のガードがある
と思っていた。
国や大手の電気メーカー、電力会社などが声を揃えて『原発は安全、安心』と言う嘘を見抜けず、勝手に万全のシ
ステムを組み上げていると勘違いしていたのだ。暴走を始めた原発は人の手で止めるのではなく神にお祈りして神
のお許しを得てやっと止めてもらえるものだ。
『SBO(Site Black Out)』は原発というサイトが真っ暗になってしまったことを言う。電力会社に限らず日頃から
事故を想定した訓練や、災害訓練をしてきたはずだ。しかし国は、SBOは想定しなくてもいいようなお墨付きを
与えてしまっているから、電力会社ではSBOの訓練などしていないと思われる。仮にしていたとしても、それを
補うシステムなど何も用意されていないから、訓練自体が意味を持たない。イソコンの訓練でさえ成されていない
から原発内部の訓練なんて、ただ実施したアリバイ作りのようなもので、3.11には何の役にもたっていなかったの
ではないか。素人の素人考えで毒づいているが、これからも少しずつ色々な情報が漏れ伝わって、もっと酷いこと
を知らなければならなくなるだろう。
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