【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

◎2013年岡田法案は「完全人口比例」の鳥取・島根ガンバレ法案だ!

2013年04月02日 19時52分16秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議


 民主党は2013年4月2日(火)、選挙制度改革の民主党案の骨子を決めました。これについては、全議員から選挙制度改革推進本部役員会(岡田克也本部長)にすでに一任を取り付けてありました。

 法案の骨子に関する情報は次の民主党ホームページから取り出すことができます。

 平成6年に細川・羽田内閣が命がけで成立させた平成6年政治改革4法。すなわち小選挙区比例代表並立制、10年に1回国勢調査による有識者の「区割り審(衆議院選挙区画定審議会)」による区割り、政党助成法などのうち、区割りにあたっての「1人別枠方式」。最高裁は「1人別枠方式は、(略)新しい選挙制度が定着し、安定した運用がされるようになった段階においては、その合理性は失われる」(平成23年3月23日最高裁) として、「卒業」を判決しました。

 これにより、細川元首相の一番弟子である野田首相が解散をかけて自民党との合意に成功。ただ、細田法(0増5減緊急定数是正法)に鳥取県や島根県の定数を「2」と定める不首尾があったため、羽田元首相の一番弟子である岡田さんが手直しに走っている段階です。政権交代ある政治をめざした細川・羽田法をいかすための、野田・岡田法案ともいえるでしょう。

 社会保障と税の一体改革3党合意も踏まえて、衆議院の定数を400人とし、小選挙区議員を270人、比例代表選出議員を130人にするという案(公職選挙法の一部改正)。

 そして、区割り審設置法(衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部改正) で、1人別枠方式をやめて、「各都道府県における小選挙区の数は、小選挙区選出の定数を人口に比例して各都道府県に配当する数とする」と改めます。

 なお、比例区は全ブロックで削減。例えば、中国ブロックは11人から8人に減りますが、東京都ブロックも17人から13人に減ります。

 2010年国勢調査にもとづき、各都道府県に人口比例配分した場合は、鳥取県と島根県が定数2から1になる計算になります。おそらく5増35減ということになるでしょう。

 しかし、2013年岡田法(案)では、2020年国勢調査で、鳥取県や島根県が(中国地方において相対的に)人口を増やせば選挙区は増えることになります。

 2000年国勢調査と2010年国勢調査を見比べると、鳥取県内では、米子市が人口14・7万人から14・8万人に1%人口が増え、隣の西伯郡日吉津村は実に14%人口が増えています。しかし、米子市と日吉津村以外の鳥取県の基礎自治体はすべて人口が減っています。

 島根県はより深刻で、すべての基礎自治体が人口減。とくに「隠岐郡隠岐の島町」は1・8万人から1・5万人へとなんと15%も激減してしまいました

 しかし、鳥取県、島根県が人口増といかなくても人口減少を食い止める策はあると私は思うんです。

 鳥取市の鳥取砂丘には国道沿いの京都から大量の大学生グループがクルマで日帰りで観光に訪れています。が、鳥取空港から鳥取砂丘まではタクシーで15分程度。近畿地方の日帰りではなく、全国からの宿泊にもっと拡大する方法はいくらでもあります。まず、私が指摘した「鳥取砂丘は鳥取空港からわずか15分間」という情報自体が知られていない。こちらの社団法人鳥取県観光連盟のホームページでは、鳥取駅や鳥取インターからのアクセスは書いてありますが、鳥取空港からのアクセス時間は書いてありません。実にもったいないことです。一方、民間ホテルは「鳥取駅歩いて3分、羽田空港から1時間半・鳥取空港からクルマで20分」と書いてあります。やるべきことをやっていないのに、定数が減ると地域が廃るわけがありません。

 さらに、「古事記」の「因幡の白ウサギ」伝説の舞台は、鳥取砂丘近くの白兎海岸だという説があります。

 古事記の上つ巻には「あれ、隠岐の嶋にありて、ここに渡らむとすれども(略)海のわにを欺きて言ひつらく(略)この嶋より気多の前まで、みな列み(なみ)伏渡れ。しかして、あれその上を踏み、走りつつ読み渡らむ」とあります。この「オ岐の嶋(オは「さんずいに於」)」とは、白兎海岸の中瀬の島との説があります。私が現地で見たところ、浅瀬の岩肌を行くさざ波のようすは、鮫(現地の当時の方言で「わに」)が行くようすにそっくりでした。鳥肌が立つほど感動しました。しかし、断定したいところですが、まだ断定はできません。「「オ岐の嶋(オは「さんずいに於」)」とは、「白兎海岸ではなく、隠岐の島だ」という説もあります。たしかに名前の発音は「隠岐の島」。なので、私としては、隠岐の島にも行ってみたいのですが、「いつでも行ける」と思ってしまうとなかなか行けず。その間に、上で指摘したとおり、「隠岐の島町」は人口が1・8万人から1・5万人へと15%も人口が激減してしまいました。これも「2・0倍超え」につながっていることになります。

 白兎海岸と隠岐のどちらが舞台かを見比べに行くツアー。これは日帰りは無理なので、1泊以上になります。さらに、皮を剥いだ「八十神(やそがみ)」は出雲大社。こういった泊まりの観光を開発すれば、人口は増えます。

 このところ、パナソニックの経営に関するニュースが多く、必ずと言っていいほど、「炊飯器の映像」が出ます。あれはおそらく「鳥取三洋電機」という会社の技術でしょう。工業も大事です。例えば、ファナックの本社工場がある山梨県南都留郡忍野村は3・4%増です。農業も大事です。高級レタス栽培の長野県南佐久郡川上村は1・3%増で、村長さんは全国町村会長になりました。

 人口を増やさなくもていいから、減らさない。まずは子育て支援。中国ブロック内の道州制ならば、公職選挙法の改正はいりません。いろいろな意見はあるでしょうが、現在日本国籍でない人が日本国籍になりやすい施策も、自治体の考えである程度は可能でしょう。夥しいハングル文字の漂着ゴミの処理に関する官民ファンド。

 全国を相手にしなくても、中国ブロック内で観光を増やすこともいいでしょう。「萩・津和野」の表記を「津和野・萩」にしてもらうだけでも島根県観光が潤うかも。広島県安芸の宮島や、岡山県後楽園にそっくりな施設を割安でつくる中国流観光開発もあっていいでしょう。秋芳洞に「アッキー」という怪物が潜むという都市伝説をそれとなく流布してもいいかも。まあ、泊まりの観光が増えれば、若い労働者が増えるので、子どもも含めて人口も増えます。

 がんばるのも自由だし、がんばらないのも自由。

 それが岡田流、新しい自由主義であり、やさしさ原理主義です。

 がんばれ鳥取!

 がんばれ島根!

 2020年の国勢調査で、45都道府県を見返せ!