【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

警察庁の国会対策は不自然なのか?見習うべきか? 道路交通法改正法案が4たび参議院先議の怪

2013年04月25日 14時30分22秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

【画像】警察庁提出の道路交通法改正法案の趣旨説明をする古屋圭司・国務大臣(国家公安委員長)、2013年4月25日(木)、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【参議院内閣委員会 2013年4月25日(木)】

 道路交通法改正法案(183閣法42号)が審議入りしました。

 国会に提出した3月29日に、新聞の社会面などで多く報道されたので、内容はご存じでしょう。

 京都府内でてんかんがある人がそれをかくして運転した、つまり「無免許運転」により、7人の死者を出した交通事故をきっかけにして警察庁が提出した法案です。

 古屋圭司大臣の趣旨説明によると、

 (1)自動車免許の取得の際に、病気に関する質問票を書くことを罰則付きで義務づける。
 (2)無免許運転の罰則を厳しくし、同乗者への罰則も設ける。
 (3)自転車の運転で複数回違反した者は講習を受ける

 ーーという内容です。

 これについて、「無免許運転の厳罰化がいけないのか」「良いことだ」「ご遺族の声を聞け」と言われれば、なかなか反論の余地はありませんが、「自転車の運転で複数回違反した者への講習」まで入っているとは知りませんでした。

 道路交通法の改正法案に関しては、ある傾向があります。

 前回は

 第171通常国会(2009年)、
 第166通常国会(2007年)、
 第159通常国会(2004年)、
 第151通常国会(2001年)

 に提出されました。つまり道路交通法の改正法案が提出された過去5回の国会はすべて任期満了直前の国政選挙が事前に分かっていた国会です。

 そして、道路交通法改正法案はここ4回連続で、参議院先議で法案審査にかかりました。

 趣旨説明もだいたい、予算が成立した直後の4月上旬です。

 そもそも、道路交通法に関して、「自分にはかかわりがない」と言い切れる人は一人もいないでしょう。そして、参院議員はとくに、県全域ないしは日本全国で選挙をします。見ず知らずの組織の人が自分の看板入りのクルマを運転してくれることに、会えば感謝の念を表するのは当然としながらも、あっけらかんとして「御輿」にならなければなりません。でも、自分の看板があるクルマの事故は自分の責めに、世間的にはなる可能性があります。そのとりしまりの大元が警察庁を頂点とする47都道府県です。

 そこで、参院先議で、だいたい無修正で全会一致で可決しそうな法案を出して、スムーズに成立させるというのが警察庁の国会対策なのではないでしょうか。公選法の取り締まりも各都道府県警の捜査2課です。第2回衆院選で品川弥二郎事件で血が流れたことを忘れてはなりません。現在でも警察庁の権力構造をおさえておく必要があるでしょう。

 一方、議員立法の「totoサッカーくじの対象を海外サッカーに広げ、国立競技場の改修費用を賄う法案(183衆法7号)」は参院文教科学委員会で審議入りから10分後に全会一致で可決してしまいました。

 こういった審議の入り口の国会改革が必要です。具体的には2つの改善ポイントを提示します。

 (1)委員会付託の両院議院運営委員会(理事会含む)の会議録の翌日公表。
 (2)「英議会の第一読会」あるいは、かつてのわが国の「帝国議会の衆議院本会議」のように、ただ法案名を読み上げるだけの本会議(インターネット生中継)。 

 ーーこの2点の国会改革が必要ではないでしょうか。

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