とっさに誰かをかばって、亡くなったりした人のこと、正直信じられませんでした。
でも、自分にもそういうこと、力があるのだと思ったことがあります。
それって、潜在意識とか、潜んでいる力とでもいうのでしょうか。
東京へ行った時の羽田空港のエスカレータ―(少し短めの)に乗りました。
あまり人がいなくて、私の前には、2歳位と4歳位の女の子を連れたお母さんがいました。
さあ、エスカレーターに足を踏み出そうとしたら、
なんと、前の2歳位の子が泣き出して、見ると、エスカレーターの上に座り込んでいます。
靴も脱げています。
4歳くらいの子は、立ったままです。
「ええっ?!」
私は、思わず、エスカレーターに乗り、2歳の子を抱きかかえました。
そのあたりから、不思議なことに、とっても思うことがゆっくりになるのです。
私は、キャリーバックを持っており、子供を後ろから抱いた後、振り返りました。
そこには、30代位の男性がいて、状況を察知して「僕が持っていきます」とか言ってくれました。
「お願いします」なんて、頭を下げて。
以下、それから、いろいろ考えたことです。
(2歳の子は、後ろから抱きかかえたのですが)
泣いている、不安なんだ、くるっと向きを変えて、胸で抱いたら安心するのに。
でも、そんなふうに動かしたら、暴れるかも知れない。
暴れたら、私もふらつくかもしれない。
このまま、じっとして、降りよう。
姉はどうだ。
お願いだからじっとしていてくれ。
母親はどうだ。
何とずっと先に行っている。(信じられない)
私のキャリーバックはどうだ。
(振り返って)ああ持ってきてくれている。
さらに、
もし万が一何かあれば、将来のあるこの子を生かさなくては。
(大袈裟ですが、大丈夫だと思ったからそう思ったのかもしれません。)
「お母さんとこへ行こうね。」と何回も言いながら、下まで抱えたまま行ったのでした。
幸い上の子も、靴を拾って、じっとしていました。
とっくに降りたお母さんは、こちらを見上げていました。
私が、子供を、引き渡しても、何か言ったかどうか。
私は、キャリーバックを受け取り、何事もなかったように感じて、出口に向かいました。
まだ、自分の身体がしっかりしていてよかったと思ったのでした。
人間の、潜んでいる力ってあるものなんですね。
それでは、また。