[画像]衆院予算委で集中審議する長妻昭・野党筆頭理事、2013年4月2日(火)、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
高裁が衆院選を「無効」と判決し、新年度暫定予算になったことから、
「暫定の 議員 暫定予算組み」
という川柳が6日付読売12面「よみうり時事川柳」に載っていて思わずうまいと思いました。
今週は歴史的なできごとが多く、黒田新日銀総裁の初の金融政策決定会合で、いきなり、マネタリーベース(現金と日銀当座預金)を2年間で2倍。すなわち現金を91兆円から95兆円に、日銀当座を47兆円から175兆円にするという、次元の違う爆発的金融緩和を決めました。黒田総裁は「戦力の逐次投入では意味がない。やれることは全部やった」という意味のことを日銀クラブの記者会見で言ったようで、大いに期待したいところです。これは後戻りできない金融政策であり、2015年10月の消費税10%の反動が出ると予測される、2016年の経済を「出口」として戦略を見すえていきたいと考えます。それと、関東大震災の「震災手形」の処理が結果的に戦争につながった80年前を鑑みて、東日本大震災で日本円の健全性と決済機能を守った白川総裁の功績は特筆すべきです。それにしても、「13年4月4日」の決定というのは何か縁起が悪い気もします。
きのう2013年4月5日(金)には、安倍首相とルース駐日大使が「嘉手納以南(米海軍嘉手納基地よりも南)」の米軍施設・区域の返還計画を共同で公表しました。このうち、米海兵隊普天間飛行場は、「2022年度またはその後」に返還されることになりました。牧港補給地区も2025年度またはその後」に完全返還されることになります。この「2022年」は沖縄の施政権の復帰半世紀であり、50年ということで、地主との契約が更新期を迎えるのだろうと考えます。とくに、普天間は沖縄本島の中部と北部をつなぐ大事な地点であり、一体的な再開発バブルが起きそうです。牧港補給地区(浦添市)はもっと那覇市に近いので、2020年代の沖縄本島は土地バブルになることは間違いなく、しっかりと次の50年をみすえた計画作りを官民ともに期待したいところです。あの日、あのとき、あの場所で何があったか。それは忘却のかなたに行くでしょうが、記録は永久に引き継がないといけません。沖縄のどの島でも「ざわわ、ざわわ、ざわわ」とサトウキビの音が聞こえなくなっても、沖縄の心の原点は、日本人全体に受けつがれていくでしょう。こちらも「出口」が大事です。
さて、新聞というのは「見出しが立つ」話以外は、歴史的な出来事を落としがちです。私は前半国会の最大のニュースは「空転がまるっきりない」ということです。私は幸か不幸か、空転がないおかげでだいぶ肩が凝ったし、民主党本部や議員会館もすっかりご無沙汰になってしまいました。だからと言って、空転はない方がいいです。
へろへろですが、連休前国会は残り3週間15営業日ということで、「出口」を見ていきたいところです。とくに後藤祐一さんがある法案の解釈について大臣を怒らせるまで質疑していることは大いに民主党に貢献しているといえます。
今週は、我が国が先進国で唯一批准していない「ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)」が衆院本会議で審議入りしました。条約の締結の承認の件は外務委に、条約締結にともなう民法など整備法案は法務委に付託されました。これで、衆議院の委員会はフル操業で、しいていえば、文科委と安保委に議案がないくらいでしょうか。その状態で、本予算審議が並行しているというのは初の例のように感じますので、各委員会の審議が本予算になんらかの格好で反映される道を開きたいものです。
さらに、火曜日と金曜日にテレビ入り集中審議があり、ともに、野党筆頭理事の長妻昭さんが登場しました。記録は分かりませんが、野党筆頭理事が1週間に2回もテレビ入り審議に登場するのは過去に例がないように思います。
長妻さんは火曜日には「アベノミクスには3つの副作用がある。(1)財政規律が緩む(2)格差が拡大する(3)バブルが再来する」と指摘し、「3つの副作用を一つ一つつぶしていく必要がある」と語りました。そして、6年前の消えた年金について、首相が「第1次安倍政権では長妻さんの質問の影響も大きかった。それは私も認めます」と謝罪しました。長妻さんは民主党政権で「戻ってきた年金額は生涯換算で1・7兆円だ」と胸を張りました。
金曜日の集中審議はエネルギー・原発問題に関して。異次元の量的な金融緩和をいかして、シェールガスやメタンハイドレートの開発を進めたいところです。もちろんその前提として、原発の検証・廃炉などの「出口」をしっかりとみすえる必要があります。
長妻さんの前に質問に立った、自民党の村上誠一郎さんと公明党の石田祝稔さんが与党ながら極めて厳しい調子で質疑したのが印象に残りました。長妻さんはすでに解散した国会事故調査委員会を再開するよう求めました。
ところで、2013年3月10日(日)放送のNHKスペシャル「3・11 あの日から2年 メルトダウン 原子炉冷却の死角」東京電力常務で所長だった吉田昌郎さんと思われる人物が初めてテレビの前で証言しました。そこで、1号機の水素爆発が、IC(イソコン)という冷却装置を切り替えている際、「切」にスイッチが入った状況で停電したにもかかわらず、確認ミスで「入」か「切」か分からない状況だったところ、他の場所から、豚の鼻と呼ばれるイソコンの換気口から「蒸気が出ている」との報告があり、「入」と勘違いしたまま水素爆発したという驚くべき検証がありました。アメリカの原発ではイソコンを止める防災訓練をしているものの、東電は創業以来40年以上、一度もイソコンを止める防災訓練をしておらず、「切」になった瞬間に発生した大規模な水蒸気を、「入」が続いているから発生し続けている水蒸気と勘違いしたのです。これについて、東電社長は、この日の質疑がつづく中で、最終的に日本維新の会の山田宏さんの段階で「(電源が)生きている間に(イソコンを)止める方で(スイッチの切り替えが)終わったのは事実です」と答弁し、事実と認めました。ヒューマンエラーで水素爆発をおこしたとすれば、刑事責任を問われかねない重過失で、さまざまな検証が求められます。
中田宏さんは福島の避難地域を、中間貯蔵施設ではなく、最終処分場にするよう首相に迫りました。
松下政経塾→日本新党→新進党という政治改革3本の矢で強烈な印象を残した、山田宏・中田宏両議員の国政復帰を頼もしく感じます。
金融も、基地も、エネルギーもしっかりと出口を見すえた戦術が求められます。
なお、中央公聴会が4月11日(木)に設定され、衆院での本予算審議も出口がみえつつあります。参院選をひかえて、参院予算委員はしっかりといくさの備えをしているんだろうと期待しています。
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