静岡古城研究会会長:もっちーのブログ

静岡古城研究会会長:望月のブログです。主に静岡県内の中世城郭関係の情報を発信します。※当ブログはリンクフリーです。

第261回見学会「信長の中伊勢侵攻と関連城郭」の下見に行ってきました

2017-11-28 00:50:38 | 報告、その他お知らせ

11月11日・12日(土・日)の両日、小川理事・乘松理事と私望月の3人で、来年4月21日・22日(土・日)の1泊2日で予定されている第261回見学会「信長の北伊勢侵攻と関連城郭」の下見に行ってきました。

先ず、阿坂城に行きました。この城は「白米城」ともいわれ、応永22年(1415)に北畠満雅が幕府軍を迎え撃った際、北畠軍が馬の背に白米を流し幕府軍を欺いて撃退した伝説をもつ城です。北郭(椎之木城)と南郭(阿坂城)の二つの主要な曲輪から構成されており、土塁や堀、切岸が見事な城郭です。二つの曲輪の頂上から眺めた景色も見事なものでした。

     

次に大河内(おかわち)城に行きました。この城は15世紀前半以降、伊勢国司北畠氏の根拠地の城郭として位置づけられ、16世紀後半の織田信長の中・南伊勢侵攻の際には激戦が展開された城ですが、主要部の大半は神社境内地として整備されてしまっています。それでも、周辺部には堀跡が残存しており、大規模な城郭であったことがうかがわれました。

    

1日目の最後は田丸城に行きました。同城も北畠氏ゆかりの城ですが、現在見る姿は天正期遺構近世に整備された織豊系城郭の姿で、石垣は見事なものがあります。ここで沈む夕日を眺めつつ、松阪の宿に向かいました。

   

2日目の朝は、先ず松坂城に行きました。 同城は蒲生氏郷が整備した織豊系城郭として有名ですが、最終的には紀伊徳川家の伊勢支配の拠点となった、典型的な近世城郭です。見事な高石垣や曲輪の建物跡、城下の屋敷などを堪能することができました。

   

そしていよいよ、今回の見学会のメインともいえる北畠氏館跡・詰の城・霧山城に向かいました。先ず、館跡の少し手前にある資料館で城館の歴史や出土遺物などを見て予備知識を得た後、山麓にある北畠氏館跡へ。ここでは、写真にあるように、紅葉がちょうど見頃になっており、思いがけず紅葉を愛でることができました。(当然のことながら、本番の見学会では見られませんが・・・)

館跡の背後の山を登ること約15分で「詰の城」に到着。「詰の城」では曲輪や堀切、竪堀が観察できました。そこを後にし、山道を延々と登ること約30分で霧山城南曲輪群に着きました。南曲輪の山頂付近は樹木もまばらで歩きやすく、堀切や土塁をじっくり観察することができました。更にそこから10分ほど歩くと北曲輪群に着きます。ここは南曲輪以上に多彩な土塁・堀切が良好な状態で残存しており、遺構を堪能することができました。周囲の山々の景色も見事なものでした。

        

霧山城の遺構を堪能した後は、滝之川城に行きました。同城は霧山城とは対照的に案内の看板等もなく、鬱蒼とした山林の中に残る城跡ですが、太平洋側の山城にしては珍しい畝状竪堀群が観察できました。その位置付けや遺構全体の配置など不思議な点が多く、3人で語り合いながら城跡を後にしました。

   

下見の最後は八田城に行きました。同城は一時城跡の公園として整備され看板等も立てられていますが、今は訪れる人も少ないようでひっそりとしていました。ただ、虎口や高い土塁、堀の入れ方など非常にわかりやすい縄張で、その構造をじっくり見ることができました。

   

-以上、どれも見応えのある興味深い縄張遺構が楽しめる城郭でした。本番の見学会では、多くの方々の参加をお待ちしております。

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韮山城関係の講演会が、新年1月20日(土)に開催されます

2017-11-06 01:01:23 | 講演会・シンポジウム情報

以前にも書いたと思いますが、2019年は北条早雲こと伊勢宗瑞が、韮山城で波乱に富んだ生涯を閉じてから500年になります。韮山城のある伊豆の国市では、早雲没後500年を記念して様々なイベントを開催しようと動き始めました。

今回、下のチラシにみられるように、その皮切り(⁉︎)として「韮山城をめぐる攻防」と題する講演会が、新年1月20日(土)の13時から、伊豆の国市のアクシスかつらぎで開催されます。

主要な舞台は、早雲が伊豆に進出してから約100年後の天正18年(1590)の「小田原合戦」の時の韮山城。攻める豊臣側からの視点で滋賀県立大学の中井均先生が、守る北条側の視点で江戸東京博物館の齋藤慎一先生が熱く語ってくださいます。事前申込みは不要で入場無料ですので、皆さまお誘い合わせの上、是非お越しください。

(*チラシの表側にあります「韮山城見学会」(11月25日)につきましては既に応募を締め切っております。悪しからずご了承ください。)

 

なお翌日は静岡古城研究会の見学会の「北条早雲シリーズパート1」として、柏久保城、大見城、狩野城の見学会が予定されていますので、併せてご参加いただければ幸いです。(こちらの方の詳細は12月下旬頃、静岡古城研究会の公式ホームページでお知らせします。)

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要害城、熊城、躑躅ヶ崎武田館、新府城に行きました

2017-11-06 00:51:31 | 報告、その他お知らせ

少し前の話になりますが、古城研究会の有志+松本市からいらっしゃったFさんと一緒に、山梨県の要害城、熊城、躑躅ヶ崎武田館、新府城に行ってきました。

先ず、要害(山)城に登りました。こちらは8年ぶりぐらいに来て、前回来た際には雪が積もっておりコンディションが悪かったので、今回は比較的良い状況で見ることができました。何重にも連なる枡形虎口や石積みなど、武田氏時代というより織豊期城郭の面影がよく見える城郭ですね。

     

 

次に熊城に行きました。ここは、前回要害城に来た時に、積雪のためやむなく行くのを断念した城で、初めての訪城となります。ここの見どころは何と言っても畝状の連続竪堀群で、草木も茂っておらず、大変いい状態で観察することができました。中部地方であれだけ残りの良い連続竪堀群を見られるのは、飛騨や北陸を除いてはあまりないのではないでしょうか!? その他の土塁や堀切などの遺構も状態が良く、十分楽しませてもらいました

   

次に躑躅ヶ崎の武田館(武田神社)に行きました。ここはポピュラーな場所ですが、やはり久々の訪問となりました。相変わらずの遺構、宝物館の展示も相変わらずでしたが、西館で一部発掘調査が実施されており、どんな物が出てきているのか、楽しみです。

     

最後に、新府城を訪れました。ここもやはり7〜8年ぶりの訪城でした。整備は比較的よくされている方だとは思いますが、二の丸近辺が藪がひどくなっており、少し何とかならないものか、と思いました。大手の丸馬出の堀のあたりでは発掘調査が行われており、こちらも成果が気になりました。

       

ー以上、一応武田氏関係といわれる4城を歩きましたが、どの城も見応えのある遺構が多く、同行していただいた3人の方々にも十分満足していただけたようで、よかったです。

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