[画像]マイナンバー法可決の後、付帯決議を提出して政府に釘をさす、民主党の若井康彦・衆内閣委筆頭理事。
マイナンバー法案が衆院内閣委員会で修正可決しました。構想以来40年前後を経た歴史的な瞬間です。
政府提出の4法案に対して、木原誠二君・後藤祐一君外「自民党・公明党・民主党・日本維新の会・みんなの党」5党共同提出の2法案修正案が可決しました。日本共産党と生活の党は反対しました。
ただし、政府提出法案で与野党修正が入った法案では異例なことに、5党は付帯決議を5本つけ、政府に釘をさしました。
衆院内閣委では、3月27日から審議して1ヶ月。マイナンバー関連法案が採決されました。自公民維み5党修正(後藤修正)が賛成多数で可決しました。ただ、やはりいまだに政府による情報管理や、第三者による悪用の不安が残ることから、付帯決議がでました。
この法案は3党合意より前に、社会保障と税の一体改革関連法案として昨年の通常国会に提出されていたものです。
マイナンバー4法案とは、社会保障と税の共通番号法案(183閣法3号)、マイナンバーのための関係法律整備法案(4号)、政府CIOを設置する内閣法改正法案(5号)、地方公共団体情報システム機構法案(7号)です。
3月27日の初質疑では、公明党議員が3名質疑に立ちました。過去に記憶がありません。高木美智代理事は「昨年の通常国会で実務者(自民党の平井卓也さん、民主党の岸本周平さん)でほぼ合意していた」と悔しさをにじませました。3名立ったというところに、公明党の必死さを感じました。
その後、やはりシステム面への不安から、「マイポータル」に接続する際に専用回線からインターネットになるので、「なりすましログイン」などの懸念が出ました。
最終日の午前中は総理入り質疑となり、修正案提出者でもある後藤祐一さんがトップバッターで質問。日本維新の会の松田学さんの質疑で、安倍首相は「オヤジが政調会長のころに実現しようとして、金丸さんに潰された」と明かしました。みんなの党の大熊利昭さんは「エポックメイキング(画期的)な日になる。歴史的な日だ」としながらも、「この重要な制度について、取材や報道が少ない」と指摘。安倍首相は「極めて重要な法案だが、なかなか取り上げ方が少ない。やはり国会というのは与野党が激しく対立しないと、取り上げてもらえないのかもしれない」と答弁。通常国会初体験の大熊さんは「対立すればよかった」と嘆くと、首相は政府としての広報活動を強化することを約束しました。
午後は本来は内閣委員ではない玉木雄一郎さんが登場し、後藤祐一さんとの間で質疑答弁を展開。玉木さんが修正案の「政府は、給付付き税額控除の施策の導入を検討する場合には、(略)国の税務官署が保有しない個人所得課税に関する情報(略)を活用(略)するために必要な体制の整備を検討するものとする」とするとの付則について、玉木さんが「消費税10%時の給付付税額控除実現への強い意志か」と問うと、後藤さんは「委員の言うとおりだ」と応じました。初の「玉木・後藤問答」となりました。
これは、低所得や無収入で確定申告が必要ない人の生活保護・年金、雑所得などの所得情報を集めることができるということだと考えます。だから、確定申告していない人も含めてすべての国民が給付付税額控除の対象者になるという意味のだと私は考えています。今後の3党協議に注目します。
政府CIOについては、私は電子政府の専門家という位置づけだと思っていましたが、玉木さんがフロンティアを広げました。
玉木さんは「私は世の中をイチバン変えたのは(Googleなどの)検索エンジンだと思っている。例えば、「鯨」と入れれば、各府省の行政事業レビューシートの該当部分が全部出てくる。私は予算の執行が終わった直後に決算ができあがることも可能だと思う。政府CIOに置かれてはぜひ行革の先頭に立って欲しい」と語りました。
これに対して、遠藤紘一・政府CIOは「稲田朋美行革相とも一回会った」とし、「上司である山本一太IT相とも(行革を)やっていこうという話になっている」としました。
[画像]答弁する遠藤紘一・政府CIO、2013年4月26日(金)、衆議院内閣委員会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
なお、内閣法改正案の修正案により、「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」ではなく「本部長(首相)」が政府CIOが欲しい情報を本部員(大臣)に出させることができるようになったので、上司は総理という考え方もできるかもしれません。環境の整備をのぞみます。
ただ、一連の審議のなかで、財務官僚である向井治紀・政府副CIO(昭和56年大蔵省入省)が「将来的にはマイナンバーを銀行通帳に入れる税制改革も可能だ」というような、前のめりな答弁が目立ったので、この辺が気になるところです。
[画像]向井治紀・政府副CIO(兼)内閣審議官(昭和56年大蔵省入省)、2013年4月26日(金)、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
いずれにしろ、国会による政府の統制が効き続けることが必要です。そして、納税者というのは、確定申告をしていなくても、消費税を払った人は全員が納税者です。負担に見合う給付を受けるのは当然であり、制度に対して異議があれば、国会を通じて政府を変えることは当然の権利です。
淡々とした奇妙な雰囲気で議事が進みましたが、散会後には、甘利大臣、山本大臣らを、岡田克也さんら内閣委員が立ち上がり、丸く囲んで拍手するという珍しいシーンもありました。
[画像]修正可決して散会後に、拍手しあう、閣僚と与野党・衆内閣委員たち。
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連休前最終日の参議院本会議というと、2001年には不人気の森内閣が辞め、小泉純一郎さんが首班指名され、連休明け初日に所信表明演説し、そのまま会期終了後に参院選になだれ込み、勝利したのが与党による参院選勝利の最後ですが、きょうは参院本会議は4法案を成立させるという比較的少なめな国会になりました。「iPSなど再生医療推進法(183衆法4号、衆・厚労委員長提出)」と「生活拠点を整える自治体への交付金を設ける改正福島復興再生特別措置法(183閣法17号)」などが成立。津田弥太郎さん外14名提出の「脱法ハーブを取り締まる麻薬取締法および薬事法改正法案」が可決し、衆院に送られました。衆院本会議では「独立行政法人万博機構を廃止し大阪府庁に移管する法案(183閣法45号)」と「特別警報を新設する気象業務法・国交省設置法改正法案(183閣法23号)」が全会一致で参院に送られました。
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連休の谷間の4月30日(火)~5月1日(水)に参・予算委の地方公聴会(沖縄、岩手)、5月2日(木)午前9時からは中央公聴会ということになりました。それ以外の審議はない見通し。
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連休明け国会は37営業日しかありません。本予算成立後の国会も「自公」だったり、「自公維」だったり、「民み生維風社改」などのパーシャル連合で、さまざまな法律ができあがりそうです。
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その中で、昨年6月15日の社会保障と税の一体改革3党合意を肉付けする法案がどんどん進んでいます。
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衆・経産委(富田茂之委員長)は、「消費税の円滑で適正な転嫁を確保する法案(183閣法36号)」の審査を進め、参考人質疑をしました。87歳の清水信次・日本チェーンストア協会会長=ライフストア(ライフコーポレーション)代表取締役CEOが出席。民主党の近藤洋介さんらの質問に対して、「こんなに安全ですばらしい国は他にないと思う。しかし、危機感を持っている」「死ぬというのはある意味平等で向こうには誰も(お札の)1枚も持っていけない」「(国会で参考人として意見を述べるという)こういう機会はこれが最後だと思う。ぜひ良い日本を残していってほしい」とおっしゃいました。
清水さんは二大政党論者で、私たち、政権交代ある保守2大政党政治を20年以上追い求めてきた者にとってはけっして、脚を向けて寝られない人物。ずっと非自民勢力を支え続けてくれた随一の財界人です。一時、小沢自由党系ということもありましたが、いずれにしろ、20年間、ずっと非自民だった方です。
[画像]「良い日本を残してほしい」政権交代ある二大政党政治でずっと非自民側を応援してくださった清水信次・ライフストア(ライフコーポレーション)代表取締役CEO、2013年4月26日(金)、衆議院インターネット審議中継から。
3党合意では「転嫁対策については、(略)独占禁止法・下請法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずる旨の規定を追加する」とあり、これに基づき、今回の法案が出てきています。日本チェーンストア協会の清水会長のほか、岡田元也副会長にもご理解いただきたいところですね。
この法案の採決は連休明けになったようです。
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ところで、茜色の空というのはどういう空か。
私は知らなかったのですが、一眼レフ愛好者の方が投稿しているサイト「GANREF」の投稿写真によると、次のような空のようです。
次のリンク先にある写真のような空です。
http://ganref.jp/m/p_doll/portfolios/photo_detail/5f57e330b729f73b56dfe3fdb3585a26
まさに日本国の明日の責任のために社会保障と税の一体改革を成し、そして下野した夕方の民主党を表したかのような空であります。日が暮れながら染まっていく茜色の空は、日が昇れば、突き抜けるような青空になることもあるのでしょうか。
ところで、仕立て直す前の「きょう採決へ」という朝投稿したエントリーで、次のような大平首相と野田首相の写真を載せました。
よく考えたら、これはちょっと表現不足でした。私としたことがうかつでした。失敬、失敬。
こうでなければいけません。
右は、2013年4月26日(金)の衆院法務委員会で答弁する谷垣法相(前自民党総裁)です。この後、法務省に戻って、死刑執行の記者会見をしましたが、泰然自若としています。社会保障と税の共通番号制度の衆院委員会通過のエントリーに谷垣さんを忘れるとは失礼しました。経世会が汗をかき、宏池会が知恵を出し、作り上げてきた日本。大平さん、清水さん、谷垣さん、野田さん、岡田さん、古川さん、古本さん、金子洋一さん、岸本さん、後藤さん、玉木さん。
党も歳も違い、共通点は子の世代、孫の世代に良い日本を残したいという志のみ。
政治の要諦は実に簡単であり、単純であり、すばらしいものだと感じます。
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